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2020.2.19

#23 義援金も確定申告で税負担軽減!

瓶に義援金を入れる手

2019年は甚大な被害をもたらす自然災害が相次ぎました。被災者支援の一環として義援金を送った人は、「寄付金控除」を受けて税金が還付される場合があります。対象となる寄付や減税される金額、確定申告の方法について見ていきましょう。

災害の多い日本で、寄付意識が高まってきている!?

NPO法人日本ファンドレイジング協会「調査研究(寄付白書)」によると、2016年時点の日本人(個人)の寄付の推計総額は7,756億円でした。過去の推移を見ると、2010年は4,874億円。6年間で約1.6倍に増えています。

目を引くのは、2011年の1兆182億円。東日本大震災があった年で、寄付者率は68.6%。人口の7割近くの人が寄付をしたということです。
2012年には寄付の推計総額は下がったものの、その後はやや上昇傾向が見られます。
個人寄付推計総額の推移
出典:特定非営利活動法人 日本ファンドレイジング協会「調査研究(寄付白書)
ただし、同調査で報告されている、日本の名目GDP(国内総生産)に占める割合は約0.14%。アメリカの1.44%(個人寄付総額約30.7兆円)やイギリス0.54%(個人寄付総額約1.5兆円)に比べ、まだまだ低いことが分かります。

個人が寄付する義援金は寄付金控除の対象に!

そもそも「寄付」とは、金銭や財産を公共事業や公益・福祉・宗教施設などへ無償提供すること。なかでも、被災者の生活再建支援に充てられる寄付金は「義援金」と呼ばれ、主に被災した自治体や中央共同募金会、日本赤十字社で受け付けています。

2019年は各地で台風被害が相次ぎ、さらには首里城の火災などもありました。こうした被災地へ送る義援金は、自治体への寄付となるため、「ふるさと納税」に該当します。

ふるさと納税も含め、個人が行う寄付は、条件を満たせば寄附金控除の対象になります。寄付をした人の所得税や住民税が軽減されるので要チェックです。

ただし、コンビニの募金箱への現金投入、Webサイト上からのポイント寄付など、受領書が発行されない寄付は寄附金控除の対象にはなりません。

ふるさと納税ポータルサイト経由や日本赤十字社への義援金、自治体の義援金専用口座への振込の場合は、利用明細書が受領書の代わりになる場合もあります。寄付する際に要項を確認しましょう。

寄付金控除の対象は、下記のような寄付です。詳細は国税庁のサイトをご覧ください。

寄付金控除の対象になるもの
■国、地方公共団体に対する寄付金(寄付者に特別利益があるものを除く)

■公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人・団体に対する寄付金のうち、財務大臣が認めたもの

■独立行政法人、日本赤十字社、公益社団法人・公益財団法人、社会福祉法人、私立学校などの特定公益増進法人の業務に関連するもの

■特定公益信託や政治活動に関する寄付金などのうち一定のもの

最近はクラウドファンディングで集める寄付も登場していますが、寄付金控除の対象かどうかは個々に異なります。寄付をする前にクラウドファンディングの主催団体に確認を。

減税額は「所得控除」と「税額控除」で異なる!

寄付金控除の対象になる寄付をした場合、寄付額の2,000円を超える部分について、所得税・住民税の控除を受けることが可能です。

寄付金控除には2種類あり、一般的なのは「所得控除」。寄付金控除額の計算は次の通りです。

所得控除を受ける場合の控除額の計算

所得控除=その年に支出した寄付金額-2,000円

※所得税で総所得等の40%まで、住民税で30%まで


例えば、年収500万円(所得税率は10%と仮定)の会社員が、日本赤十字社への寄付やふるさと納税で1年間に5万円の寄付をした場合、実際に減税される金額は次のように計算できます。

所得控除:50,000円−2,000円=48,000円
所得税:48,000×10%=4,800円
住民税:48,000×10%=4,800円 

※住民税の所得割額は一律10%


合計9,600円

もう1つの寄付金控除に、「税額控除」があります。これは認定NPO法人または公益社団法人などへの寄付金のみ、前述の「所得控除」とどちらか有利な方を選んで利用することが可能です。
税額控除を受ける場合の寄付金控除額の計算は次の通りです。

税額控除を受ける場合の控除額の計算
(控除額は所得税額の25%まで)
税額控除=(その年に支出した寄付金額−2,000円)×40%(政党などへの寄付は30%)

※総所得等の40%まで


例えば、年収500万円(所得税率10%と仮定)の会社員が、認定NPO法人に5万円の寄付をした場合、減税される金額は次のように計算できます。

所得税:(50,000円−2,000円)×40%=19,200円
(所得税額の25%まで)
住民税:48,000×10%=4,800円 

※住民税の所得割額は一律10%


合計24,000円 

通常、「税額控除」のほうが節税効果は大きくなります。「税額控除」の対象となる公益法人等は内閣府のサイトで確認しましょう。

【関連サイト】内閣府「公益法人とNPO法人の税額控除対象法人の一覧について


寄付をしたら確定申告も忘れずに

寄付をして寄付金控除を受けるには、原則、翌年の2月16日~3月15日頃に確定申告をする必要があります。
確定申告とは、前年1年間(1月1日から12月31日)の所得と納税額を計算し、税務署に申告・納税を行うこと。納めすぎた税金を還付してもらう「還付申告」の場合は、1月1日から申告が可能です。5年間までは還付請求ができるので、忘れていた場合は遡って申告しましょう。

自営業や個人事業主の場合は、基本的に確定申告をする必要があります。会社員でも、確定申告をすべきケース、した方がいいケースがあります。

【関連記事】サラリーマンでも確定申告は必要?


ただし、ふるさと納税で自治体に寄付したのであれば、寄付先が年間5自治体までであれば、確定申告が不要な「ワンストップ特例」が活用可能。所定の書類を自治体に送付するだけで寄付金控除を受けられます(翌年の1月10日までに申請)。

「ワンストップ特例」について、詳細は総務省「ふるさと納税ポータルサイト」をご覧ください。

確定申告書は、国税庁サイトの「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。条件が合えば「e-Tax」で電子申請を行うことも可能です。
手書きで作成する場合は、寄付金控除を受けるには「第二表」の「住民税に関する事項」への記載を忘れないようにしましょう。

確定申告(還付申告)後、書類の不備がなければ、1~2ヵ月ほどで所得税の還付金が振り込まれます。一方、住民税は翌年6月以降の納税額が軽減されます。会社員なら勤務先から届く「住民税決定通知書」で確認しましょう。

寄付とは助け合いの仕組み。誰かを助けたいという気持ちが寄付につながり、その思いをわずかながら減税で支えるのが寄付金控除だと思います。
寄付をきっかけに、所得税・住民税の節税について考えてみるのも良いですね。例えば、節税しながら老後資金作りができる「iDeCo」など、これを機に検討してみてはいかがでしょう。

※2020年2月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

豊田 眞弓(とよだ まゆみ)

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相続診断士。FPラウンジ代表、短大非常勤講師。マネー誌ライター等を経て、94年より独立系FP。現在は、個人相談のほか、講演や研修、マネーコラムの寄稿などを行う。「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「50代・家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。