<プランA> 週1回、フィットネスクラブに通って健康づくり

フィットネスクラブで運動するシニア

夢の金額

約8万円〜/年

フィットネスクラブに通うシニア世代が増えています。

経済産業省が報告した「シニア層の健康志向に支えられるフィットネスクラブ」によると、フィットネスクラブの売上高は上昇しており、1世帯1人あたりもっとも使用料を支出しているのが、「60歳代」が世帯主の世帯でした。

フィットネスクラブというと、若い人が行う激しい運動や筋肉トレーニングを想像する人もいるかもしれませんが、シニア向けのプログラムや、手軽に短時間で運動できるコース、女性専用の体操教室など、さまざまなプログラムがあります。

たとえば、ある大手フィットネスクラブでは、60歳からの運動スクールを展開。ロコモ対策向けプログラムなど行っています。

  • ロコモとは、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の通称。骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、「立つ」「歩く」といった移動機能が低下している状態のこと。

また、ある女性限定の健康体操教室では、1回あたりのプログラムが約30分で、予約は不要。思い立ったときに、気軽に運動をすることができます。
なかには、自治体が健康寿命の延伸への取り組みとして推進する「未病センター」として認証されている店舗も。

そこで、プランAでは、週1回、フィットネスクラブに通って健康づくりをした場合の費用をシミュレーションしました。

【シミュレーション】
週1回、フィットネスクラブに通って健康づくりをした場合

フィットネスクラブのシニア向けプログラム(週1回)

月会費 6,270円〜
初回登録料 6,600円〜
年間合計 約80,000円

パーソナルトレーニング(週1回)

月会費 20,900円〜
初回登録料 -
年間合計 約250,000円〜

女性専用の体操教室(回数は無制限)

月会費 6,270円〜
初回登録料 -
年間合計 約75,000円
  • 大手フィットネスクラブの価格を参考に算出

適度な運動が健康維持につながるというのは、よく言われていることです。

「75〜84歳の高齢者の歩く速さ」と「10年後の生存率」を調べた最近の研究によると、筋肉があり歩くスピードが速い人は10年後の生存率が高いとのこと。
筋肉をつけておくことが、長生きの秘訣の1つと言えるでしょう。

筋肉量は年齢とともに低下するといわれていますが、適切なトレーニングを行えば、筋肉を増やすことができます。

また、フィットネスクラブに通うことで、定年後の生活にメリハリが生まれ、心身がリフレッシュできるというメリットも。
フィットネス仲間ができるなど、新たなつながりを生む場としても期待できます。

充実した毎日を送りながら長生きできるよう、定年後も適度な運動を心がけたいところです。

<プランB> 人間ドックで体の状態を定期検診

定期健診の診断表

夢の金額

約3万円〜/1回

健康状態のチェックには「健康診断」と「人間ドック」があります。

「健康診断」は、健康状態の確認や生活習慣病のチェックを目的に行うもの。
労働安全衛生法により回数(年1回)や検査内容項目(法付随の規則で11項目)が定められていています。

一方、「人間ドック」は、健康診断よりも検査内容項目が多く、生活習慣病以外の病気やがんの早期発見などが期待できます。より詳細な検査をしたい場合は、人間ドックを受けると良いでしょう。

会社員や公務員の場合は、退職後の2年間は、会社の健康保険組合や組織の共済組合に継続して加入するか、国民年金保険に加入するか、または家族の扶養に入るかのいずれかから選ぶことが可能です。

退職後3年目以降は、国民健康保険に加入するか、家族の扶養に入るかのどちらかです。現役時代の勤務先によっては、企業などの保険組合が独自に運営している特例健康保険組合の特例退職被保制度がある場合も。

自営業の場合は、現役時代から引き続き、国民健康保険への加入となります。
健康保険組合に加入した場合は、それぞれの組合によって異なりますが、定期検診をはじめ、人間ドックの補助措置が続く場合があります。内容や手続きについては、各健康保険組合に確認しましょう。

国民健康保険に加入した場合は、40歳以上75歳未満の人を対象とした「特定健康診査」を受けることができます。通常は、受診券が自治体から届くので確認しましょう。75歳以上は、後期高齢者医療制度のもとでの健康診査があります。健康診断は補助を受けられるケースが多いですが、人間ドックは原則として全額自己負担。費用が気になるところでしょう。

