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海外投資への道

2018.9.19

イギリス 前編 ~4つの国がひとつになった不思議な国~

前回までのあらすじ】
マネービバ編集長のアドバイスで、国際分散投資について学ぶことになったナガイ。さて今回は…?

マビー
―後日―
ナガイさん、今回も面白そうな先生が見つかりました!
お会いする前にイギリスについて簡単に予習しておきましょう!
ナガイ
毎度ありがとう! お願いしまーす!

「英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)基礎データ(平成30年7月20日時点)」(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/uk/data.html#section1を加工して作成

トピック1「イギリスは食べ物がおいしくないってホント?」

ナガイ
先生! イギリスって食べ物がおいしくないって聞きましたが、本当なんですか?
マビー
いきなり失礼ですよ!
ナガイ
だって〜気になるじゃん!
笠原教授
そんなことありません! 例えば、イギリスといえば、フィッシュ&チップスですが、あれも侮れませんよ! ポイントはフィッシュ with チップスじゃないってことです!
ナガイ マビー
…!?
笠原教授
つまり、チップスは添え物ではないってことです。店によっては、
ポテトの産地にこだわっていたり、オーガニック素材を使っているところもあるんですから!
ナガイ
へぇー! 知らなかった…!
笠原教授
確かに昔は、月曜日がパスタ、火曜日がカレー、水曜日がチキン…といったように、食べるものが固定されている家庭も多かったようですが、今は、移民が多いこともあり、アラブ系のレバノン料理店を出す店やインドカレーだけの店が並ぶストリートもあります。もしかすると、日本よりも本場の料理を味わえる店が多いかもしれませんよ。
ナガイ
イギリスは食事がまずいっていう噂はなんだったんでしょうね…。
食後はやっぱり紅茶ですか?
笠原教授
昔は日本の緑茶のように家庭でよく飲まれていたようですが、
今は日本と同様でスターバックスでコーヒーを飲んだり、色々のようです。ケーキやサンドイッチなどが数段重ねのトレーに載った、上流階級伝統のハイティーも観光客に人気です。
マビー
やっぱり多様化しているんですね。
あとは、パブでお酒を飲んでるイメージもあります。
笠原教授
最近ではあまり見かけなくなりましたが、以前はサラリーマンらが、仕事をしないでパブでビールを飲んでましたよ(笑)。
ナガイ
日本の花金みたいですね!(笑)
笠原教授
イギリスのビールは、日本のラガーと違い「エール」と呼ばれ、熱処理がされず、炭酸も加えられず、常温で飲まれる生ぬるい伝統的なビールが主流です。とてもおいしいですよ。
ナガイ
あぁー、もう今すぐにでも飲みに行きたい!
マビー
まだ取材中です(怒)! 笠原先生、イギリスに階級社会がまだ残っているようですが、食べるものなども違うのでしょうか?
笠原教授
階級社会ではありますが、具体的に年収に応じた定義みたいなものはありません。貴族はさすがに独自のコミュニティがあって住む世界が違う感じですが、ほかは流動的なんです。労働階級の生まれでも、弁護士や医者になって、上のクラスに行くこともできます。
ナガイ
へぇーー!
マビー
階級を見分ける方法はあるのでしょうか?
笠原教授
英語の発音を聞けばすぐにわかりますよ!
王族の血を引き、名門イートン校からオックスフォード大学を出ているキャメロン元首相なんかは、典型的な上流階級出身の発音ですね。
ナガイ
まさに育ちが出てしまうんですね。
でも、クラスが変わったらどうするんですか?
笠原教授
言葉を階級にあわせて直す人もいますよ。ちなみに、上流階級の人が"ストロング アクセント"って言ったら、あの人、英語が下手ねって意味になります。
ナガイ
うわーイギリスっぽい皮肉!

トピック2「4つの政府、絵柄が違う複数の紙幣、不思議なイギリス」

マビー
イギリスって日本と同じ島国ですけど、4つの地域が合わさった連合王国ですよね?サッカーのワールドカップとかも各地域から代表チームが出場していますし。
笠原教授
そうです。イギリスって不思議な国なんです。イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの地域で構成されていて、それぞれイングランドを除き自治政府を持っています。
日本人が想像するのは、イングランドのことですね。首都であるロンドンがあるので。
マビー
エリザベス女王のいるバッキンガム宮殿もロンドンですね。
ナガイ
それぞれの地域で物価の差はあるんですか?
笠原教授
住宅費を除けば、そんなに大きな違いはないですね。日本でたとえると、首都圏と四国で食べる海産物の値段が違うといった差はありますよね。そういった違いはあるかと思います。
ナガイ
自治政府があると言え、日本の地域差と変わらないのかしら?
笠原教授
それはやはり違いますね。たとえば、スコットランドは、住民ひとりあたりの予算配分が他の地域に比べて多いんですよ。イングランドでは大学の学費が年9,000ポンド(約135万円)もしますが、スコットランドでは学費がタダというほど大きな違いが生まれています。
ナガイ
すごい! じゃあロンドンの高校生がスコットランドの大学に行くこともできるんですか?
笠原教授
行けますが、"留学生"の学費を払う必要があります。スコットランドでは、EUからの留学生は学費がタダになるけど、連合王国の他地域からの学生は学費を払う必要があるという、ねじれ現象が起きています。
マビー
そのほかに違いはありますか?
笠原教授
そうですね。例えば、スコットランドと北アイルランドでは、独自の紙幣が発行されています。
ナガイ
え? ポンドじゃないの?
笠原教授
ポンドはポンドです。日本では中央銀行である日本銀行が円紙幣を発行
しますが、イギリスでは、中央銀行に加え、スコットランドと北アイルランド
に紙幣発行権を認められている民間の銀行が複数存在していて、
独自の紙幣が流通しているんです。
でも、一度、イングランドでスコットランドの高額紙幣を使おうとした
ことがあるんですが、断られちゃいました…。外国でも使えないことが多いです。
信用されているのは法定通貨である中央銀行の紙幣ですね。
マビー
そういえば、イギリスって消費税が日本より高いですよね?
笠原教授
食料品には税金がかかりませんが、お菓子などの嗜好品には消費税が20%かかるんです。
でも、不思議と日本ほど不満は出ません。
イギリスでは戦後、無料の国民医療制度など「揺りかごから墓場まで」で知られる福祉国家が築かれ、国民の多くが税金を払うメリットをきちんとわかっているからだと思います。

