バブルから学ぶ ぶっとびー! 経済学バブルから学ぶ
ぶっとびー! 経済学

2017.12.11

バブルはなぜ起きて、どうしてはじけた!? ド派手でイケイケなカルチャーを支えたバブル経済を読み解くと、お金との上手な付き合い方が見えてくる! バブル後に生まれた東大出身の地下アイドル・桜雪さんと30歳前後をバブルと過ごした証券アナリスト・馬渕治好先生による対談、第一話は、バブル経済のはじまりをひもときます。

肩パッドの大きさと同じように、気持ちもビッグになっていた!?

:私はバブル崩壊の直後に生まれて、俗に言う“失われた20年”とともに成長してきたんです。でも、うちの親は大学〜社会人にかけてバブルまっただ中! 今でもノリがバブルっぽくて、さすがに「シモシモ〜」は言わないけど、変なところで英語まじりになったり。

馬渕:僕は桜さんの親御さんより少し上ですね。1984年に結婚したから、独身でブイブイという感じではなかったけど、周りにそういう人はたくさんいましたよ。

:バブルといえば、ちゃっちゃっちゃっちゃら♪ ふぉぉ〜!!って感じですよね!?

馬渕:ジュリアナ東京ですね(笑)。ジュリ扇を持ったワンレンボディコンの女性が、お立ち台で踊りまくるという。実はジュリアナ東京って、バブルのピークが過ぎた1991年にできたんです。

:へぇ〜意外!

馬渕:もちろん、その前からジュリアナ東京のあった芝浦地区はバブルの影響で盛り上がっていて、ディスコもたくさんありました。当時の知り合いに話を聞くと、ド〜ンとでっかい水槽でサメが泳いでいたり、とにかく設備がすごかったみたいですけど。

:バブル時代の男性は、どんなファッションをしていたんですか?

馬渕:アルマーニのスーツとか。女性同様に、やっぱり肩パッドは大きかったですね。あと、小脇にかかえるのはセカンドバッグ。

:あぁ、クラッチバッグ!

馬渕:今っぽくおしゃれに言うとね(笑)。とにかくブランド志向が強くて、クリスマスイブの一流レストランやホテルは1年前から埋まっている状態。それが男の子のステータスだったんです。

:女性としてはうれしいですね。でも1日のデート代が気になる!

馬渕:当時の1万円札は聖徳太子でしたが、軽く10枚くらい飛んだんじゃないかな(笑)。アッシーくん、メッシーくん、ミツグくんなんて言葉もありましたね。

:私たち世代は、男性が女性に食事をおごることは、ほぼないですよ! 割り勘か、男性がちょっと多めに出すとか。

馬渕:当時は「みんな盛り上がっているなら自分も」というムードでパッとお金を使う“雰囲気”を楽しんでいたのかも。ティファニーはみんなの憧れブランドで、オープンハートのネックレスが女性へのプレゼントの定番でした。聞いた話ですが、プレゼントで鍵を受け取ったら、それが外車やマンションだった!なんてこともあったとか。

:バブル世代の父も、海外に行くたびにブランドのバッグを買っていました。でも、母とはセンスが合わないみたいで、ケンカになるという(笑)。

馬渕:喜んでもらえると思ったのに「私、これ好きじゃない」と言われたり。女性の態度もバブル化していた!?なんて言うと、怒られちゃうかな(笑)。

日本人も、海外のヴィトンやティファニーで爆買いしていた!

馬渕:中国の方が日本に来て爆買いしていくのが話題になりましたが、バブル時代には、日本人も海外で爆買いしていたんですよ。例えば、ニューヨークのティファニーの1階は日本人だらけで、パリのルイ・ヴィトンも日本人であふれかえっていました。有名ブランドなら間違いないと信じていたんですね。

:私も、おばあちゃんが昔パリのヴィトンで買ったバッグをお下がりでもらったことがあります。

馬渕:お土産もやっぱりブランドもので、10本くらいディスプレイしてあるネクタイを「右から左まで全部ください」と。

:お土産はお菓子とかじゃないんですね(笑)!

馬渕:今とはギャップがありますよね。なぜこんな風に海外で爆買いしていたと思います?

:やっぱり高級志向で、海外のブランドものを買うのがステータスだったんですかね。あとは、円高・ドル安だから? 私も旅行の広告で「ユーロ安だからヨーロッパに行こう」って言われると、向こうで買いものした方がおトクなのかなと思います。

馬渕:さすがですね。バブルの最中は円高だったんです。実は、この円高がバブル経済を起こす引き金になったのですが、これは政府が誘導したものだったんです。

『プラザ合意』後の円高誘導で、バブルが幕開け!

馬渕:もともとバブル前はドルの価値が上がっていて、1ドルが260円くらいの円安・ドル高だったんです。

:今は113円〜4円くらい*だから、2倍以上!

