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#2 iDeCo(イデコ)でおすすめの商品・金融機関はどれ? 具体的な選び方を解説

「iDeCo(イデコ)」は選べる商品や金融機関がたくさんありますが、どれが良いのでしょうか。「どれ?」が口癖のどれみさんは、FP(ファイナンシャルプランナー)に教えてもらうことにしました。
iDeCoの概要と特徴からおさえよう!

iDeCoのおすすめの商品や金融機関をご紹介する前に、まずはiDeCoの基本的な仕組みを確認しておきましょう。
・iDeCoは老後の年金を自分で積み立てる制度
iDeCoは「個人型確定拠出年金」の愛称で、支払った掛金を自分で運用して、老後に必要な資金を積み立て、原則60歳以降に受け取る仕組みです。iDeCoの運用商品には、定期預金や保険のような身近なものだけでなく、投資のプロに資金を預けて代わりに運用してもらう投資信託も含まれます。
運用の結果によっては、支払った掛金よりも多くの年金を受け取れますが、掛金よりも年金の額が少なくなることもあります。
・iDeCoには税制上のメリットがある
iDeCoでは、以下の3つの場面で税制上のメリットがあります。
・掛金を支払うとき
・掛金を運用するとき
・積み立てたお金を受け取るとき
掛金を支払うときには、掛金に応じて所得税と住民税が安くなり、運用して増えた運用益は非課税で、受け取るときにも大きな控除の枠があります。
そのため、節税としてiDeCoを利用する方もいらっしゃいますが、本来の目的である「老後資金を貯めること」を忘れず、無理のない範囲で掛金を設定しましょう。
・iDeCoの申し込みと相談窓口
iDeCoを始めるためには、銀行や証券会社などの金融機関を通じて口座を開設する必要があります。金融機関を選ぶポイントについては後述しますが、いずれの場合も申し込みから口座の開設までは少し時間がかかるため、余裕を持って申し込むと良いでしょう。
また、iDeCoに関して誰かに相談したい場合は、FPや銀行など金融機関の窓口がおすすめです。FPは日本FP協会の公式HPで、地域や専門分野、実績を確認し、相談相手を選ぶことができます。また、銀行などの窓口は土日に空いているところも多く、口座がない方でも無料で相談することができますので、足を運んでみてください。
ここまではiDeCoの特徴や始めるための方法について解説しました。iDeCoの概要に関してはこちらの記事で詳しく説明しています。
iDeCoで商品を選ぶときのポイントは「投資先」と「手数料」

iDeCoではさまざまな商品、金融機関の中から、自分で選ばなければなりません。商品はいくつでも選べますが、選べる金融機関は1つだけです。また金融機関により取扱い商品が異なるため、金融機関を決めた後に「選びたい商品がない」ということにならないよう、まず商品を決め、金融機関はその商品を取り扱っている中から選ぶことをおすすめします。
ここではまず、iDeCoで運用する商品を選ぶときのポイントについて解説していきます。
・投資先を確認して商品を選ぼう
iDeCoで選べる商品の種類には、元本が確保されている定期預金・保険や、元本が変動する可能性がある投資信託などがあります。将来の年金をより増やしたい場合は、投資先を確認して投資信託を取り入れることを検討してみましょう。
投資先では、「どこの国」の「どんな資産」に投資しているのかに着目しましょう。
投資信託の投資先を、大まかに分けると以下のようになります。

リスクをおさえてお金を増やしていきたい方は①や②を、積極的に運用益を狙いに行きたい方は⑤や⑥を選ぶと良いでしょう。
また国内株式や先進国株式などは、その国の企業へ間接的に投資することになります。商品ごとに投資先の企業は異なるため「この企業に投資してみたい」という理由で投資先を選ぶのも、1つの方法ですね。
もちろん、上記の6つ以外にもたくさんの金融商品があり、さまざまな投資先を組み合わせた商品も販売されています。「何を選べば良いかわからない」という方は、なるべく多くの異なる投資先を組み合わせた商品(いわゆるバランス型)を選ぶことをおすすめします。
・手数料に注目して商品を選ぼう
iDeCoで投資信託を購入する場合は、信託報酬と呼ばれる手数料を必ず確認しましょう。投資信託は、投資家から集めたお金を、運用の専門家(プロ)が日本または海外の株式・債券等を複数選んで運用(分散投資)し、得た利益を投資家に配分する金融商品です。
信託報酬は、自分の代わりに運用をしてくれる投資のプロに対して支払う報酬のことです。一般的には年間0.5%〜2.0%ほどの金額が信託報酬として差し引かれます。
たとえば、投資の金額が年間25万円で信託報酬が0.2%の場合は、信託報酬は年間に500円です。
iDeCoによる積み立ては長期間にわたるため、理由もなく信託報酬が高いものを選ぶと効率良くお金が増えていかないことがあります。
投資信託を購入するのが初めての方は、信託報酬が低いインデックスファンドがおすすめです。インデックスファンドとは、「日経平均株価」や「NYダウ」などの指標と同じ値動きを目指す投資信託です。
反対に、指標よりも高い利益を積極的に狙うアクティブファンドは、信託報酬が高くなります。「高い信託報酬を支払ってでもこれに投資したい!」と思えるような商品があった場合は、アクティブファンドを選ぶと良いでしょう。
【関連サイト】三井住友銀行「SMBCロボアドバイザー」
金融機関を選ぶときのポイントは、「取扱商品」と「相談窓口」