トピック3「伝統ある金融とスタートアップのミックスで新しいサービスが続々!」

ナガイ
イギリスの産業面での強みって何ですか?
笠原教授
産業としては、昔から「金融」が強いです。
昔はポンドが今のドルのように世界的な通貨だったこともあり、ロンドンは
今でも世界経済の中心地のひとつです。世界規模の証券取引所もありますし。
ナガイ
あー! たしかに金融のイメージがある!
笠原教授
でも、今はスタートアップ業界も盛り上がっているんですよ。
ナガイ
ITベンチャー企業が増えているんですか?
笠原教授
はい、2010年にキャメロン元首相が、ロンドンの金融街シティ周辺を
アメリカのシリコンバレーに続くテックシティとする構想を提唱したんです。
2010年の段階で約200社だったIT、ハイテク企業が2015年には約4,800社
に急増したというデータもあります。
ナガイ
そんなに一気に増えたんですか!
笠原教授
政府のサポートもありましたけど、リーマンショックの影響で職を失った、金融部門の優秀な人たちがスタートアップに参加して、このシーンを盛り上げたという側面もあるみたいですね。
マビー
リーマンショックがきっかけになったんですね。
笠原教授
イギリスは、金融が強いこともあり、法律事務所や会計事務所など周辺産業も強いんです。
若い人の起業をそういった面で支えられる体制があるのも強みですね。
ナガイ
英語って世界共通語だから国際的な法律やルールも理解しやすいだろうし、もしかするとIT開発に使うソースコードも英語ベースだから理解しやすいのかな。
笠原教授
そうかもしれませんね。金融とITを組み合わせた「フィンテック」とよばれる
新しい分野のスタートアップ企業もたくさん出てきていて、勢いがあります。
ナガイ
信用されているポンドでも断られることがあるなんて…。
強みを組み合わせた分野だから、将来がますます楽しみだって感じがしますね。
(後編につづく)

マビーのグローバル資産運用レッスン Lesson4 フィンテックって何?マビーのグローバル資産運用レッスン Lesson4 フィンテックって何?

ナガイ
「フィンテック」って、何だっけ?
マビー
え? また話聞いてなかったんですか? 「金融」と「IT」を組み合わせたサービスのことです。
ナガイ
それは知ってるから! 聞いてました!
例えば…例えば!どういうこと??
マビー
そうですね。代表的な例がモバイル決済です。
ナガイ
モバイル決済?
マビー
はい。お店で支払をするときに、スマートフォンなどモバイル端末を使って支払うことです。
ナガイ
レジ横でピッ! て払う、あれ?
マビー
はい。最近ではさらに、QRコードで支払えたり、友達同士の割り勘に使えたり、新しい技術が続々と出てきています。
ナガイ
ほほぅー。私は、割と現金派だけど、モバイル決済だと良いことがあるの?
マビー
私たちにすると、支払いが簡単というだけでなく、支払いの履歴が残るので、家計管理がしやすくなります。また、お店側もおつりのための現金を用意する手間もなくなるし、強盗に襲われる危険も少なくなります。
ナガイ
なるほど!
マビー
実は日本は、ATMが便利なところにあり、強盗も少ないので、普及が遅れているのですが、海外ではどんどん普及しています。
スウェーデンには、現金お断りの店があったり、中国の多くの屋台ではQRコードで支払えるそうです。日本の政府も本腰を入れて、普及に努めようとしています。
ナガイ
そうか、グローバルスタンダードになってきてるんだね。
マビー
試しに使ってみると、意外とハマりますよ!
ナガイ
お婆さんになって困らないように、今のうちから練習しておこう。
マビー
お婆さんって…。
登場人物紹介登場人物紹介

笠原 敏彦教授(長崎県立大学 国際社会学科)

東京外国語大学インドネシア科卒。新聞社時代にロンドン特派員を皮切りに、イギリスのみならず世界中を飛び回る。著作に『ふしぎなイギリス』(講談社現代新書)がある。

趣味:ゴルフと海外のビーチめぐり

ナガイクミコ(イラストレーター)

押しに弱い普通の日本人。どうせ一生独身なので、20年後くらいに海外移住してみたいという夢を漠然と持っている。

特技:マンガやイラストを描くこと

マビー(マネービバ編集部の敏腕編集者)

帰国子女で日米のハーフ。しっかり者。親の仕事や留学などで、子どもの頃からいろいろな国に住んだ経験がある。

特技:英語など数カ国語を話せること

編集長(マネービバ編集部の偉い人)

若い頃は、とてもモテたらしい(本人談)。50代相応の落ち着きはあるが行動が突飛で謎の多い人。

特技:投てき(名刺/ダーツ)

【監修】
瀬戸 龍太郎 (せと りゅうたろう)
イギリス情報サイト「ロザリー」編集長。
馬渕 治好(まぶち はるよし)
ブーケ・ド・フルーレット代表。証券アナリスト。