海外投資への道

2018.6.13

マンガレポート イラストレーター ナガイクミコの海外投資への道 ~ブラジル 前編~

前回までのあらすじ】
マネービバの編集長にそそのかされ、国際分散投資について学ぶことになったナガイ。突然、編集部に呼び出され...!?

ブラジル 前編
~バラエティ豊かで寛容な国!?~

都内某所ある日のマネービバ編集部 ナガイ「あれ・・・?打合せをして取材先の国を決めるはずじゃ・・・」
ナガイ「ハッ!まさか?」編集長「記念すべき第1カ国目は!ブラジルだ!!ブラジルに投資すべきか否か!徹底的に取材してきて!」
マビー
ナガイさん、朗報です。ピッタリの先生が見つかりました!
お会いする前にブラジルについて簡単に予習しておきましょう!
ナガイ
助かるー!『オトナの社会勉強』だね!
What is ブラジル? <正式国名>ブラジル連邦共和国 <人口>約2億784万人 <国土面積>約851.2万平方キロメートル そして世界遺産イグアスの滝

「ブラジル連邦共和国 基礎データ(平成29年11月9日時点)」(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/brazil/data.html#section1 を加工して作成

編集長
ふむふむ、公用語がポルトガル語なのは知ってるよね。
君たち任せたよ、じゃ、とりあえず、いってらっしゃい!

トピック1「都市と地方の格差。ブラジルの弱点と伸びしろ。」

そして、武蔵大学にやってきました!ナガイとマビー「はじめまして!よろしくお願いします!」武蔵大学 社会学部メディア社会学科 アンジェロ・イシ教授 サンパウロ大学ジャジャーナリズム学科卒。日伯の移民やメディアを研究する傍ら、ジャーナリストとしても活動。
アンジェロ教授
いきなりですがナガイさん!ブラジルはどんなイメージですか?
ナガイ
ジャングルが広がっていて...人々が毎日カーニバル...??
マビー
もう! ナガイさん!
アンジェロ教授
まずは、ブラジルの都市について説明していきましょうか(笑)。
ブラジルは各都市によって個性や役割が全く違うんですよ。
ナガイ
どういうことですか??
アンジェロ教授
まず、日本人がブラジルを思い浮かべる時にイメージするのは、
リオデジャネイロですね。夏のビーチや海、ヨーロッパのような街並など
見どころが多くあり、カーニバルも行われる「観光都市」です。
マビー
大きなキリスト像とかがありますよね!
アンジェロ教授
その通り。そして、もう1つ有名な大都市サンパウロは
「経済都市」と言えます。少し内陸部にあって海はないけど、
真面目で勤勉な人が多いのが特徴です。
ちなみに私も、そんな勤勉なサンパウロ出身です(笑)。
ナガイ
真面目で勤勉!日本人みたいですね。
アンジェロ教授
はい、確かにサンパウロは日系やアジア系の人が多く、
企業の本社ビルが立ち並ぶなど、ブラジル国内では
東京に似ているかもしれません。学校も多く、日本の東大にあたるような
サンパウロ州立大学なんかもあります。
ナガイ
東大! 先生ももしや...??
アンジェロ教授
はい。私の出身校です! (エッヘン)
最後にブラジリア。これは、1950~60年代にかけて政治をつかさどる
計画都市として作られました。
それまでは人がほとんど住んでいなかった内陸の広大な高原に、
未来都市のような建物がたくさんあって、何度行っても飽きない街です。
ナガイ
なるほど! だから、今までブラジルのイメージといえば
一番インパクトが強い密林とカーニバルしかイメージが湧わかなかったんですね。
経済のサンパウロ 観光のリオデジャネイロ 首都で政治のブラジリアの写真
ナガイ
おぉ! サンパウロは、めちゃくちゃ近代都市だ! 東京みたいですね。
マビー
ブラジルは、BRICs(ブリックス)と呼ばれた経済圏のひとつの国として
2000年以降経済が発展しています。
10年前くらいから、さらに新たな日系企業も進出していますよね?
大手旅行代理店や大手化粧品メーカーとか。
ナガイ
へぇー!さすが詳しいね!!
マビー
えへへ!(照)
アンジェロ教授
ブラジルは貧富の差が激しくて、例えば、国内旅行も富裕層のもの
だったんです。しかし、最近では、下層の収入の底上げが進んで、
"新中間層"と呼べる人たちが増え、
国内旅行や美容にもお金を使えるようになってきた
ため、
日本の中間層をターゲットとしてきた大手企業も市場価値があると
判断したのだと思います。
ナガイ
国内旅行もしてなかったんですね。
アンジェロ教授
要因の一つに、鉄道が発達していないこともあるでしょうね。
長距離の移動は飛行機とか長距離バスになります。
ブラジルでもLCCが参入するなど航空券のコストダウンが進んで、
中間層でも飛行機旅行ができるようになりました。
ナガイ
確かに鉄道がないと「気軽に週末熱海!」とかできないですね。
あ、なんだか温泉に行きたくなってきた!
マビー
ナガイさん、集中してください!
アンジェロ教授
鉄道、とりわけ高速鉄道については、今後の課題です。
交通のこともあって、都市と地方に分断があり、インフラが
まだ整っていないことはブラジルの弱点ではありますが、
今後の成長の余地とも言えるかもしれません。

