<プランA> 喫茶店を開業してマスターに!

夢の金額

最少でも初期投資500万円程度

気の合う常連さんをはじめ、いろいろな人が集まって賑わう喫茶店。定年後は、そのマスターになって楽しく、充実した毎日を送りたいという夢を描く人もいるのでは。
今回は、店舗を借りて開業する場合と、自宅を改装して開業する場合、2パターンのシミュレーションを行いました。

喫茶店の開業資金をシミュレーション

(1)店舗面積約15坪、席数30席の喫茶店を開業

店舗物件取得費 約180万円
内外装工事費 約500万円
什器・備品費 約200万円
その他 (仕入、広告宣伝など) 約30万円
合計 約910万円

(2)自宅を改装して店舗面積10坪、席数15席の喫茶店を開業

内装工事諸費用 300万円〜500万円程度
什器・備品費 約200万円
その他 (仕入、広告宣伝など) 約30万円
合計 530万円〜

このように、喫茶店を開業するには、少なくとも500万円以上のお金がかかりそうです。そして、日本政策金融公庫の「新規開業パネル調査」※1によると、2001年から2015年の飲食・宿泊業の廃業率は18.9%。宿泊業を含めた数字ですが、全業種の中でもっとも高い廃業率です(全業種廃業率は平均10.2%)。
定年後に喫茶店を開業する目標があるのであれば、現役時代からしっかりとした準備が必要でしょう。

理想の形に近い喫茶店・カフェがあれば、実際にそこで働いて経験を積むのも手です。もしくは、ある程度の費用がかかりますが、スクールやセミナーなどに通って、飲食業の経営ノウハウを学ぶのも良いかもしれません(数万〜100万円程度※2)。

また、開業したからといって、すぐに利益がでるとは限りません。運転資金を準備するなど、事業計画を入念に考えておく必要があります。

<プランB>趣味や資格を活かし、パソコン1台で起業!

夢の金額

0〜15万円程度

続いては、「クラウドソーシング」で働くプランです。クラウドソーシングとは、仕事を依頼したい企業と、仕事を請け負いたい個人が、インターネットなどを介して業務を契約する仕組みのこと。いわゆるフリーランスと言っても良いかもしれません。

クラウドソーシングでは、ブログ記事の執筆から、システム開発、アプリ開発、ウェブ制作、デザイン、翻訳、データ入力まで、幅広い仕事の発注があります。「クラウドソーシング」で検索して、大手仲介業者のWebで仕事をチェックしてみてはいかがでしょうか。

仕事をはじめるにあたってかかる費用は、パソコン等の機器購入費、インターネット接続・利用料が考えられます。仕事の内容によっては、ソフトフェアを購入する必要もあるかもしれません。
初期費用はほぼかかりませんが、これまで培ってきたスキルや経験が資本。持っている資格や趣味のノウハウを活かせる仕事が見つかれば、活躍の場を広げていけるでしょう。
ただし、誰にでもできる仕事は単価が安い場合が多く、ある程度の収入を得るためには、より高度なスキルや技術を身につけておく必要があります。

<単価例>

レビュー・クチコミ 約50〜200円/1件
データ入力 約1,000〜10,000円/100件
  • 大手クラウドソーシングサイト調べ(2019年6月1日時点)

現役時代から、スキルも資金も計画的に準備を

定年後、「好き」をもとに起業する場合、必要な資金は老後の生活費とは別に用意しておくのが基本です。生活費分のお金を使って、費用を回収できなかった場合、家計が赤字になってしまいますし、特にご家族がいる場合は、理解も得にくいでしょう。
定年後のことが気になりはじめる40〜50代くらいからプランを練って、具体的な目標金額を把握し、生活費とは別に準備することをおすすめします。準備をはじめるのに、早すぎるということはありません。

また、起業する際は、「初期投資が少ない」「在庫管理が簡単/いらない」職種を選ぶとリスクが少ない傾向があります。小さい規模からはじめて、うまく軌道にのれば徐々に大きくしていくといった流れが理想です。現役時代に、副業やダブルワークで試しておくのも良いでしょう。

どうしても資金が足りないときは、銀行からの借り入れ以外にも「クラウドファンディング」を利用して、資金を集める方法があります。
クラウドファンディングは、不特定多数の人々から少しずつ出資金を集める仕組みのこと。多くの場合、インターネットを介して行われます。ただし、出資者が集まらず、目標金額に達しなかった場合は、資金を調達できません。

また、中小企業庁のウェブサイト※3に、起業の際に利用できる制度が紹介されています。事業内容や募集時期などが合致する必要がありますが、応募できそうなものがあれば活用しましょう。ただし、これらの制度は、開業後に審査を通った後で支給されるものがほとんど。開業資金への活用はあまり期待できません。
「中小企業庁 ウェブサイト」

ご存知の通り、日本人の平均寿命は伸び、人生100年時代と言われています。定年後は、現役時代と同じように働くというより、その時だからこそできる働き方を考えてみてはいかがでしょう。好きなこと、やってみたかったことに挑戦するのも、その1つ。働くことで、社会との繋がりが生まれ、きっと有意義な時間を過ごせるでしょう。それに、何らかの収入があると先々安心です。

定年後は、経験値という点では、若者や中高年の方よりも圧倒的に有利なはずです。現役時代から、これまでの経験や人脈、スキルなどを活かして活躍できる仕事を思い描いてみるのも、楽しみの1つではないでしょうか。

  • 2019年7月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

ファイナンシャルライター 瀧 健

『PRESIDENT Online』などの経済系Webメディアでも多数の執筆協力経験をもつ。ライフプランや資産運用の提案が得意。自らも株式・債券・投資信託などの運用を行っている。社会保障にも詳しい。

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