こだわりハウス、見せてもらっていいですか?

2022.2.22

「土地を買わない選択」で東京都に4,090万円のマンションを購入した靖男さんファミリーの取捨選択術

「土地を買わない選択」で東京都に4,090万円のマンションを購入した靖男さんファミリーの取捨選択術
FPとMoney VIVA編集部が一般のご家庭に突撃取材! 住居にかかっている費用や日々の家計管理術、将来に向けての資産形成術など、マネーに関するあれこれをお聞きしてFPがアドバイスする連載企画「#こだわりハウス、見せてもらっていいですか?」。

第5回は東京都にお住まいの靖男さん(仮名)一家です。「家族でゆったりと過ごせること」にこだわって選んだというマンションを訪問。FPの高山先生とともに、今後のマネープランや資産形成について考えました。

靖男さん一家のプロフィール

靖男さん(夫)……41歳、Web編集
望美さん(妻)……39歳、事務職
美波ちゃん(長女)……8歳
ここがポイント!

理想のエリアでマンションを購入、お手頃価格の理由は?

理想のエリアでマンションを購入、お手頃価格の理由は?
――マイホームを購入されたのはいつ頃ですか?

靖男さん「2017年です。娘が小学校に上がるまでにはマイホームを購入したいと考え、物件探しを始めました。ずっと住んでいた地域がお互いの職場的にも環境的にも便利だったので同じ地域で探していましたが、予算が合わず時間がかかりました」

――最終的には、理想の地域でマンションを購入されていますね。

靖男さん「このマンションは、土地の権利が所有権ではなく定期借地権なんです。そのため、他の物件よりもコストを抑えられました」

――物件のこだわりポイントや気に入っている部分は?

靖男さん「広いリビングです。もともと子どもは1人の予定でしたので、部屋数の多さよりもリビングの広さを重視しました。家族みんなで過ごせる空間を大切にしたかったんです」
広いリビングにこだわったマイホーム
望美さん「マンションの隣がサービス付きの高齢者向け住宅ということです。私たちのマンションと同じ管理会社が運営していて、いざという時には両親をそこに呼べることが、決め手になりました」
靖男さん一家の住宅の間取り
高山先生「ご両親との将来も見据えたうえでの選択なのですね」
高山先生Point
高山先生Point
定期借地権の物件は、地代や土地の返却の際に建物を壊すための積立金などがかかりますが、固定資産税も安くなるというメリットがあります。売却時に物件価格が安くなる傾向にあるので注意が必要ですが、一生涯の住家としてなら検討する価値はあります。

購入価格は4,090万円。住宅ローンの決め方にやや後悔も

――マンションの購入費用について教えてください。

靖男さん「購入価格は4,090万円で、頭金を1,000万円入れました。残りは住宅ローンを組んでいて、返済期間は35年、月々の返済額は8万円です。家計に何かあった時にも対応できるように、ボーナスの上乗せはしていません」

高山先生「最近は、コロナ禍でボーナスに影響が出て住宅ローンの支払いが苦しいという方も増えています。月々の支払額を何かあっても対応できる金額にするというのは、いい考え方だと思います」

靖男さん「ただ、住宅ローンは不動産の営業の方から言われるままに契約したので、今となっては『もっと比較検討してもよかったのでは?』とも思っていて……」

高山先生「借入時期(2017年)の状況ですと、金利自体は誤差の範囲でしょう。ただ、保証料などの諸費用は銀行によって違うので、そこは抑えられたかもしれません」

靖男さん「諸費用のことは知らなかったので、今すぐタイムマシンに乗りたい気持ちです(笑)。でも、金利については安心しました」
住まいの購入にかかった費用一覧①
住まいの購入にかかった費用一覧②
住まいの購入にかかった費用一覧③

保険は最低限。子どもの養育費は惜しまずに

――月々の出費についてみていきましょう。高山先生、いかがでしょうか。

高山先生「大きく偏った出費などがなく、堅実に生活していらっしゃる印象です。家計管理はどのようにしていますか?」
靖男さん一家の毎月の支出
靖男さん一家の毎月の貯蓄
靖男さん「妻がお金の管理が得意で、細かく家計簿をつけてくれています」

高山先生「素晴らしいですね。ファミリー世帯の割に保険料がかなり低いですが、掛け捨てで最低限の保険だけ入られているのでしょうか?」

望美さん「はい。大きな病気の際は高額療養費制度などを活用すればいいと思っていますし、住宅ローンの団信にも入っているので」
靖男さん夫婦
靖男さん「その分、子どもの教育費は惜しまないようにと思っています」
高山先生Point
高山先生Point
貯蓄と保険は分けて考えましょう。保険は貯蓄ではなくリスクに備えるものなので、十分な預貯金があれば保険は最低限の保障でいいでしょう。

副業の収入を投資などの資産運用に積極投入

――靖男さんは最近投資を始められていますが、きっかけは何でしたか?

靖男さん「ここ数年で、副業の収入が安定してきたことです。収入源として考えていなかった余剰金なので、せっかくなら増やすチャンスにしてみようと。米国株を中心に、投資信託で月10万円ずつ積み立て、株を25万円ほど購入しています」
靖男さん一家の現在の金融資産
高山先生「投資の内容が米国株に偏っていますね。暴落に備えて分散投資という考え方も大切です。ポートフォリオのバランスを考えて、国内外の株、債券、不動産に幅広く投資しているバランスファンドなどを検討してみてください」

靖男さん「やはりリスク分散は大切なんですね。さっそく調べてみます」

早期リタイアも視野に入れた将来設計に大切なことは?

――今後の生活設計や将来のビジョンなどはありますか?

靖男さん「住宅ローン控除が終わったら繰り上げ返済をして、50歳くらいでの早期リタイアを目指したいと考えています。ですが、どれくらい資産が必要なのか具体的な想像がついていなくて」

高山先生「一番問題になるのは年金です。年金は加入期間が長ければもらえる額も増えます。特に厚生年金は70歳まで払い込めるので、金額も大きく変わります。会社員をやめて早期リタイアをするということは、厚生年金がその分少なくなるということ。リタイア後の収入だけでなく、受け取る年金のことも考慮して生活の試算をすることが大切です」
靖男さん
靖男さん「年金のことは全く考えていなかったので、目からウロコです! 長く働くことにそんなメリットもあるんですね」

高山先生「年金は死ぬまでもらえる一生涯の収入。靖男さんの場合、定期借地権の問題もありますので、長生きのリスクはしっかり考える必要がありますね」

望美さん「家族みんなができるだけ長く笑顔で暮らせることが目標なので、そのためにももっと将来への備えについて考えたいと思います」

靖男さんファミリーから見えてきた、“具体的な”将来プランの重要性

――抑えるところは抑えて、余剰金で堅実に資産を形成されているのが印象的でした。

高山先生「ボーナスや副収入を過剰にあてにせず、無理のない範囲で家計を回しているのが素晴らしいですね」

――しかし、将来についての見通しやリスクヘッジはまだ固まっていない印象を受けました。

高山先生「資産形成のバランスや早期リタイア後のプランなどは、まだまだ見直す余地があると感じました。まずは投資先を分散させてリスクを軽減すること、そしてお子さんの学費や老後資金、ご両親の介護費などを具体的に考えてリタイアプランを検討してはいかがでしょうか」

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※2022年2月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

監修:高山 一恵

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