こだわりハウス、見せてもらっていいですか?

2022.11.9

贈与税の非課税措置を活用してマイホームを購入。実家の援助を受けながら、安定的に資産を増やしていく方法は?

贈与税の非課税措置を活用してマイホームを購入。実家の援助を受けながら、安定的に資産を増やしていく方法は?
FPとMoney VIVA編集部が一般のご家庭に突撃取材! 住居にかかっている費用や日々の家計管理術、将来に向けての資産形成術など、マネーに関するあれこれをお聞きしてFPがアドバイスする連載企画「#こだわりハウス、見せてもらっていいですか?」。

第8回は東京都にお住まいの智さん(仮名)一家です。23区内で中古マンションを探していた智さんご夫婦ですが、とある理由から戸建住宅を購入。今では、戸建住宅ならではのメリットを大いに感じているそうです。住まいへのこだわりや今後の人生設計についてお聞きしました。

プロフィール

智さん(夫)……29歳、信用金庫勤務
美穂さん(妻)……29歳、保険会社勤務(産休中)
花林ちゃん(長女)……2歳
ここがポイント!

23区内の駅チカ物件を探し、お手頃価格で戸建ての分譲物件を購入!

――お二人がマイホームの購入を考えるようになったのは、いつ頃ですか。

智さん「私たちは共働きで、二人とも全国転勤のない仕事なので、以前からマイホーム購入を考えていました。娘の誕生を機に、広い家に引っ越そうと話し合うようになったんです」
広いリビング
――マイホーム選びの条件は?

智さん「23区内で、勤務先から遠くない場所で探しました」

美穂さん「私は最寄り駅から徒歩圏内であることが、一番の条件でした」

智さん「予算は4,000~5,000万円で、当初は中古マンションを探したのですが、どれも価格が高くて断念せざるを得ないことに。そこで知り合いの不動産屋に相談したところ、戸建ての分譲住宅をすすめてくれました」

美穂さん「駅から近いし、当初の分譲価格よりも数百万円ほど安くなっていて、お得感もありました」

――実際に住んでみた感想はいかがですか?

美穂さん「とても住み心地が良いですね。子どもが多少騒いでも、戸建てなら近隣の方に迷惑をかけづらいので、その点も助かっています」

――住まいのお気に入りポイントを教えてください。

美穂さん3LDKに納戸が二つあって、広さも十分なのが気に入っています」
1階間取り図
2階間取り図
3階間取り図
智さん「僕は駐車スペースがあることですね。先日車を購入したので、駐車場代がかからないのはありがたいです。コストパフォーマンスの面でも、戸建住宅にして良かったですね」
高山先生Point
高山先生Point
・マイカーを利用する方でマンションの購入を検討されている方は、駐車場の有無や駐車台数などもチェックしましょう。23区内のマンションの場合、月々の駐車料金は3~4万円が相場です。
▼みんなはどうしてる? マイホームの選び方
こだわりハウス、見せてもらっていいですか?

頭金を1,400万円入れて、月々の返済額を10万円以内に抑える!

――当初の分譲価格よりも安く購入できたとのことですが、購入価格はどのくらいでしたか?

智さん「土地代と上物合わせて5,000万円です。頭金は1,400万円で、4,000万円を住宅ローンで借りました」

美穂さん「月々の返済額は97,000円で、ボーナス時に60,000円ずつ上乗せしています」
借入額と返済額
高山先生「頭金をかなり多めに入れたのですね」

美穂さん「はい、私の実家が援助してくれて」

高山先生住宅取得資金贈与(高山先生Point参照)の恩恵を受けられたのですね。住宅取得資金贈与の特例は、年々非課税になる金額が縮小されているので、良い時期に贈与を受けたと思いますよ。頭金を多く入れた分、住宅ローンの返済額を低く抑えることができています。ボーナス払いを併用している理由はありますか?」

智さん「60,000円くらいなら、負担にならないかと思いまして」

高山先生「なるほど。その程度ならボーナス払いを利用しても家計の負担にはならないかもしれませんが、ボーナスは景気の影響を受けて大きく減額される可能性もあるので、気をつけてくださいね」

智さん「ありがとうございます。今は家計に余裕があるので大丈夫だとは思いますが、ボーナスが減額される可能性があることを肝に銘じておきます」
高山先生Point
高山先生Point
・住宅購入時に実家から頭金を援助してもらう場合、「住宅取得資金の贈与」の特例が利用でき、一定金額まで非課税になります
・住宅ローンは月々の返済のみにして、ボーナス払いの併用はしないことをおすすめします。特に近年は、コロナの影響でボーナスが減額されるご家庭が少なくありません。十分にゆとりをもってローンを組むことが大切です。
▼「住宅取得資金の贈与」についてくわしく
相続税にどう備える? 贈与税がかからない生前贈与の5つの方法

▼借入可能額を調べてみる
住宅ローンシミュレーション

プライベートブランドを中心に、安くて品質の良い商品を賢く購入!

