海外投資への道

2018.11.28

マンガレポート イラストレーター ナガイクミコの海外投資への道 ~南アフリカ 前編~

南アフリカ 前編 ~実はグローバルな国? 未知なる南アフリカ~

前回までのあらすじ】
マネービバの編集長にそそのかされ、国際分散投資について学ぶことになったナガイ。ついに最終回だと聞いて、その衝撃からやや暴走気味...!?

マビー「さぁて!今回は?」編集長「取材最後の国だよ!!」ナガイ「そっかもう2ヶ国は終わったんだ・・・」
マビー「地球儀高速設置完了」ナガイ「最後の国は私が決める!!」
ナガイ「刺さったぁー・・・」編集長とマビー「下手・・・」マビー「南アフリカですね!」ナガイ「サバンナ?あと金やダイヤモンドが採れる国だよね?」マビー「それもありますが色々な民族もいるナゾ多き国ですよ?取材の手配します!」ナガイ「マビーちゃん!最後の国!気合い入れていこうね!」
What is 南アフリカ? <正式国名>南アフリカ共和国 <人口>約5,602万人 <国土面積>122万平方キロメートル

「南アフリカ共和国 基礎データ(平成30年6月28日)」(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/s_africa/data.html#section1 を加工して作成

マビー
公用語は、 英語、アフリカーンス語、バンツー諸語(ズールー語,ソト語ほか)など合計11もの公用語があるみたいです。
ナガイ
多っ!!
マビー
公用語は多いですが、通貨は「ランド」一つです。
ナガイ
お金はいいけど日常会話は大変そう...。何語で買い物したり、勉強したり、テレビとか、生活はどうしてるんだろう?
マビー
・・・じゃじゃあ! 行きましょうか(汗)!!
ナガイ
おやぁー? 実は、そこまで詳しくないね(笑)??

トピック1「公用語が11言語!? どんな人たちが住んでる国なの?」

取材当日ナガイとマビー「よろしくぅーお願いいたします!」 日本貿易振興機構(ジェトロ)平野 克己理事『図説アフリカ経済』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)などアフリカ関連の書籍多数。「日本貿易振興機構(ジェトロ)で理事をつとめています平野です。南アフリカを中心にアフリカ全体を研究しています。」
ナガイ
先生! 南アフリカって気になることばかりなのですが、まず11個も公用語があるとかどうやって会話するんですか!?
平野理事
公用語は主に英語ですね。英語ならどこにいっても通じますよ。もちろん、街を歩けば、様々なアフリカの言語も聞こえてきます。
ナガイ
へー。英語が共通言語なんですね。
平野理事
人種構成は、黒人が約80%、白人が8%、カラードと呼ばれる人たちが9%です。
人種別人口構成比(%)の円グラフの図
ナガイ
どんな暮らしをしているのでしょう?
平野理事
アフリカだからと言って、ジャングルで動物たちと一緒に暮らしているわけでもないですよ(笑)。むしろ日本よりも進んでいる部分も多いです。例えば、巨大ショッピングモールができたのは日本より早いくらいでした。キャッシュレス化も日本よりも進んでいます。
ナガイ
そういえば南アフリカは大学も多いですよね。教育についても進んでいるですか?
平野理事
日本と比べれば、大学進学率などまだまだ低いですが、他のアフリカ諸国と比べるとかなり高いですよ。大学の数も多いです。また、識字率は成人識字率で93%です。
ナガイ
なぜ南アフリカは特別なのでしょう?
平野理事
南アフリカは、アフリカの中でもたくさんの白人が入植した国でもあるんですね。だから白人専用の大学が各州につくられました。また、白人がたくさん来ると、教会ができるんです。その教会ができると教育が整うので、教育制度が充実してきたのだと思います。
ナガイ
あーそっか! 字が読めないと聖書も読めないからか!!

トピック2「ダイヤモンドから第3次産業へ転換。
アフリカ経済を引っ張るリーダー」

ナガイ
確か世界最大のダイヤモンドが産出されたのって南アフリカだったと思うんだよね?
マビー
調べてみました! 1905年に3,106カラットの原石が見つかったみたいです。
ナガイ
そうそう私、4月生まれで誕生石がダイヤモンドだから聞いたことがあったんだ。ちなみに私への誕生日プレゼントは前後6ヶ月間受け付けていますよ!
マビー
それって、1年中ですね(呆)。
ナガイ
でも、南アフリカ=ダイヤモンドっていうくらい強いイメージがありますよね。
平野理事
確かに、南アフリカでは金やダイヤモンドがとても埋蔵している地域でした。
ナガイ
ん?でした?
平野理事
金やダイヤモンドは南アフリカの経済成長を支えた資源ではあるのですが、今では採掘量が減ってしまいました。それに、地中深くを掘り進めてきたので、採掘コストが上がってしまい、もう鉱山産業に大きな成長は見込めません。
ナガイ マビー
えぇーーー! ショック!
鉱山産業と金融・保険産業の対GDP比較の棒グラフの図と生産構造の比較(2015年)の円グラフの図

