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今日から使えるくらしのマネー辞典

2019.12.11

賢い家計管理のキャッシュレスルール5つ

カフェでQRコード決済をする女性

街中でキャッシュレス決済ができる店が増えてきました。キャッシュレス決済には、現金を持ち歩かず買い物ができたり、ポイントが貯まったりと利点があります。さまざまな決済手段が乱立するいま、家計管理への影響はどうなるのでしょう。

キャッシュレス「後進国」の日本

スマートフォンに「決済アプリ」を入れて、キャッシュレスで買い物をする人が増えています。

2018年から2019年にかけて、多数の新規スマホ決済アプリが登場し、各決済事業者が仕掛けるポイント還元キャンペーンも話題になりました。

2019年10月からは、消費税率アップによる消費者の負担軽減と、キャッシュレス決済の普及を目的として、国の「キャッシュレス・ポイント還元事業」も始まっています。

対象店舗で、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などキャッシュレスで買い物をすると、原則として5%、コンビニなどのフランチャイズ店では2%のポイント還元が受けられます。

日本人が現金払いを好む背景には、海外に比べ治安がよく現金を持ち歩く際にリスクが低いこと、紙幣の印刷技術が高いために偽札の流通の心配がないこと、全国のコンビニにATMが普及しているため現金の入手が容易なことなどの社会情勢も関係しています。

各国のキャッシュレス決済比率の状況(2015年)

出典:経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」

経済産業省の資料に掲載されたデータを見ると、各国のキャッシュレス決済比率は、韓国の89.1%を筆頭に、キャッシュレス化が進展している国ではおよそ4060%台に達している中、日本は18.4%にとどまっています。

政府は、2025年までにキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げることを目標にしています。

これには、訪日外国人観光客の増加で地方の観光地でもカード払いが求められるようになってきたこと、少子高齢化で労働者人口の減少が見込まれる中、店舗の生産性向上(レジの省力化など)が求められることなどが背景にあります。

また、現金の取り扱いコストの問題もあります。
現金の流通には、ATMの設置費用や維持・管理費用がかかります。現金の製造コストもかかります。日本銀行の平成30年度決算によると、紙幣(銀行券)の製造費は、520億円でした。

自分に合った活用方法で、家計管理をスムーズに

便利なスマホ決済アプリの登場や、国によるポイント還元制度も始まったことで、キャッシュレス決済を利用する人は増えています。

便利な一方で、キャッシュレス決済だと使いすぎてしまうのではないかと不安の声もあります。
日本クレジットカード協会では、業種別の購入(利用)者のクレジットカードと、現金の利用額の差を調査しています。

現金とクレジットカードの購入単価の格差倍率

業種名 比率単価*
全体(単価1,000円以上) 1.71
小売店 スーパーマーケット 1.58
コンビニ 1.55
ドラッグストア 1.85
衣料品専門店 2.3
雑貨・文具 2.54
交通関連 新幹線・特急列車 1.71
高速バス 1.22
タクシー 2.06
飲食店 単価3,000円以上 1.39
単価1,000〜3,000円未満 1.11
単価1,000円未満 1.14
ホテル・旅館・宿泊施設 1.28

*単価比率=クレジットカード決済単価÷現金決済単価
出典:日本クレジットカード協会「現金とクレジットカード間の購入単価格差に関する調査」

これによると、雑貨店や文具店では単価比率(現金決済単価に対するクレジットカード決済単価の比率)2.5倍、衣料品店では約2.3倍、業種全体平均では約1.7倍と、クレジットカードでの利用額の方が多いという結果でした。

キャッシュレスで買い物する方が、現金で買い物するよりも、2倍近くお金を使っていると捉えることもできます。

この要因のひとつに、手持ちのお金がなくても買い物できてしまうことが考えられます。

クレジットカードなどでは、料金が後払いになるため、手持ちの現金や銀行口座残高以上の買い物やサービスを利用できます。

お金を使っている感覚が薄まって、買い物への心理的なブレーキが甘くなり、多くのものを買ってしまうのかもしれません。

さらに、家計管理の面からも、管理が複雑になる懸念があります。

現金決済だけなら、レシートをもとに家計簿をつければ済みますが、キャッシュレス決済では、使ったクレジットカードやアプリの数だけ利用履歴が分散してしまい、家計全体の支出が見えにくくなることもあります。

