iDeCoに加入できる会社員の条件は?

どれみさん どれみさん

iDeCoに加入できない会社員がいるって本当?

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勤務先に企業型DCがあり、iDeCoとの併用が認められていない場合は加入できません

  • 2022年10月以降は、すべての会社員が加入できるようになります。

2020年2月現在、会社員の方がiDeCoに加入できる条件は以下のとおりです。

【会社員のiDeCo加入条件】

  • 20歳以上60歳未満であること
  • 企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入していないこと(以下例外もあり)
  • 企業型DCに加入している場合、会社が支払う掛金の上限額を引き下げること、かつiDeCoとの併用を認めていること

iDeCoに加入できるかどうかはこちらで簡単に診断できます。

【関連記事】 三井住友銀行「iDeCo加入条件診断」

企業型DCに加入している場合は、原則iDeCoに加入できませんが、勤務先が併用を認めている場合は、その限りではありません。

2019年10月末時点で企業型DCの加入者は約723万3,000人です。日本の会社員は約6,046万人ですので、会社員の約12%が企業型DCに加入していることになります。

「自分が企業型DCに加入しているかどうかわからない」
「規約の確認方法がわからない」
という方は、会社の退職金規定を見るか、人事や総務の担当者に確認しましょう。

会社によっては「企業型DCはあるが、正社員のみが対象」となっているケースもあります。
その場合、現在は契約社員やパート社員として勤務しているため対象外であっても、将来正社員としての登用が決まれば、加入対象になる可能性があります。

そのため、会社でのキャリアプランも念頭におきつつ、確認するようにしてください。

2022年10月以降は、企業型DCに加入している方の勤務先の許可が不要となるため、すべての会社員がiDeCoに加入できるようになります。

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会社員のiDeCoの掛金上限額は?

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企業により異なりますが、上限は月2万3,000円です。

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iDeCoにおける会社員の掛金の上限額は以下のとおりです。

企業型DCがない 他の企業年金等※1がある 月1万2,000円
(年間14万4,000円)
他の企業年金等がない 月2万3,000円
(年間27万6,000円)
企業型DCがある
  • 規約で認められる場合のみ
他の企業年金等がある 月1万2,000円
(年間14万4,000円)
他の企業年金等がない 月2万円
(年間24万円)
  • 「他の企業年金等」とは、確定給付企業年金や厚生年金基金を指します

会社員のiDeCoの掛金上限額は、勤務先が導入している企業年金制度によって異なります。
「自分の会社には企業型DCがないし、上限額を支払える」と思っていても、勤務先に厚生年金基金などの企業年金制度があれば、毎月の掛金の上限は少なくなります。

iDeCoへの加入にかかわらず、企業年金制度の有無は、老後の生活を大きく左右します。
企業年金制度についてよくわからないという方は、この機会にしっかりと理解しておくことをおすすめします。

会社員がiDeCoに加入するメリット・デメリットは?

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会社員がiDeCoに加入するメリット・デメリットは?

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会社員特有のメリットは転職先は資産を持ち運べること、デメリットは企業によって上限額が異なることです。

会社員がiDeCoに加入したときの主なメリットは、

  • 掛金を積み立てるとき、運用で利益が出たとき、受け取るときに税金が安くなること
  • 転職先にもiDeCoの資産を持ち運べること

です。

企業年金では、勤務先を退職するたびに年金資産の精算が必要で、転職先に持ち運べませんでした。iDeCoは、掛金の支払い期間中に転職した場合でも、積み立てた資産を転職先に持ち運んで運用を継続できます。

その反面、

  • 原則60歳になるまで引き出せない
  • 勤務先によって掛金の上限が異なるため、転職時などに意図せず減額しなければならないケースがある

などのデメリットもあるので気をつけましょう。

iDeCoのメリット・デメリットについて、詳しくはこちらの記事で説明しています。

【関連記事】 iDeCo(イデコ)のメリット・デメリットはなに? どんな人が得する?

iDeCoの最大のメリットは、税金が安くなることです。
所得税や住民税の負担が大きい会社員の方にとっては、特に大きなメリットと感じられるのではないでしょうか。
そこで、具体的にどれくらい税金の負担を減らせるのか、具体的にシミュレーションしてみましょう。

・iDeCoの節税効果 年代別シミュレーション

iDeCoに加入した場合の節税効果はどのくらいなるのか、年代別にシミュレーションしました。
以下の図は、iDeCoで毎月1万円または2万円を積み立てたときの節税効果を記載しています。

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30歳、40歳、50歳の会社員が月1万円または2万円の掛金を支払ったときの節税効果は以下のとおりです。

年代・掛金別の年間の節税効果
掛金1万円(月額) 掛金2万円(月額)
@30歳 年収450万円 2万750円 3万8,750円
A40歳 年収520万円 2万4,000円 4万8,000円
B50歳 年収568万円 2万4,000円 4万8,000円

