ロスジェネ世代のマネー事情

2020.1.29

#3 ロスジェネ世代夫婦のリアルな家計秘話

リアルなライフスタイルを直撃!ロスジェネ世代のマネー事情

30代後半から40代後半を迎える人たちを指す、ロスジェネ世代。バブル崩壊後の長引く景気低迷による「“超”就職氷河期」を経験してきた世代です。

苦労してきたゆえに身についた、堅実で地に足がついたライフスタイルには、人生100年時代を生き抜くヒントがつまっているようです。

そんなロスジェネ世代のリアルなマネー&ライフについて、座談会を通じて解き明かす本企画。第3回目は、ロスジェネ世代の夫婦3組が登場します。

3組とも子どもがいないため、比較的お金が貯まりやすい世帯。夫婦の家計管理の方法やお互いの資産をどこまで把握しているかなど、夫婦のリアルなお金事情を深掘りしました!

座談会出席者

Aさん夫妻
会社員の夫(46歳)、5年前に離職して現在は専業主婦の妻(49歳)・家族構成:夫と妻の2人暮らし
・世帯年収:700~800万円
・資産運用歴:夫は20年以上。株、投資信託、外国債券、Jリート(不動産投資信託)、個人年金(円と外貨)/妻は、10年以上。Jリート、株、債券、個人年金など
Bさん夫妻

会社員の夫(48歳)、パート勤務の妻(55歳)
・家族構成:夫と妻の2人暮らし
・世帯年収:600〜800万円
・資産運用歴:5年程度。株、投資信託、定期預金。運用と管理は夫が行う

Cさん夫妻
介護タクシーの会社を経営する夫(42歳)、小学校教員の妻(43歳)・家族構成:夫と妻の2人暮らし
・世帯年収:1,300万円(夫600万円、妻700万円)
・資産運用歴:夫は普通預金のみ/妻は10年程度で、株、外貨預金、外貨国債、NISAなど

家計は一緒でも貯蓄は別!? ロスジェネ夫婦の家計管理事情

貯蓄と投資は別々。共働きだったときは財布も完全に別でした。(Aさん夫)
− 夫婦2人暮らしの場合、家計管理の方法もさまざまですが、皆さんの家庭では、どうされていますか?
Aさん夫
貯蓄と投資は夫婦で別々。5年前まで共働きだったので財布も完全に別でした。資産と家計の管理は私が行い、日々の家計のやりくりは妻に任せています。
Aさん妻
夫に月4万円をもらって食費と日用品を購入し、足りなくなったら追加申請します(笑)。そのほか、お小遣いとして3万円をもらっています。
Aさん夫
私の小遣いは特に決めていませんが、お酒を買う程度で月1万円も使いません。ムダが嫌いなので、買い物では最安値を調べ、少しでも安い店へ。7~8枚のクレジットカードを使い分けて、ポイントをがっちり貯めています。
Aさん妻
「細かすぎる……」と感じることもありますが、家計としては助かっているので結果オーライ。年4回、国内外に旅行に行くのが夫婦の楽しみです。旅費の総額は60万円くらいですね。
Bさん夫
うちは私の手取り約40万円のうち、15万円を家に入れ、収支をエクセルで管理しています。自分のお小遣いは月10万円くらい。残りの15万円程度を投資と預金に振り分けます。
Bさん妻
家計のやりくりは私の担当。パート代月8万円のうち、2万円を家計に入れ、残りがお小遣い。資産形成や運用は夫に任せてノータッチです。
Cさん妻
我が家では、貯蓄、投資、お財布もすべて完全に別。お互いの収入や貯蓄額も知りません。公共料金は夫が支払い、食費はその都度決めています。ただ、正直私の方がいろいろと負担が多く、少々不満も。結婚式の費用も私が払い、マイホームも独身時代にコツコツ貯めた預金で一括購入したんですよ。
− 30代の独身時代に一括で家を購入されたとはすごいですね。かなり貯蓄していらしたのでは?
Cさん妻
教師になる前は会社員で収入も良く、当時からしっかり積み立てていました。だから余計に、夫が趣味の車とバイクにお金を使いすぎているのが気になります。
Cさん夫
年間でだいたい100万円くらい使いますね。
Cさん妻
金額は、はじめて知りました(苦笑)。まあ、それが働くエネルギーになっているなら仕方ないか。夫はお酒もギャンブルもせず一所懸命働くし、安いものを探すのが上手なので家計に貢献しているからよしとします(笑)。

それぞれの資産額と投資金額がセキララに!

夫に資産額を言うのははじめてなので、緊張…… (笑) 。(Cさん妻)
− 続いて、夫婦それぞれの資産額と運用の状況を教えてもらえますか?
Aさん夫
学生の頃からバイト代を貯めて投資をしてきて、投資歴は20年以上。株や投資信託、Jリート、個人年金など幅広く行い、今の資産額は6,500万円くらいです。約4,000万円は預金で、残りの約1,500万円が投資で運用したぶんになります。
Aさん妻
私は10年前くらいから債券や株、Jリートなどの投資を行い、資産額は1,000万円くらい。

− 旦那さんは学生時代から投資をされていたとのことですが、きっかけがあったのですか?

