話題のiDeCo(イデコ)とは何なのでしょうか。「なに?」が口癖のなにおさんは、FP(ファイナンシャルプランナー)に教えてもらうことにしました。
「iDeCo(イデコ)」(個人型確定拠出年金)とは
iDeCo(イデコ)は、「個人型確定拠出年金」の愛称です。
ここではiDeCoがどのような制度なのか、基本的な内容を解説していきます。
「iDeCo」(個人型確定拠出年金)とは、自分のために老後資金を積み立てる制度
iDeCoは、自分で掛金を出し、自分で運用方法を決め、その成果を自分で受け取ります。コツコツとお金を積み立てていき、60歳以降に受け取ることができるものなので、「自分のために老後資金を積み立てる制度」と言えます。iDeCoに加入すれば、公的年金だけでは不足しがちな老後の生活資金を効率的に準備することが可能です。
なおiDeCoのように、公的年金の不足を補うことを目的として、自助努力で加入する制度のことを総称して「私的年金制度」と言います。
iDeCoはいくらから始められるの?
掛金は月々5,000円からと少額で、職業によって上限額が変わります。運用方法は、定期預金や年金保険、投資信託などさまざまな商品から選べます。投資信託のような投資性の強い商品を選んだ場合、運用次第で将来の受け取り額がそれまでの積立額を上回る可能性も、下回る可能性もあります。
iDeCoで掛金を積み立てるには、銀行などの金融機関を通じて
iDeCo専用の口座を開く必要があります。iDeCoの申込み方法は金融機関によって異なりますが、Web経由で申し込むか、コールセンターに連絡をして書類を取り寄せて郵送する方法が一般的です。
Web経由であれば、画面上で本人情報の入力や掛金の引き落とし口座の設定、必要書類の提出から運用商品や運用商品割合選択まで完結できるため便利です。
申込みから加入までWebでも1~2ヶ月かかるため、加入を希望する方は早めに申込みを済ませましょう。
【関連記事】
初心者のためのiDeCo(イデコ)の始め方~かんたん解説~ ▼iDeCoを申し込みたい方はこちら
個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」:三井住友銀行
「iDeCo」(個人型確定拠出年金)が生まれた背景は?
iDeCo誕生の背景には、ここで紹介する2つの社会的な変化によって、自分で老後の生活に備える必要性が高まったことがあります。
もらえる年金や退職金が減っている
老後にお金を受け取れる公的年金制度は、現役世代から集めた年金保険料をそのまま高齢者の年金として支払う「仕送り方式」です。しかし日本では少子高齢化が進んでおり、国が制度を維持するために、もらえる金額を減らしたり、受給開始年齢を遅らせたりする可能性があります。そのため国から受け取る公的年金以外にも、自分自身で年金を積み立てていく必要性が高くなっているのです。
また、退職金制度のない会社も増えてきました。退職金制度を導入している会社でも、金額を減らしたり、運用を従業員に任せる会社も増えています。
このように、iDeCoが誕生し加入が推奨されている背景には、社会情勢の変化が大きく影響していると言えます。
「iDeCo」(個人型確定拠出年金)の最大のポイントは、節税効果
iDeCoに加入すると、次の3つのタイミングで税金が安くなります。
①掛金を払うと、所得税と住民税の負担が減る!
②運用中、増えた分(運用益)はすべて非課税!
③受け取るとき、大きな控除枠を使える!
①掛金を払うと、所得税と住民税の負担が減る!iDeCoで支払った掛金は、全額が「所得控除の対象」となります。年末調整や確定申告をすることで、所得税や住民税が安くなります。
たとえば、年収650万円の会社員が毎月23,000円の掛金を支払った場合、1年間で55,700円、税金の負担が減るのです。iDeCoで積み立てるだけで、金額に応じて税金が安くなるので、はじめるハードルが下がりますよね。
②運用中、増えた分(運用益)はすべて非課税!一般的に、運用で増えたお金(運用益)には20.315%の税金が掛かります。しかしiDeCoで運用してお金が増えた場合は、いくら増えたとしても非課税となります。
本来支払うはずの税金分も積み立てや運用に回せるため、より効率的に老後資金を貯めていけますね。
③受け取るとき、大きな控除枠を使える!iDeCoで積み立てたお金を受け取るとき、受け取り方によって以下のような控除制度が利用でき、所得税を軽減できます。
・一時金としてまとめて受け取る場合:退職所得控除
・年金として分割して受け取る場合 :公的年金等控除
たとえば、
30年掛金を積み立てて60歳のときにまとめて受け取った場合、受け取る金額が1,500万円以下(※他の退職所得と合算して)であれば、税金がかかりません。これだけの大金を非課税で受け取ることができるのは、大きな魅力です。
【関連記事】
iDeCoの3つある節税効果とは? 職業別に節税金額をシミュレーション! ▼あなたの節税額はどれくらい?
メリットを確認! 税軽減シミュレーション
「iDeCo」(個人型確定拠出年金)の仕組み(どのように積み立てて、どのように受け取る?)