これを解決するために、マネーツリーやマネーフォワードなどの家計簿アプリを家計簿とあわせて利用していくと、管理がしやすくなります。上記のアプリ以外にも、各銀行が提供するアプリに家計管理機能が連携されていることがあります。

日頃から使っているカードや電子マネー、銀行口座などを家計簿アプリに登録しておけば、買い物履歴はもちろん、使った費目の自動分類など、家計の一元管理が可能です。

ただし、家計簿アプリごとに、登録できる決済の種類は異なりますので、あらかじめ対応可能な決済の種類は確認しておきましょう。

利用シーンを絞って、無駄に使いすぎない工夫を!

日常的な買い物や移動をメインにキャッシュレス決済を利用するのなら、ほとんどのシーンで、クレジットカードと電子マネーがあれば間に合うはずです。

とはいえ、20%還元など大規模なキャンペーンがあれば、そのキャンペーンに応じた決済手段を利用した方が、家計へのメリットがあります。

家計簿アプリでの管理に加え、日頃の利用シーンを考えて決済方法を絞り込むことも、使いすぎの防止には大切です。

そこで、家計管理がしやすく、なおかつ使いすぎを防ぐために、キャッシュレス決済を利用するときの「ルール」を作るのがおすすめです。一例をご紹介します。

ルール1:スマホ決済アプリを「絞る」
スマホ決済アプリは、ポイント還元率の高い大規模キャンペーンが実施されるため、あれもこれもと利用しがちです。利用履歴を分散させないためにも利用するアプリは絞りましょう。

家計管理の面からは、家計簿アプリと連携できるスマホ決済アプリを選ぶとよいでしょう。

ルール2:「チャージ」の方法を工夫
スマホ決済アプリでは、クレジットカードからチャージできるものもありますが、結局は後払いになるため、使いすぎる可能性も。銀行口座からに設定すれば、口座残高の範囲でのチャージになるため、使いすぎを防げます。

ルール3:「オートチャージ」の設定を工夫
電子マネーやスマホ決済は、残額があらかじめ設定した額を下回ると、自動的にチャージできるものがあります。ただ、これを利用すると常に残高がある状態になり、お金を使っている感覚が薄れやすいです。
なるべくオートチャージは利用せず、銀行口座やデビットカードから、あらかじめ決めた予算内でチャージするのも良いでしょう。

ルール4:カード派なら「デビットカード」
ポイント還元率では、他のキャッシュレス決済に見劣りするものの、使いすぎを防ぎつつキャッシュレスを実現するなら、デビットカードがおすすめ。
お金は買い物と同時に銀行口座から引き落とされるので、口座残高内でしか利用できず、管理の面で楽です。

ルール5:クレジットカードは「1回払い」で
クレジットカードは、カードの種類や店舗によって224回などの分割払いができます。ただ、分割返済中に大きな支出があると、思いがけず家計を圧迫することになります。
分割利用は、後から来る請求額が問題なく支払える額まで、と決めておきましょう。「1回払い」で済ませれば、支払予定額が把握しやすく、家計管理も容易になります。

いかがでしょうか。
キャッシュレス決済は、生活を便利にするためのものです。20206月末までは、「キャッシュレス・ポイント還元事業」で最大5%のポイント還元がありますが、ポイントはあくまでもおまけと考え、ポイント目当ての無駄遣いは避けましょう。

現金を持たずに手軽に支払える手段ではありますが、使いすぎの防止に、しっかりとした家計管理も必要です。

家計簿アプリなどを上手に活用しながらお金の管理習慣を身につけ、家計にゆとりができたら貯蓄だけではなく、無理のない範囲で資産運用のための投資にお金を回してみるのもいいかもしれませんね。

※ 2019年12月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

高橋 浩史(たかはし・ひろし)
ファイナンシャルプランナー。 FPライフレックス 代表。 書籍編集者を経て2011年にFP事務所を開業。マイホーム実現のため、資金計画・家計改善の面から応援する「住まいの相談FP/家計の赤字V字回復アドバイザー」として活動中。セミナー講師、書籍・雑誌、webでの執筆業務も行う。「災害に備えるライフプランニング」(近代セールス社)、「老後のお金安心ガイド」(イースト・プレス)他。趣味はバイクツーリング、ギター、落語。