Aさん夫

特にはないのですが、単純に興味があって。やはりお金に働いてもらうことは大事。現金を寝かせていても増えるわけではありませんからね。将来的に年金を補填して、経済的な自由を得るのが目的です。投資では、利回りがよく、配当が4%以上のものを選びます。株主優待で化粧品やコーヒーなどの生活必需品をもらえば、生活費も浮きますしね。

Bさん夫

毎月、貯蓄15万円のうち、10万円を定期預金に回し、残りの5万円を株や投資信託の資金にします。

現在の資産額は1,000万円ほど。定期預金が500万円、株が100200万円、投資信託に300400万円。株は、株価の動きを見ながら安い時期に一括で購入します。ただ、やはりリスクが大きいので、今後は投資信託の割合を増やしてリスクを分散させる予定です。

- Cさんご夫婦はいかがですか?

Cさん夫

まだ仕事で独立して1年なので、今は普通預金のみ。投資は余裕資金ができたらやってみたいですが。

Cさん妻
夫婦で別財布なので、実は夫に資産額を言うのははじめて。ちょっと緊張しています(笑)。え~っと、まず投資信託に1,000万円。15年前から銀行に相談にのってもらいながら積み立ててきました。そのほか、外貨預金に400万円、外国債券が500万円。

- マイホーム購入と結婚資金でまとまった額を使われたと思いますが、それでも総資産2,000万円は持っていらっしゃるということですよね?

Cさん妻
いえ、まだあります。夫に安心されたら困るなと思い、隠していたのですが……。

―なんと、隠し財産が!? 夫婦仲に影響しても責任がとれませんが大丈夫でしょうか(笑)。

Cさん妻
夫は心が広いので(笑)。NISAはスタート当初からやっていて、現在500万円ほど。5年を迎えて非課税期間が満期になるため、長期でできる運用を検討中です。ほかに定期預金もあるので、資産は総額で3,000万円くらいかと。
Cさん夫
えっ。そこまで貯めているとは想定外でした。
Cさん妻
私も、まさかこういう場で初公開することになるとは思わず、ドキドキしました(笑)。

ロスジェネ世代は人生の折り返し。親の介護や夫婦の老後の対策は?

父が特別養護老人ホームに入居。必要であれば金銭的に支援するつもり。(Bさん夫)

- ロスジェネ世代は、親の介護に直面する年代でもあります。支援について夫婦で話すなど、準備をしていますか?

Aさん夫
私の親が認知症で。今は姉が見ていますが、今後もし施設に入ることになれば、経済的な支援も視野に入れています。
Bさん夫

父が特別養護老人ホームに入っています。必要であれば金銭的な支援はするつもり。夫婦で話し合って決めました。

Bさん妻
私の方は、いざというときは現在住んでいる東京を離れ、実家の近畿地方に戻って介護をする予定です。
Cさん妻
父が要介護※1、母も介護が必要な状態。老人ホームへの入居も検討していますが、資金は親が自分で準備する様子。夫が、父の病院の送迎をしてくれて、すごくありがたいですね。

※要介護1:立ち上がりや歩行が不安定。日常の中で排泄や入浴などに部分的な介助が必要な状態。


- 最後に、夫婦で描いている老後の未来図を教えてください。
Aさん夫
東南アジアに移住し、ハウスキーパーを雇って生活するのも良いなと。リタイアが65歳だとしたら、あと20年くらいで1億円を貯められれば良いなあ。
Bさん夫
コツコツと資産運用を続け、老後は貯めたお金で夫婦旅行に行きたいですね。
Cさん妻
貯蓄もありますし、公務員として仕事もしているので、将来のお金に不安はありません。夫は老後、北海道に移住したいと言っていますが、寒いので考え中です(笑)。
Cさん夫
温泉もあるから大丈夫(笑)。夏はツーリング、冬はアイスバーンで、バイク三昧ができれば最高ですね。

お財布は別でも、“老後の夢は同じ”が円満の秘訣!?

今回は、子どものいない世帯だったこともあり、比較的家計にゆとりがあり、お金の使い方も自由度が高め。そのぶん、さまざまな種類の資産運用にチャレンジするなど、老後のための準備をしている様子が伝わってきました。

前回お話を伺ったロスジェネ世代のパパ、おひとりさま女性同様、無駄遣いはあまりせず、堅実な金銭感覚を持っているのはこの世代の特徴なのかもしれません。
AさんとCさん夫妻は、夫婦別口座で資産運用を行い、さらにCさん夫妻は家計管理も別。夫婦が経済的に自立しながらも老後に同じ夢を描いていることが、夫婦円満の秘訣なのでしょう。

また、ロスジェネ世代は親の介護にも関わる年代。施設入居など介護の選択肢が広がるなか、経済的な支援が必要となる場合もあります。今回の3夫婦のように、お金を準備しておくと安心ではないでしょうか。

※2020年1月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

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