――月々の支出についても見ていきましょう。
毎月の支出
現在の金融資産
智さん「わが家は夫婦別財布で、妻が食費や日用品などを、私が保育代や光熱費などを負担しています」

美穂さん「住宅ローンや通信費は、おのおので負担しています」

高山先生「共働き世帯にしては、とても堅実な家計ですね。食費が10,000円というのは?」

美穂さん「実は夫の実家が近く、義父が食費を負担してくれることがよくありまして。それで食費が抑えられているのだと思います」

――家計管理で気をつけていることはありますか。

美穂さん「高級品は避けて購入するようにしています。特に食材はプライベートブランドでも質の良いものがありますし、おいしいのでよく買っています」

高山先生「ご自身の中できちんと価値基準を設けていらっしゃるのですね」

美穂さん「ありがとうございます。あとは夫婦そろってブランド物に興味がないので、自然と節約ができているのかもしれません(笑)」
智さんご家族
――智さんは投資をされているとお聞きしました。

智さん「はい、昔から投資に対して興味がありまして。今は日本株を短期で売買しています」

高山先生「それはすごいですね。ただ、日本株が金融資産の約9割を占めているのが気になります。お子さんもいらっしゃいますし、万が一のことを考えて、もう少し現金の比率を上げるのをおすすめします。お子さんがいらっしゃる場合、できれば生活費の1年分の貯蓄は準備しましょう」

美穂さん「逆に、私は投資でリスクを背負うことに抵抗が……。ただ、最近は友人から『つみたてNISAやiDeCoを始めた』と聞くことも多く、興味はあります。何から始めるのが良いのでしょうか?」

高山先生「積立投資なら、リスクを軽減することができますよ。つみたてNISAやiDeCoなら税制優遇がありますし、中長期的に安定してお金を増やしていけるので、ぜひ検討してくださいね」
高山先生Point
高山先生Point
・お子さんがいらっしゃって資産運用をする場合、生活費の1年分程度の現金を確保したうえで、余剰資金で行うようにしましょう。
小さなお子さんがいるご家庭は、今のうちから教育費の準備を始めましょう。長期・積立・分散投資ができ、20年間非課税になるつみたてNISAがおすすめです。また、智さんご夫婦のように共働き家庭であれば、所得税や住民税が安くなる効果のある iDeCoも良いでしょう
▼つみたてNISAでローリスクかつ長期的な運用を
つみたてNISAとは?

▼つみたてNISAは教育費にできる?
資産運用経験ゼロでも、つみたてNISAで教育費をためられる? 『辛口FP』に聞いてみた!!

まもなく第二子が誕生! これからも穏やかで幸せな生活をしていきたい

――今後の人生設計で、目標にしていることはありますか。

智さん「実は、年内に第二子が生まれる予定です。今後の人生設計で考えているのは、子どもの進学とリフォームくらいでしょうか。その時々で必要なお金を用意できればと思っています」

高山先生リフォーム代の平均値は、300~500万円ほどです。教育費は進学プランにより、かかる費用がだいぶ違います。事前にライフイベントを想定して、それに備えて資産を形成するのはとても良いことですよ。お二人で今後のことを話し合いながら、穏やかで幸せな家庭を築いてくださいね」
もうすぐ第二子誕生予定の智さん一家
智さん「ありがとうございます。これからも、穏やかで幸せな生活をしていけたらうれしいです」

美穂さん「私も夫と同じ気持ちです。高山先生にいただいたアドバイスを参考に、夫と話し合いながら今後のことを考えていきたいです」

まずは家計の見える化から。夫婦の気持ちを一つにすることが、幸せな未来の第一歩に

――智さんご夫婦はご実家の援助を受けながらも、贅沢をするのではなく、身の丈に合った生活をされているのが印象的でした。

高山先生「ブランド物を買わずに質の良いプライベートブランドを購入されるなど、お金の使い方も工夫をされていましたね。一方、旦那さまは株の短期売買を積極的に行っているものの、奥さまは資産形成に対して消極的なのが気になりました」

――共働きですし、ご実家の援助もあるので、のんびり構えていらっしゃるのかもしれませんね。

高山先生「とはいえ、やはり先々のことを考えて準備をすることが大切です。今はつみたてNISAなど、低リスクで安定的に資産を増やしていく方法がたくさんあります。お二人が目指している“穏やかで幸せな生活”を維持するためにも、まずは夫婦二人できちんと話し合って、できれば夫婦共有で家計を管理し、見える化するところから始めてほしいですね」

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※2022年11月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

監修:高山 一恵

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