30代女子お金の本音 〜「老後が不安」な30代、今から始められることは〜
2022.11.2
高山先生
まず「iDeCo」には、加入資格と掛け金の限度額があります。
アカネ
加入資格があるってことは、誰でも加入できるわけじゃないんですか?
高山先生
残念ながら、そうなんです。加入できる年齢は、原則20歳以上60歳未満(厚生年金被保険者であれば15歳から加入可能)。みなさんは会社員なので、今回は会社員についてお伝えしますね。
アカネ・マイ・リョウコ
はい!
高山先生
会社員の場合、
① 勤務先に確定給付型企業年金(DB)がない
② 勤務先にDBがなく、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している
③ 勤務先にDBがある。あるいは、DBもあり企業型DCにも加入している
によって積み立てられる金額の限度額が変わります。
① は23,000円/月まで
② は20,000円/月まで
③ は12,000円/月までというのがルールです。
マイ
自分がどれに当たるか、会社に確認しないといけないんですね。
高山先生
企業型DCに加入しているかなど、自分の加入状況がわからない人は、会社の担当者に確認したほうがいいでしょう。また企業型DCは、会社が拠出する掛金に加えて、加入者本人が掛金を上乗せして積み立てをする「マッチング拠出」というものがあり、もしこの「マッチング拠出」をしている場合は、「iDeCo」には加入することができませんので注意が必要です。
リョウコ
案外細かく決められているんですね。加入できる年齢も制限があるんだぁ~。
高山先生
そこが「つみたてNISA」との違いといえますね。「つみたてNISA」は20歳以上なら何歳からでも始められます(※2023年から18歳以上から始められる)。だから、60歳でも、65歳でも使える仕組みです。ただし、積み立てられる年数は20年間という期限がありますよね。一方、「iDeCo」は、原則20歳から60歳までが対象(厚生年金被保険者であれば15歳から加入可能)だから、たとえば大学卒業後に一般企業に就職し、厚生年金を支払い始めたとすれば、23歳から60歳まで積み立てれば、40年近くもこの枠を使って投資ができるということになります。
アカネ
若いうちに始めたほうが積み立てる年数が増えるから、資産も増える可能性大ということですね。
リョウコ
そんな違いがあるんですね。
高山先生
ここからは、いよいよ本題の節税効果についてお話ししましょう。「iDeCo」では毎月5000円から1000円単位で限度額いっぱいまで積み立てることができます。その掛け金が所得控除の対象になるんです。
マイ
え? 所得控除? どういうことですか?
アカネ
それって、年末調整の際に申請するんですか? 保険の年末調整と同じって感じ???
高山先生
そうです。毎年10月ごろに国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金振込証明書」が届きます。年末調整でこの書類を提出して、手続きをする必要があるんです。なぜ「iDeCo」の掛金が所得控除されると税金が安くなるのかを理解するには、所得税の算出方法を理解する必要があります。
マイ
はい! ぜひ知りたいです。
高山先生
所得税には、みなさんの税込年収に税率を掛けて算出されるわけではなく、年間の税込年収から会社員の必要経費である給与所得控除を差し引き、そこから所得控除の全額を差し引いて、課税所得を算出します。
リョウコ
なかなか難しいですね。
高山先生
課税所得の金額に、所得税の税率を掛けて所得税を算出するので、所得控除の金額が大きいほど、課税所得の金額が小さくなり、節税できるというわけです。所得税の税率は、課税所得の金額に応じて決められています。翌年の住民税も安くなりますよ。たとえば、年収500万円の会社員が、上限額の月23,000円を毎月積み立てたとしましょう。すると、年間5万ほどの節税に。以下に表をまとめましたので、参考にしてみてください。
リョウコ
1年で55,200円! 10年だと552,000円も節税になるの?
アカネ
30歳で始めて約30年積み立てたら、1,656,000円も節税になる!? すごすぎる!
マイ
1年間に「iDeCo」で276,000円を積み立てて、55,200円が節税ってことは、331,200円貯めたとも考えられますよね?
アカネ
確かに! さらに投資信託で少しでも利益が出れば、もっとプラスになるということにもなるんだぁ。
高山先生
どうですか? これだけでも「iDeCo」を始めるメリットがあるのではないでしょうか。
アカネ
本当ですね。
高山先生
アカネさんがいうように、投資信託を選んで積み立ててれば、
① ドルコスト平均法の効果が得られる。
② 長期間の積み立てで複利効果が得られる。
という「つみたてNISA」同様のメリットも得られます。もちろん元本割れするリスクもあることを忘れないでくださいね。いずれにしても「iDeCo」は老後資金のために積み立てるのですから、リスク軽減のために中長期的に、安定的に資産を増やせる可能性が高い投資信託の銘柄を選ぶとよいでしょう。
マイ
なるほど! 俄然やる気が出てきました。
アカネ
「つみたてNISA」はお金が必要になった時に一部現金化して使用してもOKだから近い未来のために。「iDeCo」では老後を見据えてしっかり資金を蓄えるというイメージで考えればいいね。
高山先生
みなさん! ちょっと待ってください。「iDeCo」のメリットは、まだまだありますから。最後まで説明を聞いてくださいね。
アカネ・マイ・リョウコ
えー! まだメリットがあるんですか?
高山先生
次回は「iDeCo」の掛金が所得控除になり節税できる以外のメリットをご紹介しましょう。
※2022年11月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
監修:高山 一恵
おすすめ記事
本サイトの掲載情報は、各記事の掲載時点で当行が信頼できると判断した情報源をもとに作成したものですが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当行は保証を行っておりません。