人間ドックの費用は、検査内容やコースによって大きく異なります。

標準的な検査として、問診、一般計測(身長・体重・BMI・体脂肪率・視力・聴力など)、尿検査、血圧や心電図検査、胸部X線検査、胃部X線検査、腹部超音波検査、血液検査などを日帰りで行うのが一般的。こうした検査にオプションで、より精密ながん検査や脳の検査を追加することができます。

また、医療機関によっては、1泊2日コース、豪華な食事がついたコース、さらには高級ホテルに泊まるコースなどを用意しているところも。費用はかかりますが、年に1回、ゆっくりと静養しながら健康状態をチェックすることも可能です。

【シミュレーション】

人間ドックで体の状態を定期検診した場合

標準的な検査(日帰り) 約30,000円
問診
一般計測 身長・体重・BMI・体脂肪率・視力・聴力など
尿検査
循環器系 脈拍数、血圧、心電図検査、眼底(両眼)、眼圧(両眼)
呼吸器系 胸部X 線検査(2方向)、肺機能検査
消化器系 胃部X 線検査(直接撮影)、便潜血反応検査
腹部 腹部超音波検査
血液検査 など

オプションを追加した場合

下の表は横にスクロールできます

脳ドック(頭部MRI検査 頭部MRA検査 など) 約30,000円(脳ドックのみ受診する場合は35,000円)
肺がん 胸部CT検査 約7,000円
胃がん 胃部X線検査(直接撮影/16枚) 約12,000円
子宮頸がん 子宮頸部細胞診・HPV 約7,000円
乳がん 3Dマンモグラフィ検査 約7,000円
腫瘍マーカーのがん検査セット(男性)
  • 消化器がん(大腸がん、膵がん、胆道がん、肝細胞がん)、男性特有の前立腺がんなど
約7,000円
腫瘍マーカーのがん検査セット(女性)
  • 消化器がん(大腸がん、膵がん、胆道がん、肝細胞がん)、女性特有のがん(乳がん、子宮がん、卵巣がん)など
約7,000円
  • 大手医療情報サイトなどを参考に算出

人生100年時代と言われ、定年後の時間が長くなるなか、健康寿命を伸ばすことは重要なテーマです。

考え方は人それぞれで正解はありませんが、健康診断や人間ドックなど定期的な健康状態のチェックにお金をかけておくことは、生活の質(QOL)を高めるためにも有効ではないでしょうか。

元気でいることが、定年後のお金のゆとりにもつながる

厚生労働省によると、日本人の生涯医療費は約2,700万円(男性 2,584万円/女性2,822万円)で、このうち約6割が、65歳以降にかかる費用です。やはり、高齢になると、治療を受ける機会が増えるようです。

【関連記事】老後にかかる医療費はいくら?

適度な運動をする、健康診断や人間ドックを受けるなど、健康維持のためにお金を使うことで医療費を減らすことができれば、結果的に生涯医療費を減らせるかもしれません。
また、健康に過ごすことができれば、食事や趣味などを楽しみながら、毎日を過ごせるでしょう。

また、2020年2月現在、75歳以上の医療費の自己負担は原則1割ですが、2割への引き上げが検討されています。
今後、医療費の自己負担額が増える可能性があることも認識しておきましょう。

今回、プランAでは、民間のフットネスクラブをご紹介しましたが、都道府県や市町村が提供している公共スポーツセンターを利用する手もあります。
民間の施設より安い料金で利用でき、健康チェックを行っている施設もあります。まずは、お住まいの地域のスポーツセンターをチェックしてみましょう。

もちろん、施設に通わず、ウォーキングやランニングを日頃の生活に取り入れても良いでしょう。自分に合った方法で体を動かすことが大切です。

「健康でいる」夢を叶えるには、予防医療や治療費など、ある程度の費用がかかることが想定されます。定年後の資金は、ゆとりをもって用意しておくと安心です。
現役時代の今から「iDeCo」や「つみたてNISA」など、税制優遇されている制度を利用して、余裕資金を積み立ててはいかがでしょうか。

  • 2019年2月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

ファイナンシャルライター 瀧 健

『PRESIDENT Online』などの経済系Webメディアでも多数の執筆協力経験をもつ。ライフプランや資産運用の提案が得意。自らも株式・債券・投資信託などの運用を行っている。社会保障にも詳しい。

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