iDeCoの疑問iDeCoの疑問
2020.2.19
#7 公務員はiDeCo(イデコ)に加入すべき? 退職金のかわりになる?

公務員がiDeCo(イデコ)に加入するメリットやおすすめ商品は何なのでしょうか。公務員のなにおさんは、FP(ファイナンシャルプランナー)に教えてもらうことにしました。
公務員のiDeCo利用者が増えている!

iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことで、老後の年金を自分自身で運用して積み立てていく私的年金制度です。
iDeCoは2001年からはじまった制度ですが、公務員が加入できるようになったのは、2017年1月からです。それから3年も経たないうちに、公務員のiDeCo利用者は約296,000人になりました。(2019年6月時点)
公務員がiDeCoに加入できるようになり、利用者が増えているのはどうしてなのでしょうか。その背景には、公務員の「年金制度の改定」と、「退職金の減額」が挙げられます。
iDeCoは2001年からはじまった制度ですが、公務員が加入できるようになったのは、2017年1月からです。それから3年も経たないうちに、公務員のiDeCo利用者は約296,000人になりました。(2019年6月時点)
公務員がiDeCoに加入できるようになり、利用者が増えているのはどうしてなのでしょうか。その背景には、公務員の「年金制度の改定」と、「退職金の減額」が挙げられます。
【公務員のiDeCo利用者が増加している背景①】年金制度の改定
公務員の年金制度はもともと「共済年金」と呼ばれるものでしたが、2015年10月の改正で共済年金はなくなり、会社員と同じ厚生年金へと一元化されています。
年金制度が変わった理由は、公務員と民間企業で働く会社員との格差をなくすためです。共済年金には「職域加算」という上乗せ部分の年金があるだけでなく、保険料率も厚生年金より低く設定されており、公務員の方が優遇されていました。
そこで、共済年金を厚生年金に一元化して公務員が支払う保険料率を上げるだけでなく、職域加算を廃止し「年金払い退職給付」を新しく導入することとなりました。年金払い退職給付は、職域加算よりも支給額が1割ほど下がるため、老後の年金額が減ってしまったのです。
年金制度が変わった理由は、公務員と民間企業で働く会社員との格差をなくすためです。共済年金には「職域加算」という上乗せ部分の年金があるだけでなく、保険料率も厚生年金より低く設定されており、公務員の方が優遇されていました。
そこで、共済年金を厚生年金に一元化して公務員が支払う保険料率を上げるだけでなく、職域加算を廃止し「年金払い退職給付」を新しく導入することとなりました。年金払い退職給付は、職域加算よりも支給額が1割ほど下がるため、老後の年金額が減ってしまったのです。
【公務員のiDeCo利用者が増加している背景②】退職金額の低下
公務員と会社員の格差をなくす動きは年金だけにとどまらず、退職金額も年々低下しています。以下は、地方公務員と国家公務員の退職金の平均額を年度別にまとめたものです。

※地方公務員は総務省「地方公務員給与実態調査」、国家公務員は 内閣官房「退職手当の支給状況」を参照。
2015年と2019年を比較すると、地方公務員で約230万円、国家公務員で約99万円も減っていることがわかりますね。
退職金は、会社員も減少傾向です。公務員と会社員の格差をなくす動きが今後も続くのであれば、公務員の退職金額はさらに低下する可能性もあります。
「公務員であれば老後も安泰」という時代ではなくなっているため、iDeCoに加入して老後資金を自分で積み立てる公務員が増えているのです。
退職金は、会社員も減少傾向です。公務員と会社員の格差をなくす動きが今後も続くのであれば、公務員の退職金額はさらに低下する可能性もあります。
「公務員であれば老後も安泰」という時代ではなくなっているため、iDeCoに加入して老後資金を自分で積み立てる公務員が増えているのです。
公務員がiDeCoに加入するメリット・デメリットってなに?

