バブルから学ぶ ぶっとびー! 経済学バブルから学ぶ
ぶっとびー! 経済学

2018.2.14

株式×不動産の高騰がスパイラルのように、膨らんでいったバブルは、どうやってはじけた? そして、はじけた後に残ったものとは? バブル後に生まれた東大出身の地下アイドル×30歳前後をバブルと過ごした証券アナリストとの対談、第三話はバブル崩壊からお金の教訓をたっぷりと学んでいきます。

バブルがはじけて、株券の価値がガクッと下がってしまった人も

:バブル当時の株価は、どれくらいまで上がったんですか?

馬渕:日経平均株価のピークは、1989年の終わり頃。約3万9千円でした。土地の価格は少し後の1991年くらいがピークと言われていますね。

:4万円弱! すごい高騰ですね。その後、バブル経済が崩壊するきっかけはあったんですか?

馬渕:バブル経済で不動産の価値が上がって得する人がいた一方で、困る人もでてきたんです。社会人になって新たに家を買いたいという若い人が、高くて買えない。政府が目標とする家やマンションの購入価格は、年収の約5倍。でも、バブルのピーク時には、東京のマンションで年収の約9倍まで高騰していたんです。

:高騰前に持っていた人はいいけど、そうじゃない人にとっては確かにキビシイ!

馬渕:そこで、政府は不動産価格を抑えるために、金利を上げました。お金を借りてマンションを買う人が減り、不動産の価格も下げようと考えたんです。すでに株価が下がりはじめていたので批判もあったのですが、1990年8月に6%になるまで金利を上げていきました。結果、オーバーキルと言いますが、景気を過剰に引き締めすぎることに。さらに、銀行が不動産向けにお金を貸しすぎないよう、総量規制を行ったんです。

:総量規制……銀行から不動産に流れるお金の量を減らそうとしたんですね。

馬渕:金利を上げて、総量規制もやって、さらに土地関連の税金も上げて。

:一気に介入したんですね!

馬渕:そう、 それでやりすぎちゃったんです。土地の値段が下がり、金利が高いので株より預金を選ぶ人が増え、その後、中東情勢の悪化もあって株価は急暴落しました。

:急暴落! 株を持っていた人は、どうしたんですか?

馬渕:株価が下がっても、持ち続けることはできます。ただ、お金を借りて株を買うような投機的な売買をしていた人は、お金が返せなくなるので、早いうちに売って借金返済しないといけない。バブル崩壊の過程で売ってしまった人も多いと思います。バブルがはじけて投資先の会社が倒産して、株券の価値がガクッと下がってしまった人もいました。

今だからわかる、バブル時代の反省点とは?

:バブル時代に株で痛い思いをした人が多かったのは、何が原因だったと思いますか?

馬渕:やはり「みんなで渡れば怖くない」の右へならえムードで買っていたということが1つ。

:「隣の佐藤さんも、鈴木さんも儲かっているんだから、私も」という考えですね。

馬渕:もう1つは、日本株の一点買いが多かったこと。日本の投資家はどうしても日本のものを買いたがるんです。ホームバイアスと呼ばれていますが、自国に対してバイアスをかけてしまう。バブルの頃は特に「日本株を持っていればいい」と考える傾向にありました。

:日本を信頼していたということですか?

馬渕:それと、自国の経済状況は分かりやすいからですね。日本にいると、アメリカの経済状況ならなんとなく分かるかもしれませんが、イタリアだとどうですか? よく分からないと、いいか悪いかに関わらず不安になるんです。

:だから、つい自分が知っている国の資産を持ちたくなるんですね。

馬渕:あとは、株価が暴落したら売らざるを得なくなるような、投機的な取引はあまりしない方がよかったと思います。今だから言えることですが、当時はバブルの気分に飲み込まれていたんですね。プラザ合意、為替の動き、金融政策、株の動き、金融の動き、NTT株ブーム、そしてみんなの心理、いろいろなものが重なってバブルが起き、そしてバブルがはじけたんです。

これからどうする?バブルの教訓!