「南アフリカ共和国 基礎データ(平成30年6月28日)」(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/s_africa/data.html#section1を加工して作成

平野理事
そのかわり、ダイヤモンドや金で儲かった資金を元に、様々なグローバル企業が生まれ、アフリカ経済をけん引しています。
マビー
どのような企業があるんですか?
平野理事
銀行でいえばスタンダード銀行です。アフリカ17カ国に事業ネットワークを展開しているアフリカ最大の金融機関で、19世紀に南アフリカで創業されました。1969年にチャータード銀行と合併してスタンダード・チャータード銀行になりましたが、1987年に分離して現在の形になりました。
ナガイ
金融が強いんですね。
平野理事
あと、SABミラーというビール会社もあります。2016年に世界最大の酒類メーカーである「アンハイザー・ブッシュ・インベブ」に買収されましたが、それまでは同社に次ぐ世界第二位のビール会社でした。その規模は、日本の大手ビール会社の約10倍です。
ナガイ
10倍!すごい!でも、私は日本のビールが一番おいしいけどね!
マビー
それは関係ないです(呆)!
平野理事
ほかにも、日本の大企業に匹敵するような企業がたくさんあります。また、南アフリカはBRICSやG20のメンバーでもあります。南アフリカの企業には、今後、ますます成長が見込まれるアフリカ経済を牽引していくリーダーとしての役割が期待されています。
後編につづく
ナガイ「南アフリカって知らなかっただけで都市化されていておどろきました!」マビー「でも、同じBRICS諸国のブラジルで起きていた農業とか貧富の差とか、治安問題など課題があるのも気になりますよね?」ナガイ「その国のことを知るためには課題も知っておかないとだね!」

マビーのグローバル資産運用レッスン Lesson6 GDPって何?マビーのグローバル資産運用レッスン Lesson6 GDPって何?

GDPとは? ナガイ「Gぐっときて!DドキッとしてPポキッ」マビー「またフザけて!!」
マビー
ナガイさん、最後だからって大胆にボケないでください...!
ナガイ
ごめん、ごめん。GDPってたしかあれだよね。
マビー
はい、国内総生産ですね。
ナガイ
そうだった。で、それってなに?
マビー
もう、わかってないじゃないですか。
ナガイ
えへへ。
マビー
その国でどれくらいモノやサービスを作っているか、総量を計ったものですね。
ナガイ
それが大事なの?
マビー
はい、GDPを見れば、その国の経済規模が分かりますし、その成長率を見ることでその国の成長度合いや経済状況の良し悪しがわかります。
ナガイ
なるほど~。
マビー
例えば、2017年のデータによると日本のGDPは4.9兆ドル(547兆円)くらいで、規模でいうと米国・中国に次ぐ3位です。
ナガイ
3位!なかなか捨てたもんじゃないわね。
マビー
はい。ただし、近年の成長率は日本はおおむね1~2%程度で、中国の6-7%程度、米国でも1.5-3%程度と比べると、低い水準にありますね。
ナガイ
なるほど、そういう風に見るのね。私もこの連載で成長できたかしら?マビーちゃん、私の成長率は何パーセントだと思う?
マビー
・・・。日本の経済もそうですが、少しずつでも成長することってすごく大事なことですよね!
ナガイ
GDPってこと?
マビー
え?
ナガイ
G...ごそっと学んで、D...だだっと描いて、P...パッと忘れる。
マビー
(笑)
登場人物紹介登場人物紹介
平野 克己理事

平野 克己理事(日本貿易振興機構)

早稲田大学院経済学研究科卒。グローバルスタディーズ博士(同志社大学)。アジア経済研究所勤務を経て2015年10月よりJETRO理事。アフリカ研究の第一人者として活躍中。『経済大陸アフリカ』(中公新書、2013年)など著書多数。

趣味:美術館巡り、温泉巡り

ナガイクミコ

ナガイクミコ(イラストレーター)

押しに弱い普通の日本人。どうせ一生独身なので、20年後くらいに海外移住してみたいという夢を漠然と持っている。

特技:マンガやイラストを描くこと

マビー

マビー(マネービバ編集部の敏腕編集者)

帰国子女で日米のハーフ。しっかり者。親の仕事や留学などで、子どもの頃からいろいろな国に住んだ経験がある。

特技:英語など数カ国語を話せること

編集長

編集長(マネービバ編集部の偉い人)

若い頃は、とてもモテたらしい(本人談)。50代相応の落ち着きはあるが行動が突飛で謎の多い人。

特技:投てき(名刺/ダーツ)

【監修】
馬渕 治好(まぶち はるよし)
ブーケ・ド・フルーレット代表。証券アナリスト。
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