iDeCoの口座は、銀行や証券会社などさまざまな金融機関で開設が可能です。投資の初心者が金融機関を選ぶときは「取扱商品」と「相談窓口」の2つに着目して選びましょう。
・取扱商品の豊富な金融機関を選ぼう
iDeCoは、加入する金融機関によって、選べる金融商品が異なります。ラインナップが豊富なところもあれば、選びやすいように商品を厳選しているところまでさまざまです。
そのため金融機関を選ぶときは、商品ラインナップを確認して、自分の加入したい商品があるかどうか検討しましょう。大切なのは、商品選びのポイントを踏まえて、投資する商品の目星をつけた上で金融機関を選ぶことです。
iDeCoの口座は一度開設すると、金融機関を変更するには所定の手続きが必要です。手続きは面倒なだけでなく、完了までに期間を要します。変更時には移換手数料も発生してしまうので、時間的にも金銭的にも損をすることになるでしょう。
そのためiDeCoに加入する際は、先に投資したい商品を選んだ上で、自分が希望する投資商品を取り扱っている金融機関を選ぶと良いでしょう。
・相談窓口を利用しやすい金融機関を選ぼう
iDeCoの相談窓口は、金融機関によって異なります。投資初心者の方や、iDeCoについてよくわからないと感じている方は、以下の3つの観点から相談しやすい金融機関を選ぶと良いでしょう。
・コールセンターの営業時間はいつか
・Webでの問い合わせはできるか
・店舗での相談は可能か
金融機関によってコールセンターを利用できる時間は異なります。何時から何時まで対応しているのか? 土日も対応しているか? といった情報を確認し、自分が相談できそうな時間にコールセンターが稼働している金融機関を選ぶと、隙間時間に相談ができるため安心ですね。
対面で相談をしたい場合は、対面窓口のある証券会社や銀行でiDeCoの相談が可能なところを探しましょう。
30歳から積み立てた場合のシミュレーションをみてみよう

実際にiDeCoで運用することで、いくら貯まるのか気になる方は多いでしょう。
ここでは、30歳から30年間iDeCoで積み立てた場合にいくら貯まるのかを確認していきましょう。
・職業別にシミュレーション
iDeCoに加入した場合の積み立て額を自営業、会社員、公務員、専業主婦(夫)の場合に分けてシミュレーションしてみます。
※今回のシミュレーションは、実際にiDeCoでの運用結果をお約束するものではありません。iDeCoには、投資リスクがあるため損失が発生する可能性もありますので、参考程度に確認してください。
シミュレーション条件は、以下の通りです。
・積み立て開始年齢:30歳
・積み立て期間:30年間(60歳まで)
・拠出掛金:職業ごとによって定めれた上限
また、運用結果はこちらのサイトで計算したものを利用しています。
それでは、シミュレーション結果を確認してみましょう。

一方、公務員の方のようにiDeCoで拠出できる掛金が少ない場合でも、きちんと運用できれば30年で約1,000万円の老後資金の確保が可能です。
ただし掛金の額は、あくまで現在の生活に支障がない範囲で設定する必要があります。特に、売上や収入の変動が激しい自営業の方や、収入のない専業主婦(夫)の方は、生活環境の変化で掛金が大きな負担となりやすいです。無理はせず、生活を圧迫しない範囲で掛金を設定してくださいね。
【関連サイト】三井住友銀行「メリットを確認!税軽減シミュレーション」
※この記事は2019年12月時点の情報を基に作成しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
- 執筆:品木 彰(しなき あきら)