iDeCoは大きく、掛金の拠出、掛金の運用、運用したお金の受け取りという3つの流れがあります。
ここではiDeCoの掛金設定、運用、受け取り3つの流れについて、それぞれ詳しく解説していきます。
「iDeCo」(個人型確定拠出年金)の掛金設定方法
iDeCoでは、
掛金の設定を
①「毎月同じ額の掛金を設定する」
②「月ごとに掛金を設定する」
の
2種類から選ぶことができます。①「毎月同じ額の掛金を設定する」場合、ひと月5,000円以上1,000円単位で掛金を設定します。
②「月ごとに掛金を設定する」場合、職業ごとの1年間の上限額を超えない範囲で、たとえば「5月は2万円」「8月は1万円」のように、自由に設定できます。また、年間1〜12回の間で設定でき、年に1回だけや年に2回のボーナス時にだけ支払うという設定も可能です。
「iDeCo」(個人型確定拠出年金)で運用できる商品とその特徴
iDeCoでは、掛金の設定方法だけでなく、運用方法や金融機関も自分で選ぶという特徴があります。なお、iDeCoの取扱商品は金融機関によって異なります。そのため、
金融機関を選ぶときは普段よく利用しているからという理由だけではなく、
iDeCoの商品ラインナップが自分にあっているかも確認しましょう。iDeCoの運用商品は大きく分けて、
原則、満期まで持っていれば元本割れしない「元本確保型商品」と、
元本割れする可能性があるものの大きなリターンも期待できる「投資信託」の2つです。
三井住友銀行では、元本確保型商品として「定期預金(3年)」と「定期預金(10年)」の2種類、投資信託は、国内外の株式投資信託や債券投資信託、不動産投資信託(REIT)、バランス型投資信託など幅広い商品を取り扱っています。
▼商品について詳しく知りたい方はこちら
運用商品えらびのヒント
「iDeCo(個人型確定拠出年金)」で積み立てたお金を受け取る方法
老後にiDeCoで積み立てたお金を受け取る「老齢給付金」の受け取り方は、以下の3つから選べます。なお、一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金で受け取る場合は公的年金等控除が受けられるため、どの受取方法を選んでも税制優遇は受けられる可能性があります。
老齢年金の受給形態
・一時金:一度にまとめて受け取る
・年金:5年以上20年以下の範囲で期間を決めて分割して受け取る
・一時金と年金の併用
老齢給付金は原則60歳から受け取れます。ただしiDeCoで掛金を支払った期間が10年以下の場合、受け取り始める年齢が最大で65歳となる可能性があるため注意しましょう。
加入資格と限度額を知っておこう
iDeCoは、基本的には20歳~60歳までのほとんどの方が加入できます。
ただし、職業により決められた加入資格がありますので、ここで確認していきましょう。
「iDeCo」(個人型確定拠出年金)の加入資格
iDeCoに加入するには、以下のように職業によって決められた加入資格を満たす必要があります。2022年5月の改正以降は自営業者や専業主婦(主夫)も65歳まで加入できるようになりました。原則は、20歳~60歳の国民年金加入者で、全額免除や半額免除などを受けていなければ加入できますが、2022年5月以降は国民年金へ任意加入していれば、65歳になるまで加入できるのです。)
また会社員や公務員といった厚生年金加入者は20歳未満でもiDeCoに加入できます。
【図①】職業ごとの加入資格
「iDeCo」(個人型確定拠出年金)の掛金限度額
iDeCoは職業や、勤務先で導入されている企業年金制度によって掛金限度額が異なります。iDeCoに加入する前に、勤務先の退職金制度を確認してみてください。
【図②】職業ごとの掛金の上限額
iDeCoに加入する際は、無理して限度額いっぱいの掛金を拠出しないように注意が必要です。将来に備えることも大切ですが、今の生活も大切ですので、家計を過度に圧迫しないように掛金を設定しましょう。
▼自分の加入資格を知りたい方へ
iDeCo加入診断:三井住友銀行
iDeCoを始める際の注意点
iDeCoを始める前に、注意点についても確認しておきましょう。
60歳になるまで引き出せない
iDeCoは老後の生活資金を準備するための制度であることから、拠出した掛金は、原則60歳まで引き出しができません。途中で生活費が不足したからといって、iDeCoの掛金は引き出しができないため、まずは無理のない掛金からスタートすることを心がけましょう。
また、iDeCoは途中解約もできません。ただし掛金の金額変更や、掛金の拠出を停止することは可能です。
手数料
iDeCo加入時や運用期間中は、次のような手数料がかかります。
・加入時にかかる手数料(加入時のみ2,829円)
・運用中にかかる費用(金融機関によって異なるが毎月数百円程度)
・信託報酬(投資信託ごとに異なる)
iDeCoで長期にわたって積立投資をすると、手数料が運用成果に与える影響も大きくなる可能性があるため、各金融機関の手数料や投資信託の信託報酬も忘れずにチェックしましょう。
元本割れのリスク
iDeCoは、長期・積み立て・分散投資によってリスクを抑えた運用が可能ですが、運用結果次第では元本割れする可能性があります。通常の貯蓄とは異なる点は、心得ておきましょう。
まとめ
iDeCoとは、「自分のために老後資金を積み立てる制度」です。定期預金や投資信託などの金融商品で運用して増やし、掛金の支払い中、運用中、受け取り時に「税金が安くなること」がメリットです。年金や退職金が減少傾向にある現代では、iDeCoの必要性は高いと言えるでしょう。
一方でiDeCoのデメリットとして、原則60歳までは受け取れないことなどが挙げられますが、
「はじめから老後資金として無理のない範囲で積み立てること」で解消することができます。
将来の生活を豊かにするために、税金面でもメリットが多いiDeCoを始めてみてはいかがでしょうか。
iDeCoはなじみの銀行や証券会社で加入することができます。「メガバンクは手数料が高い」と思われるかもしれませんが、たとえば三井住友銀行では、毎月の運営管理機関手数料が0円のプランを用意しています。WEBで加入手続きを完結させることもできますし、最寄りの窓口で相談、加入することもできますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
▼三井住友銀行のiDeCoについて知ろう!
個人型確定拠出年金「iDeCo」:三井住友銀行
※この記事は2020年1月9日に公開した内容を2023年3月1日に更新して掲載しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
- 執筆:金子 賢司
- 個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務めるファイナンシャルプランナー。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。CFP、日本FP協会幹事。
https://fp-kane.com/