:これから私たちが投資を考えるとき、どういう視点が大事になりますか?

馬渕:やはり、すべて日本円で資産を持つのではなく、外貨の株や債券などに資産を分散するという視点が必要だと思います。バブル絶頂期のように「ジャパン アズ ナンバーワン」で、日本経済が世界をリードして伸び続ければいいですが、そうはいかないですよね。

:外貨も含めて、投資先を分散することがまずは大事。

馬渕:はい。さらに、分散という考え方は2種類あって、1つはこれまでお話ししたような、外国に投資したり、預金だけでなく株や債券で持ったりといった『資産の分散』。そしてもう1つ、『時間の分散』があります。

:長く持っていると、下がった株価も回復するということですか?

馬渕:それもありますね。景気やマーケットの動きは、上がったり下がったりを繰り返すので、長期保有していると、時間による値段の変化を分散できるんです。例えば、毎月5千円ずつコツコツ買っていくような、投資するタイミングを分散する方法などがあります。

:定期的に投資するんですね。

馬渕:自分の感覚で「今が一番安いはず!」と思って買うと、そこからドンと下がってしまうこともあります。一方、値段が高いときも低い時も関係なく、毎月機械的に買っていくことで、人間の感覚的な間違いが修正されるんです。

:なるほど! じゃあ、私が毎月1万円を分散して投資したいなら、5千円は日本の株、残った5千円はアメリカの株と、分けて投資すればいいんですか?

馬渕:世界の株式全体に分散しているファンドを選べば、アメリカの株、インドの株、ブラジルの株……と分散して運用してくれる投資信託もあるんですよ。

:毎月1万円で、時間分散も、資産分散もできるんですね。

馬渕:あとは、株価が下がると怖くなる気持ちは分かるのですが、そこで売らず、中長期的な視点で運用を考えた方が、報われる場合が多いことも知っておくといいですね。保有期間が長い方ほどリスクが小さくなるというデータもあります。

>見る。考える。資産運用『#7 リスクを抑える「時間分散」』を読む

:長い目で考えることが大事なんですね。ところで、バブルがはじけて株価が暴落したとき、世の中のムードはガラッと変わったんですか?

馬渕:実は、給料も増えたりして、急には変わらなかったんです。でも、気がついたら寂しいムードになっていました。一方でムダな贅沢をしなくなるなど、いいこともあったんです。ブランドものの代わりに、手作りのプレゼントを贈るようになったりね。

:私にとっては、小さい頃からプレゼントは手作りが鉄板でしたよ〜。

馬渕:デートも、彼氏の部屋でお鍋をつついたり(笑)。

:お金をたくさん使うことだけが、贅沢じゃないって分かったのかもしれませんね。私もお金は自分にとって価値あるものに使いたいですもん。リスクを分散できる投資信託を選ぶように、自分の未来に投資できるような使いみちを選びたいですね!

バブル一直線 バブル一直線

投資も、アイドルも、長期視点&リスク分散!

変動を見越した中長期視点で、リスクを分散しながら運用するという投資の考え方は、アイドルにとってもめちゃくちゃ大事! ずっと上がり続ける株がないように、一生歌って踊れる保障はない。だったら今のうちから引き出しをいっぱいつくって、タレント生命を長〜くしたいもの。こっちがダメなら、あっちがある! 投資も、仕事も、いろいろ勉強しながら、未来も笑っていたいですね。

桜雪(さくらゆき)

桜雪(さくらゆき)

アイドルグループ・仮面女子/アリス十番所属。
1992年生まれ(25歳)。三重県出身。東京学芸大学附属高校を経て、東京大学文学部卒業(心理学専修)。現在は東大出身アイドルとしてメディア出演多数。『地下アイドルが1年で東大生になれた! 合格する技術』(辰巳出版)

馬渕 治好(まぶち はるよし)

馬渕 治好(まぶち はるよし)

1981年東京大学理学部数学科卒。日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)国際市場分析部長を経て独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行なう。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。