バブルから学ぶ ぶっとびー! 経済学バブルから学ぶ
ぶっとびー! 経済学

2018.1.10

バブル経済が、政府の円高への誘導からはじまったことを学んだ第一話。でもなぜ、イケイケな好景気ムードが、あれほど膨らんでしまった!? バブル後に生まれた東大出身の地下アイドル×30歳前後をバブルと過ごした証券アナリストとの対談、第二話は実体のない経済が膨らみ、"バブル"と名づけられた核心へ。

普通の家庭でも別荘やセカンドハウスが当たり前!?

馬渕:バブル時代には、日本人も海外で爆買いしていたという話をしましたが、国内のリゾートも賑わっていたんですよ。

:日本でリゾートっていうと……沖縄!?

馬渕:というより、熱海の温泉リゾートや苗場のスキーリゾートなどが有名どころ。当時は、週末になるとリゾートに、若い男女がこぞって繰りだしていました。苗場なんかは、ナンパの聖地だったんです。スキー場ではゴーグルをしていてかっこよく見えたのに、夜にバーで会ったら残念なんてこともあったみたいですが(笑)。

:リゾートって聞くと、なんだかリッチでワクワクしますね! ちょっと雰囲気は違うかもしれませんが、最近は私たちの世代でも高級志向が高まっていて、リムジンを貸し切る“リムジン女子会”が流行っていたりします。

馬渕:でも、最近の消費は、自分が価値を見いだせれば使うけど、なんでもかんでも使わない。そこがバブルと違うところかな。ブランドの服も買うし、ファストファッションの服も買う。休暇には海外旅行に出かける代わりに、普段は外食を控えたり。

:私たちの金銭感覚、まさにそうです!

馬渕:海外旅行も最近は格安の航空券やツアーで簡単に行けるけど、バブル時代の海外旅行はけっこう高かったんです。それでも「行っちゃえ!」というのがバブルのムード。国内のリゾート地に別荘やセカンドハウスを持ったり、温泉つきのリゾートマンションに投資したりする人も多かったんですよ。

「隣の佐藤さんも鈴木さんも儲けているなら、私も!」

:そもそもバブル時代に、リゾート地に別荘を買ったり、株で投資する人が増えたりしたのは、なぜなんですか?

馬渕:バブルのきっかけとなった「プラザ合意」の後、日本の円高不況をなんとかしようと政府が金利を下げたという話をしましたよね。当初は5%だった金利を2.5%まで下げました。お金を低金利で借りられれば、企業は設備投資をしやすく、儲かって景気が良くなるはずだと。

:雇用も増えるし!

馬渕:ちょうどその頃、当時の日本電信電話公社(現NTTグループ)、日本専売公社(現JTグループ)、日本国有鉄道(現JRグループ)を民間企業にするという動きがありました。その第一弾が、日本電信電話公社。

:略して、電電公社ですね! テレビのクイズ番組の問題になっていて、聞いたことがあります。

馬渕:よかった、"でんでん知りません〜"って言われるかと思いました(笑)。で、電電公社が1987年にNTTに名前を変えて株を売り出して、民間にも株主を募集しました。抽選だったと思いますが、当選した人は1株120万円くらいで買えたんです。1日目は大人気で値段がつかず、2日目に値段がついたら、160万円。「株って儲かるんだ!」っていろんな人が思ったんです。その後さらに上がって、数ヵ月後にピークの318万円まで上がりました。

:わ〜、2.5倍超! その時に株を売れば、大儲けですね。

馬渕:一方、翌年の1988年、マル優と呼ばれる「預金の金利には税金がかからない」という制度が廃止されました。それまで預金にかからなかった税金が、かかるようになってしまった。

:低金利で税金もかかる銀行に貯金するより、株投資の方が良いと思っちゃうかも。

馬渕:そう。株は下がることもありますが、バブル当時は上がりまくり。「お隣の佐藤さんも、鈴木さんも、株を買って儲かっている。じゃ、うちも」と。

:今にして思えば、株がずっと上がり続けるはずはないのに。

馬渕:「みんなで渡れば怖くない」の群集心理ですね。そして、バブルが膨らんでくると、個人だけじゃなく企業も当然株をもたないなんておかしい」という考えになってくるんです。会社の中に株を運用する部門をつくったり、専門の運用機関にお願いしたり。いわゆる、財テク、財務テクノロジーですね。

「土地神話」で、バブルがさらに加速した!