ここでは、公務員がiDeCoに加入するメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
・公務員がiDeCoに加入するメリット
公務員がiDeCoに加入すると、以下の3つの税金優遇を受けて手元に残るお金を増やし、減ってしまった年金や退職金をカバーできます。
● 掛金を積み立てると、所得税と住民税の負担が減る
● 運用中に増えた利益が非課税となる
● 受け取るときにも大きな控除枠がある
特に公務員は、一部の自治体を除き副業が禁止されており、収入を得る手段が限られているため、手元に残せるお金が増える節税効果のメリットは大きいと言えますね。
● 掛金を積み立てると、所得税と住民税の負担が減る
● 運用中に増えた利益が非課税となる
● 受け取るときにも大きな控除枠がある
特に公務員は、一部の自治体を除き副業が禁止されており、収入を得る手段が限られているため、手元に残せるお金が増える節税効果のメリットは大きいと言えますね。
・公務員がiDeCoに加入するデメリット
公務員の場合、iDeCoの掛金は毎月12,000円(年間144,000円)までです。自営業の方や会社員と比較して掛金の上限が低いのは、まだまだ退職金や年金などが恵まれていると考えられているからです。
掛金の上限が低いということは、他の職業の方に比べて、老後までに積み立てられる額や、所得控除による節税効果が少ないということです。しかし掛金の上限が低い公務員でも、節税効果が低いわけではないことを次で説明していきます。
また、iDeCo全体のメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
掛金の上限が低いということは、他の職業の方に比べて、老後までに積み立てられる額や、所得控除による節税効果が少ないということです。しかし掛金の上限が低い公務員でも、節税効果が低いわけではないことを次で説明していきます。
また、iDeCo全体のメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
【関連記事】iDeCo(イデコ)のメリット・デメリットはなに? どんな人が得する?
具体的にどれくらい節税効果があるの?

公務員がiDeCoに加入した場合、具体的にどのくらいの節税効果があるのでしょうか。
・年収650万円なら税金が約34,000円戻ってくる
年収650万円の地方公務員がiDeCoに加入した場合の節税効果を確認しましょう。
● 年収:650万円(うち賞与160万円)
● iDeCoの掛金:毎月12,000円(年間144,000円)
● 年収:650万円(うち賞与160万円)
● iDeCoの掛金:毎月12,000円(年間144,000円)

このように、1年で34,370円の節税効果が期待できます。5年で171,850円、10年で343,700円ですので、積み重ねると大きな金額になりますね。
ただしiDeCoの節税効果は、収入や家族の人数などの状況によって変わります。住宅ローン控除のような、所得税や住民税の額を大きく減額できる制度を使える方は、iDeCoに加入しても節税効果が得られない場合もあるため注意しましょう。
ただしiDeCoの節税効果は、収入や家族の人数などの状況によって変わります。住宅ローン控除のような、所得税や住民税の額を大きく減額できる制度を使える方は、iDeCoに加入しても節税効果が得られない場合もあるため注意しましょう。
・iDeCoの所得控除を申告するには年末調整をしよう!
公務員の方は、iDeCoの所得控除は年末調整で申告しましょう。年末調整とは、給与からあらかじめ天引きされた所得税を正しい金額に計算し直し、精算する手続きです。
年末調整は、以下の3ステップで簡単に終わります。
1. 勤務先から受け取る「給与所得者の保険料控除申告書」を記入
2. 国民年金基金連合会から送られる「小規模企業共済等掛金払込証明書」の原本を添付
3. 期限内に担当部署に提出
年末調整の時期は、毎年11月ごろです。職場によって申告期限が異なるため、事前に確認の上、余裕を持って申告しましょう。
年末調整の方法や仕組みについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
年末調整は、以下の3ステップで簡単に終わります。
1. 勤務先から受け取る「給与所得者の保険料控除申告書」を記入
2. 国民年金基金連合会から送られる「小規模企業共済等掛金払込証明書」の原本を添付
3. 期限内に担当部署に提出
年末調整の時期は、毎年11月ごろです。職場によって申告期限が異なるため、事前に確認の上、余裕を持って申告しましょう。
年末調整の方法や仕組みについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
公務員のためのiDeCoの選び方