トピック2「広大な国土と多様な気候。農産物も資源も豊富!?」

ナガイ
物価って日本と比べるとどうなんですか?
アンジェロ教授
都市部でみればそんなに変わらないんですが、
外食は東京に比べて高くていつも困ります。
ランチでも、日本と同じものを食べると2,000円くらい
かかることも珍しくないですし。
ナガイ
えー!? そうすると、収入が低い人たちは外食できないですよね?
アンジェロ教授
いや、収入が低い人には、収入が低い人向けの飲食店が
ちゃんとあります!。
ナガイ
なるほど!よかった~!
アンジェロ教授
外食は高いですが、ブラジルは農業大国ですから、
野菜なんかは日本に比べてかなり安いですね。
国産ワインなんかも美味しいんですよ。
マビー
ブラジルは国土が広く、気候も多様なので、
さまざまな農産物が豊富にありますもんね。
アンジェロ教授
はい、農産物だけでなく、石炭や鉄鉱石などの資源も豊富ですね。
一つの産業に依存していないことがブラジル経済の強みと
言えるかもしれません。
ナガイ
ああ、なんだかワインが飲みたくなっちゃった!
マビー
ナガイさんまだ終わっていないですよ!私も飲みたいですけど!

トピック3「多種多様な文化を受け入れる寛容さ」

ナガイ
ブラジル人の特徴ってあるんですか?
アンジェロ教授
都市や民族によって違うので一概には言えないですが、
多民族国家で様々な出自の人々が共存しているので、
個人を尊重し合って、各々の個性を大事にしていることは
共通しているような気がします。
ナガイ
サッカーのブラジル代表も、多人種だし、協力はしつつ、
個人技も認められている気がするかも!
アンジェロ教授
移民や難民を受け入れてきた歴史もあり、
他者や他文化を快く受け入れるのが自然であり、
当たり前だと捉えるのかもしれませんね。
マビー
日系人にしても、当時のブラジル人が文明開化をしたばかりの
日本人を受け入れてくれたから、今があるんですもんね。
アンジェロ教授
はい、ちなみに今年は日本から移民を受け入れて110周年になります。
2005年には当時のブラジル大統領が6月18日を「日系移民ナショナル・デー」、すなわち「日本人移民の日」と制定したりして、
次世代に歴史と友好を継承していこうとしています。
こうした動きで日系人は勤勉だというイメージが定着してますし、
ブラジルは世界でも有数の親日国だと知ってもらえます!
6月18日は「日本人移民の日」!! 日本人の移民を受け入れてから今年は、110周年!!
ナガイ
細かいことで争うんじゃなく、いろんなものを
受け入れていくことで発展してきたんだね。
ブラジルの先行きはとっても明るい気がしてきた!
マビー
寛容しながら共栄していて、器の大きさを感じます!
アンジェロ教授
ただ、それも良いところばかりではありません...。
後編につづく

マビーのグローバル資産運用レッスン Lesson2 「BRICs」って何?マビーのグローバル資産運用レッスン Lesson2 「BRICs」って何?

ナガイ「ブリックス BRICs Bぶ厚い RIリングの Csケイクス」マビー 「違います!!」
ナガイ
さらっと、出てきたけど、「ぶりっくす」ってなんなの?お菓子?
マビー
違います!(焦)
Brazil/Russia/India/Chinaのアルファベットの頭文字をとったもので、2000年代以降急発展を遂げている4か国の総称です。
ナガイ
なんで、その4か国なの?
マビー
ブラジル同様、広大な国土に豊富な資源があり、
さらに人口も多く、今後の成長の可能性が非常に高いからですね。
国土面積で世界全体の約29%、2003年のデータですが、
人口では約43%となっており、世界で圧倒的な比重を占めてます。

出典:「BRICs経済の成長と世界経済への含意に関する調査研究報告書(平成18年3月)」(内閣府)
http://www.esri.go.jp/jp/prj/hou/hou016/hou16.pdf

ナガイ
どっひゃー。そんな国がますます発展したら、
日本はどうなってしまうのかって逆に不安になるわね。
マビー
そうですね。だからこそ、国際分散投資が重要になってくるのです。
ナガイ
うまくまとめたねぇ!
マビー
えへへ!
登場人物紹介登場人物紹介
アンジェロ・イシ教授

アンジェロ・イシ教授(武蔵大学 社会学部メディア社会学科)

サンパウロ大学ジャーナリズム学科卒。日本とブラジルを行き来しながら、日伯の移民やメディアを研究する傍ら、ジャーナリストとしても活動。

趣味:サッカー観戦

ナガイクミコ

ナガイクミコ(イラストレーター)

押しに弱い普通の日本人。どうせ一生独身なので、20年後くらいに海外移住してみたいという夢を漠然と持っている。

特技:マンガやイラストを描くこと

マビー

マビー(マネービバ編集部の敏腕編集者)

帰国子女で日米のハーフ。しっかり者。親の仕事や留学などで、子どもの頃からいろいろな国に住んだ経験がある。

特技:英語など数カ国語を話せること

編集長

編集長(マネービバ編集部の偉い人)

若い頃は、とてもモテたらしい(本人談)。50代相応の落ち着きはあるが行動が突飛で謎の多い人。

特技:投てき(名刺/ダーツ)

【監修】
麻生 雅人(あそう まさと)
ブラジル情報サイト「Mega Brasil」編集長。
馬渕 治好(まぶち はるよし)
ブーケ・ド・フルーレット代表。証券アナリスト。
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