馬渕:銀行は金利も下がっているし、企業にお金を借りてほしいわけです。ただ、企業は銀行が期待したほどお金を必要としていなかったですし、NTTが株を売ってお金を集めたように株式でお金を集めたかった。投資家は株を買えば上がると思っている時代なので、簡単にお金が集まりました。銀行はビジネスにならないから、困りますよね。

:消費者は「預金をするより、株に投資する」、企業は「銀行に借りるより、株で資金調達する」。となると、銀行はどうすればいいんだろう。

馬渕:不動産を現金で購入できる人はそんなにいないので、住宅ローンのニーズはずっとありました。そこで銀行は、不動産を買いたい人にローンを組んで、その不動産を担保にお金を貸したんです。例えばマンションを買うときに、銀行からお金を借ります。そのとき、マンションそのものを担保に入れると、借金を返せなければマンションを取り上げるということですね。

:なるほど、人質ならぬ、もの質ですね!

馬渕:土地や不動産の値段は上がっているので、銀行は担保を押さえておけば損はないだろうと、どんどん貸しました。お金が不動産に大量に流れ込むから、不動産の値段もさらに上がっていくわけです。

:株も、土地も、不動産も、価値が上がるとみんなが思うから、そこにお金が集まってさらに価格が上がっていくわけですね。

馬渕:今では「土地神話」と言われていますが、「土地の値段が下がるはずはない」とみんなが思い込んでいたんですね。

:土地も、キリなく上がり続けるわけないのに!

1点買いはやっぱりハイリスク・ハイリターン!?

:「バブル」と呼ばれるのも、そういう実態のない経済だったからなんですね。最近、株価が上がっていますが、またバブルのようなことが起きることもあるのかなぁ。

馬渕:確かに日経平均株価は、約26年ぶりの高値水準まで上昇したとニュースになりましたね。でも、今はしっかりと企業の利益が積み上がっているので、たとえ株価が同じになったとしてもバブルじゃないと思います。それに、バブル時代の苦い経験もあるので「先はわからない」とみんな感じていますよね。「バブルかな?」とみんなが心配しているうちは、バブルにはならないというのが私の考えです。*2017年11月1日時点

:最近は、企業が儲かっても内部留保でためて、お金を使っていないという話も聞きますね。

馬渕:企業も、先行きがわからないから不安なんですね。

:今は技術革新に期待が集まっていて、消費を促すようなおもしろい商品やサービスも開発されそうだから、そのムードに乗っかって企業もどんどん挑戦すると、もっとお金が回っていきそう!

馬渕:バブルみたいにはじけないような、実態のある経済の成長ができるといいですよね。その1つの可能性が、おっしゃる通り技術革新。iPS細胞やAI関連はかなり伸びています。

:バブル時代の「みんなが株で儲かっているから」という発想じゃなく、自分が成長を期待する分野に投資するといいのかも!

馬渕:そうですね。ただ、投資をするときは、一点買いはリスクが高くなります。バブル時代には、特定の銘柄に投資する一点買いの人が多かったんです。例えば、NTTの株ならNTTの株だけを買う。すると、当たれば大きいけど、外れたときも大きい。リスクを抑えたいという場合は、投資先を分散するという視点が大事ですね。

:大穴狙いは危険ですもんね。より着実に、投資先を分散する考え方は今の時代に合っている気がします。

バブル一直線 バブル一直線

地に足のついた、今の投資もおもしろそう!

株価や不動産の異常な高騰が、お祭りムードをつくっていった夢のようなバブル時代。行ってみたい気もするけど……う〜ん。やっぱり私は今の時代で、地に足のついた投資をする方がおもしろそう。AIとかiPS細胞とか、新技術を使ったサービスや商品に期待! ただし、一点買いはハイリスクだから、投資先を複数にしてリスクを分散!ですね。

桜雪(さくらゆき)

桜雪(さくらゆき)

アイドルグループ・仮面女子/アリス十番所属。
1992年生まれ(25歳)。三重県出身。東京学芸大学附属高校を経て、東京大学文学部卒業(心理学専修)。現在は東大出身アイドルとしてメディア出演多数。『地下アイドルが1年で東大生になれた! 合格する技術』(辰巳出版)

馬渕 治好(まぶち はるよし)

馬渕 治好(まぶち はるよし)

1981年東京大学理学部数学科卒。日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)国際市場分析部長を経て独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行なう。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。