公務員は掛金の上限が低いため、商品選びは特に重要です。まずは簡単に商品と金融機関の選び方のポイントをお伝えし、公務員のための具体的な商品選びについて解説します。
・まずは商品を選んでから、金融機関を選ぼう!
iDeCoを始めるときは、まず商品を選んでからiDeCo口座を開設する金融機関を選びましょう。金融機関ごとに取り扱っている商品が異なるため、先に金融機関を決めてしまうと、希望の商品を選べない可能性があるからです。
iDeCoでは、定期預金や保険といった元本確保型の商品だけでなく、投資信託のような元本変動型の商品を選べます。
もし投資信託で運用するのであれば、「信託報酬」という手数料を支払わなければなりません。信託報酬は、投資信託の管理・運営のために支払う手数料です。
「高い手数料を支払ってでもここに預けたい!」という希望がない限りは、できるだけ信託報酬が低い商品を探してみましょう。iDeCoの加入期間は、20年や30年など長期間にわたることが多く、手数料が高いと効率よく積み立てられないからです。
商品が決まったら、次にその商品を取扱う金融機関の中から1つを選びましょう。
商品があるかどうか以外では、相談窓口をもとに選ぶのも重要なポイントです。iDeCoの仕組みは複雑な部分もあるため、問い合わせをしやすい金融機関を選ぶと、簡単に疑問点を解決できるからです。
ネットや電話で素早く相談できるところも良いですし、最近は土日にも窓口を開けて気軽に相談できる銀行なども多くあります。
iDeCoでおすすめの商品や金融機関の選び方については、こちらの記事で詳しく説明しています。
iDeCoでは、定期預金や保険といった元本確保型の商品だけでなく、投資信託のような元本変動型の商品を選べます。
もし投資信託で運用するのであれば、「信託報酬」という手数料を支払わなければなりません。信託報酬は、投資信託の管理・運営のために支払う手数料です。
「高い手数料を支払ってでもここに預けたい!」という希望がない限りは、できるだけ信託報酬が低い商品を探してみましょう。iDeCoの加入期間は、20年や30年など長期間にわたることが多く、手数料が高いと効率よく積み立てられないからです。
商品が決まったら、次にその商品を取扱う金融機関の中から1つを選びましょう。
商品があるかどうか以外では、相談窓口をもとに選ぶのも重要なポイントです。iDeCoの仕組みは複雑な部分もあるため、問い合わせをしやすい金融機関を選ぶと、簡単に疑問点を解決できるからです。
ネットや電話で素早く相談できるところも良いですし、最近は土日にも窓口を開けて気軽に相談できる銀行なども多くあります。
iDeCoでおすすめの商品や金融機関の選び方については、こちらの記事で詳しく説明しています。
・積極的に運用するなら、投資信託もおすすめ
iDeCoで老後資金を積極的に増やしたい場合は、投資信託を取り入れてみましょう。
投資信託は、投資家から集めたお金を、運用の専門家(プロ)が日本または海外の株式・債券等の投資先を複数選んで運用(分散投資)し、得た利益を投資家に配分する金融商品です。
一般的に、債券はローリスク・ローリターン、株式はハイリスク・ハイリターンと言われています。ただ投資信託の場合、株式型と言っても1つの企業でなく、プロが選んだ複数企業の株式に分散されており、さらに国も分散されていることが多く、その分リスクが分散されます。債券型は期待できる利回りが1%~3%程度、株式型は2%~10%を超えるものもあります。
積極的に運用するのであれば、5%以上の利回りが期待できる投資信託を選びたいところです。例えば毎月12,000円の掛金を30年間、利回り5%の投資信託で運用できたとすると、約982万円になり、運用益は約550万円です。
自分は「どれだけのリスクならストレスにならないか」「どれだけのリターンを狙いたいか」といった目安を立てて、商品を決めましょう。
投資信託は、投資家から集めたお金を、運用の専門家(プロ)が日本または海外の株式・債券等の投資先を複数選んで運用(分散投資)し、得た利益を投資家に配分する金融商品です。
一般的に、債券はローリスク・ローリターン、株式はハイリスク・ハイリターンと言われています。ただ投資信託の場合、株式型と言っても1つの企業でなく、プロが選んだ複数企業の株式に分散されており、さらに国も分散されていることが多く、その分リスクが分散されます。債券型は期待できる利回りが1%~3%程度、株式型は2%~10%を超えるものもあります。
積極的に運用するのであれば、5%以上の利回りが期待できる投資信託を選びたいところです。例えば毎月12,000円の掛金を30年間、利回り5%の投資信託で運用できたとすると、約982万円になり、運用益は約550万円です。
自分は「どれだけのリスクならストレスにならないか」「どれだけのリターンを狙いたいか」といった目安を立てて、商品を決めましょう。
※この記事は2019年12月時点の情報を基に作成しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
- 執筆:品木 彰(しなき あきら)