*2017年11月1日の為替相場より

馬渕:アメリカの企業が日本にものを売るとき、今なら、100ドルのものが1万1300円くらい。でもバブル前は2万6000円くらいです。そんな高いものを日本は買いたくない。日本が買ってくれないから、アメリカとしては景気が悪くなり、困ってしまう。

:当時は、自動車をたくさん輸出して、日本の貿易が黒字だったんですよね?

馬渕:家電製品も元気でした。アメリカとしては自国のものは高くて売れないけど、日本のものは安いからどんどん入ってくる。お金を払ってばかりのアメリカが「ドル高をなんとかしてほしい」と動いたのが、1985年9月の『プラザ合意』なんです。

:聞いたことあります!

馬渕:ニューヨークのマンハッタンにあるセントラルパークのすぐ近くの「プラザホテル」で、当時の先進5ヵ国(G5)である日本、アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツがドル高是正に向けての合意をしたんです。

:西ドイツってことは、まだ、ベルリンの壁が崩壊していなかった頃ですね。

馬渕:日本の政府は、円高・ドル安になるように、意図的にドルを大量に売る為替介入をしました。その結果、ドルを売って円に替えることで、儲けようという人が増加。円の需要が高まって円高への効果があったのですが、それが効き過ぎて止まらなくなっちゃった。260円だったドル相場が、120円くらいまで下がってしまったんです。

:半分以下ですね!

馬渕:一気に、円高ドル安になって、立場が逆転。今度は、日本の企業がものを売ろうとしても、高いから買ってもらえなくなった。それまで100ドルで約2万6000円のものが買えたのに、200ドル以上払わないと買えない。日本内で円高不況の恐れがでてきちゃったんです。そこで、政府が景気を助けるための1つの策として、金融緩和を行いました。

:アベノミクスでもやっていますよね。

馬渕:そう。日銀が金利を下げるんです。お金を借りやすくして、企業が設備投資や工場を増設することを促しました。それがバブルの好景気につながっていったんです。

バブル発生までの流れ

:政府による円高への誘導で、あのお祭り騒ぎのムードがはじまったんですね。

外貨や政策金利と上手に付き合うには?

:為替は対ドルで語られることが多いですが、他の通貨との比較はあまりしないんですか? 最近は中国の経済力も大きいから、元と比較して円の価値がどうなのかというのも気になります。

馬渕:おっしゃるように、分かりやすい対ドルばかり話題にあがりますが、他の国との相場も大事です。中国の元、EUのユーロ、インドのルピー、あとは南アフリカやブラジルなど、いろいろな国の通貨の動きを気にして見てみるとおもしろいですよ。

:円と外貨の為替相場って、どうやって決まるんですか?

馬渕:長い目で見ると、その国の景気がいいかどうか、経済がいいかどうか大きく関係しているんです。企業がもうかったり、不動産の価値が上がったりすると思えば、少し高くてもその国の通貨を持とうしますよね。すると価値が上がるんです。

:私は個人的に、ドイツとインドの外貨が気になりますね。ドイツは経済力に信頼感がありますし、インドの経済はグイグイきているので!

馬渕:あとは、金利が高い国の方が、通貨の価値が上がるという傾向があるんです。金利が低い通貨より、金利が高い外貨の方を持っていたいとみんなが考えますよね。今の日本のように金利が低いときは、金利が高い国の外貨預金や債券で他の国の通貨に投資をするというのも1つの考え方。為替相場はいろいろな要因で上下するので保障はありませんが、金利が高い国の通貨は価値が上がる可能性が高く、預金なら利払いも期待できる。資産のうちの一部を外貨で持っておくというのは、資産運用のリスクを減らす選択肢にもなると思います。ただし、通貨の価値は下がることもあるので、その国が沈んでも一緒に沈んでしまわないよう、1つの通貨に偏りすぎないことがポイントです。

:私もやってみたいです! お仕事してもらった大事なお金だからこそ、上手に管理したい。今、どの国の景気や経済が上向きなのか、もっと調べてみたくなりました。

バブル一直線 バブル一直線

バブルは神話じゃない!?

バブルって、とにかく羽振りがよくて、お祭り騒ぎのイメージが先行してしまうけど、実際は政府の為替介入で起きたことだったと再認識。もう二度とあんな時代は来ないと神話的に見ていたのですが……今の日本も株価は上昇傾向で、低金利というお金の流れは似ている!? バブル当時のエピソードを聞いて、母のクローゼットに眠る肩パッド入りのジャケットやブラウスが、今まで以上にリアルに感じられました!

桜雪(さくらゆき)

桜雪(さくらゆき)

アイドルグループ・仮面女子/アリス十番所属。
1992年生まれ(25歳)。三重県出身。東京学芸大学附属高校を経て、東京大学文学部卒業(心理学専修)。現在は東大出身アイドルとしてメディア出演多数。『地下アイドルが1年で東大生になれた! 合格する技術』(辰巳出版)

馬渕 治好(まぶち はるよし)

馬渕 治好(まぶち はるよし)

1981年東京大学理学部数学科卒。日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)国際市場分析部長を経て独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行なう。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。