くらしのマネー辞典

2022.4.20 更新

#7 退職金の受け取り方は「一時金」と「年金」どっちがおトク?

退職金の受け取り方は「一時金」と「年金」どっちがおトク?
退職の時期は企業によって様々ですが、公務員の方など、3月に退職を迎える方も多いと思います。まだまだ退職は先、と思っている方も、退職金については気になるところですね。ところで、そもそも退職金の受け取り方は複数あることをご存知ですか? 受け取り方によって何が違うのか、どう受け取るのがおトクなのか早速見ていきましょう。

みんなどれくらい退職金を受け取っているの?

退職金の金額別割合
まずは、退職金の金額別の割合を見てみましょう。あるデータによると、退職金の金額で最も割合が多いのは1,000万円~2,500万円未満(約32%)、僅差で500万円未満(約29%)、次いで2,500万円~5,000万円未満(約23%)でした。間の500万円~1,000万円未満(約13%)が少ないという少し意外な結果でしたね。いずれにしても、退職後つづくセカンドライフを考えると大事に管理していかなくてはならないお金です。
また、退職金の受け取り方は3パターンが考えられます。全額を一括で受け取る「退職一時金」、年金のように何年かに分けて受け取る「退職年金」、そして「退職一時金と退職年金の併用」です。どのパターンを選べるかは企業により異なります。

退職金の受け取り方で税負担が変わる!

「退職一時金」と「退職年金」で受け取る場合では、税負担に違いがあります。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

●退職金を一括で受け取る「退職一時金」のメリットとデメリット
退職金を一時金として受け取る場合のメリットは、税負担が軽くなることです。通常、所得には税金が課せられますが、退職金を一時金で受け取った場合は「退職所得」となり、税制上の優遇があります。

退職所得の計算式
退職所得の金額=「(収入金額(源泉徴収前の金額)−退職所得控除額)×1/2」


退職所得控除額は、勤続年数が長いほど増えます。
勤続年数別、退職所得控除額の計算式
出典:国税庁Webサイト
退職金額が2,000万円で30年間勤続した場合、1,500万円が退職所得控除となります。他の所得とは分けて税金計算されるため、税負担がかなり軽減されます。一時金でできるだけ退職金を受け取っておくと、税金の面では有利な場合が一般的です。

一方でデメリットは、退職年金に比べて受取総額が少なくなることです。退職年金の場合は、まだ受け取っていない退職金を金融機関側が運用するため、受取額が増えるのが一般的です。


●退職金を年金払いで受け取る「退職年金」のメリットとデメリット
退職金を年金としてもらう場合のメリットはご紹介したように、退職金の運用益が上乗せされるため、受取総額がアップする可能性があることです。長期での受け取りを選ぶほど、受取総額が増える可能性は高まっていきます。

一方でデメリットは、税負担額が高くなる恐れがある点です。一時金として支払われる退職金であれば、「退職所得」に対する税制上の優遇措置がありますが、退職年金には優遇措置がありません。毎年受け取る退職年金は、雑収入として計上されるため、公的年金やパート・アルバイト代など他の収入との合計所得が増え、税金や社会保険料が高くなる可能性があります。

たとえば、退職金額が2,000万円で10年間(運用率2%)の年金受け取りの場合、額面上は一時金よりも多く受け取れるように見えます。しかし、控除額は公的年金と退職年金合わせて65歳未満で年金額110万円未満なら年間60万円、65歳以上で年金額330万円未満なら年間120万円となり、一時金に比べて控除額が少なくなってしまいます。

また、企業によっては退職一時金と退職年金の併用ができる場合もあります。ご自身の定年後のライフスタイルにあわせて検討してみてください。

退職金を賢く受け取るためのポイント3つ

退職金の受け取り方法について、以下の3つのポイントをふまえてトータルな視点で検討することが大切です。

①老後の働き方から考える
もしも、定年退職後は「もう働く気はない」ということであれば、退職年金で受け取る場合でも所得がそれほど増えないので、税負担が大きくなることは避けられます。
また、厚生年金に加入しながら働き続けるという人も、社会保険料の半額を会社が負担してくれるため税負担を減らせます。これらに当てはまる方は退職年金として受け取ってもいいかもしれません。

一方で、退職後は、「自営として独立する」「厚生年金に加入せず、パートやアルバイトでたまに働く」という人は、なるべく一時金で受け取る方がおすすめです。退職年金を選んでしまうと、常に退職金が年間所得に上乗せされるため、税負担や社会保険料が重くなってしまいます。

②公的年金の繰り下げ受給とともに検討する
公的年金には、受取開始時期を遅らせる繰り下げ受給制度があります。この制度を利用し、企業年金をもらえる間はあえて公的年金を受給せず所得額を減らすことで、税負担や社会保険料を軽くすることができます。また、繰り下げ受給を選択すると、将来もらえる公的年金額が増額されます。退職年金を選ぶ場合は、検討してみてください。

③一時金で受け取り、自分で運用するという方法も
先述のように、額面で考えると退職年金の方が多く、税制的に考えると退職一時金の方が負担が少なくなりますが、それぞれメリット・デメリットがあります。どちらを選択するとおトクなのかは、企業年金の運用率や年金額、各自治体の保険料などによっても変わってきますので、一概にどちらがいいとは言えません。

私自身は退職金を一時金で受け取り、自分で運用していきたいと考えています。退職後はあまり大きな収入は見込めないため、リターンもリスクも低めの金融商品を慎重に検討します。なお、一時金で受け取る場合は急に大きなお金が手に入るため、気持ちが大きくなってムダ使いしてしまうことのないように注意することも大切です。

まずは、受け取り方を選べるのかどうか、年金がある場合の運用利率はどれくらいなのかなど、ご自身の企業の退職金制度を調べて、しっかりと退職後のマネープランを検討してみましょう。

退職金受け取りの手続きや流れ

退職金制度は会社によって制度が異なりますので、自分の会社の退職金制度について、現役世代のうちに確認しておきたいものです。受け取り方が一時金・年金のどちらが良さそうか、自分で選ぶことができるのかなど、人事部などに直接聞いておくと安心です。

退職金の支払時期については、明確に定められているものではなく、会社によって自由ではあるものの、一般的には退職から1~2ヵ月後に支払われることが多いです。

受け取り方や受け取れる時期については、就業規則の退職金規則に記載されているので、自身で確認するか、会社側に直接聞いて、事前に把握しておきましょう。

まとめ<退職金の受け取り方>

■退職一時金
メリット:税制上の優遇がある
デメリット:計画性が無いと使い果たしてしまう

■退職年金
メリット:定期的に収入が得られる、長生きすると有利なこともある
デメリット:各年の所得税・住民税・社会保険料がアップしてしまうこともある

※この記事は2018年3月22日に公開した内容を、2022年4月20日に更新して掲載しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

監修:水野 綾香(みずの あやか)

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