日本はプラスチックごみ排出量世界ワースト2位

2018年6月に発表された国連環境計画(UNEP)の報告書によると、日本は1人あたりの使い捨てプラスチックごみの発生量が米国に次いで世界ワースト2位という状況です。

1人当たり使い捨てプラスチックごみの量(2014年)

国内のレジ袋の使用は年間約20万トンと推定されていて、1年間に出るプラスチックごみの2%程度。レジ袋の有料化で環境負荷を大きく軽減できるわけではありませんが、プラスチックごみ問題への意識が変わるという面が期待されています。

近年、国際的にプラスチックごみが問題視されるようになったのは、地球規模での環境汚染が懸念されているためです。海洋プラスチックごみは紫外線などで劣化して砕け、「マイクロプラスチック」となって、生態系にも影響を与えかねない海洋汚染を引き起こしています。

2018年6月にカナダで開かれたG7(主要7カ国首脳会議)で「海洋プラスチック憲章」が作られたり、2019年6月に軽井沢で「G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」が開かれたり、プラスチックごみによる海洋汚染への問題意識が高まっているのが現状です。

こうした流れの中、各国で使い捨てプラスチック製品を規制する動きが強まってきました。規制の内容は、プラスチック製品の使用の禁止、提供の禁止、販売の禁止など、国や対象で異なります。

レジ袋はフランス、インド、中国など40カ国以上で禁止され、カナダは2021年には使い捨てプラスチック製品を一部使用禁止にすると発表しました。日本も2019年に、年間約940万トンのプラスチックごみの排出量を2030年までに25%減らすことを目標に掲げました。

2020年7月から、レジ袋が有料に!

政府はプラスチックごみ削減に向けた取り組みの1つとして、容器包装リサイクル法を改正。2020年7月から、全ての小売店でプラスチック製のレジ袋の有料化を義務化することを決めました。命令違反には罰則も適用される厳しい内容です。

ただし、環境負荷が少ない植物由来のバイオマス素材を一定以上配合したレジ袋や、微生物によって代謝され自然界に循環する海洋生分解性プラスチックを使用しているもの、厚さ0.05ミリ以上で繰り返し使えるレジ袋は、有料化の対象外となっています。また、生鮮食品などを包む持ち手のない薄いポリ袋も、同じく対象外です。

レジ袋の価格はそれぞれの小売店が設定しますが、先行例などから1枚あたり2〜5円程度と見込まれています。

一方、レジ袋有料化に先がけて、大手スーパーなどではすでに有料化を実施しているところも。たとえば、イトーヨーカドーでは2012年からレジ袋を有料化し1枚2円としたところ、2018年度の食品売場でのレジ袋辞退率が72.7%になっています。

自治体が独自に取り組んできたところもあります。富山県では他県に先駆けて2008年から有料化を実施し、2018年までの11年間でレジ袋15億枚超を削減しました。東京都杉並区でも2008年にレジ袋有料化を推進する条例を設け、2015年度の時点でマイバックの持参率が約34%に高まったと報告されています。

マイバッグを活用して、エコに配慮しながら節約を

たとえば、毎日1枚レジ袋を消費すると年間で365枚になります。7月以降の有料化で、もしもレジ袋が1枚5円になった場合、年間で1,825円の支出増です。

決して大きな支出ではないものの、環境に優しいエコライフを送ることで、ムダな支出が回避できるのは気持ちが良いもの。お気に入りのエコバックを見つけて持ち歩けば、自然にレジ袋を断る習慣が付けられそうです。

前述のように、世界では、レジ袋だけでなく、プラスチック製のストロー、マドラー、使い捨て食品容器、ペットボトルなどのプラスチック製品を広く規制する国が増えています。日本でも、環境省による「プラスチックスマート運動」として、プラスチックごみ削減を推進するキャンペーンが行われています。

自主的にストローの使用を廃止する企業も増えています。大手コーヒースタンドのスターバックスコーヒーは2020年まで、大手ファストフード店のマクドナルドでは2025年までに、世界の全店でプラスチック製ストローの提供をやめる目標を公表しています。私たち自身でも、ストローを使用しないという選択もあるのではないでしょうか。

また、マイボトルを持ち歩くことでも、環境に配慮しながら節約につなげられます。たとえば、1本120円のペットボトルを月20本買っている場合、月間2,400円、年間28,800円の支出です。マイボトルとお茶のティーバック代を差し引いても、大きな節約に。お気に入りのマイボトルを持てば、ティータイムも楽しくなることでしょう。

日々の小さなお金の使い方の積み重ねが、長い人生での支出につながっています。環境に負荷をかけないライフスタイルが節約にもなるので、できることから始めてみることが大切です。小さな額でも、エコライフで浮いた分を積立投資に回し、自分の資産形成につなげてみてはいかがでしょう?

  • 2020年3月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

豊田 眞弓(とよだ まゆみ)

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー、相談診断士。FPラウンジ代表。マネー誌ライター等を経て、94年より独立系FP。現在は、個人相談のほか、講演や研修講師、マネーコラムの寄稿などを行う。大学・短大で非常勤講師も務める。「親の入院・介護が必要になったときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに!」。

webサイト: https://happy-fp.com/backstagemezasu/toyoda.htm

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