【関連サイト】 三井住友銀行「メリットを確認!税軽減シミュレーション

いずれの年代でも年間2万円以上、多いと4万円を超える税金の軽減効果があることがわかりました。
iDeCoは毎月拠出する場合、年間に最低でも2,052円の手数料がかかることがデメリットですが、年2万円以上の節税ができるのであれば、手数料分を大きく上回ります。
ただし、上記のシミュレーションは他の控除(税金の軽減効果)を受けていることを想定していません。住宅ローン減税やふるさと納税とiDeCoを併用する場合、金額によってはそれぞれの節税の効果が薄くなってしまう可能性もあります。

iDeCoを利用して節税メリットを受けるためには、自分の節税の状況や納税額をあらかじめ確認することが大切です。

今後はすべての会社員が加入できるようになる?

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iDeCoの加入条件が変わるって本当?

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2022年10月すべての会社員がiDeCoに加入できるようになります!

先述のとおり2019年12月現在は、会社員が企業型DCに加入している場合、iDeCoとの併用を認めている企業でない限り、iDeCoに加入することができません。
厚生労働省の調査によれば、企業型DCを導入している会社のうちiDeCoの加入を認めている企業は、2019年3月末時点で全体の約4%しかないそうです。

これでは企業型DCに加入している多くの会社員は、iDeCoに加入できません。
しかし国としては、少子高齢化が進み公的年金制度にほころびが出ている今、国民の一人ひとりに自助努力で老後資金を準備してほしいという狙いがあります。

そこで、現行のiDeCoでは会社員の加入者が伸び悩んでいる状況を踏まえ、現行の基準を緩和し2022年10月以降、すべての会社員が加入できるよう改正されることになりました。

具体的な改正の内容は、

  • すべての会社員がiDeCoに加入できるようになる
  • 企業型DC加入者がiDeCoと併用する場合の掛金の上限は、月2万円
  • 企業型DC加入者は、企業型DCに個人で掛金を上乗せする「マッチング拠出」か、企業型DCとは別にiDeCoに加入するかを選択できるようになる

などです。

掛金の上限やマッチング拠出かiDeCoかの選択については未だ検討段階ですが、加入条件を緩めることはほぼ確実で、早ければ2020年には通常国会に法案が提出される見通しです。

企業型DCとiDeCoを併用できるようになれば、「さらに節税しながら老後資金の積み立てができる」「企業型DCとiDeCoで異なる金融機関を選択できるため、対象商品の選択肢が広がる」というメリットがあります。

企業型DCを利用する場合、企業が提携している金融機関が用意する商品しか選べません。そのため、企業型DCに加入しているものの、「他の銀行の商品を運用したい」「もっと商品の選択肢があれば良いのに」という不満がある方にとっては、iDeCoを活用して運用の幅を広げるチャンスです。

iDeCoを活用すれば、金融機関を自分で選ぶことができます。
企業型DCに加入していて、「節税のためなら、企業型DCのマッチング拠出で十分」と思われる方は、企業型DCの運用商品を見直してみましょう。
もし企業型DCに少しでも不満を感じているのであれば、iDeCoとの併用によって、運用の幅を広げてみてはいかがでしょうか。

【関連サイト】 厚生労働省『第9回 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 資料「制度の普及等に向けた改善について(2019年11月8日)」』

まとめ

会社員がiDeCoに加入すると、節税効果があるのが大きなポイントです。
原則60歳までお金を引き出すことができないのはデメリットですが、「毎月お給料から引かれる税金の負担が大きい」という方は、iDeCoを活用したときの税負担の軽減を活用しましょう。

そのほか、会社員がiDeCoに加入するときのポイントは、以下の4つです。

  • 掛金は月額5,000円から1,000円単位で設定でき、2万3,000円が上限額となる
  • 企業型DCや企業年金制度などの加入者は、掛金の上限が異なる
  • 住宅ローン減税などですでに十分に税金がおさえられている場合、iDeCoの所得控除による税負担の軽減効果は期待できない場合がある
  • 企業型DC加入者は、勤務先でiDeCoとの併用が認められていなければ加入できないが、今後の法改正により、2022年10月以降は勤務先の承認なしで併用可能に

制度改正が実現すれば、現在iDeCoに加入できない方でも、企業型DCとiDeCoとの併用が可能です。iDeCoを利用すれば、自分で好きな金融機関を選ぶことができ、商品の選択肢が増えるため、運用の幅を広げていくことが可能です。

この機会に、すでにiDeCoに加入できる会社員の方も、加入できない会社員の方も、iDeCoの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

  • この記事は2020年1月に公開した内容を2020年10月に内容を更新して掲載しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

服部 椿(はっとり つばき)

ファイナンシャル・プランナー。金融代理店での勤務経験と、自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。子育て中のママFPでもあるため、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン相談が得意。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。

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