くらしのマネー辞典

2022.5.25 更新

#29 2024年からスタートの新NISA、どう変わる? どんな人にオススメ?

2024年からスタートの新NISA、どう変わる? どんな人にオススメ?
税制優遇のある投資制度、「NISA(少額投資非課税制度)」が、2024年に生まれ変わります。
ただし、制度改正の内容はなかなか複雑なものになっています。

そこで、今回は、気になる新NISAの仕組みについて、わかりやすく解説していきます。

利用者が増加傾向のNISA、2024年にどう変わる?

現状、NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があります。
ジュニアNISAは2024年の制度改定で廃止されることが決まりましたが、一般NISAとつみたてNISAは引き続き利用可能です。
新NISAについては、やや複雑なルール変更があるので注意が必要です。なお、つみたてNISAについては、加入できる期間が2042年に伸びただけでそれ以外の変更はありません。

制度改正の内容を解説する前に、まずはNISA制度の基本について見ていきましょう。

2014年にスタートした一般NISAと2018年にスタートしたつみたてNISAは、老後資産の形成手段として人気が高く、口座数は年々増加傾向にあります。
一般NISAとつみたてNISAの口座数の推移

※出典:金融庁「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」のデータを基に、筆者作成。

※各年12月末時点のデータ(2021年のデータのみ速報値)。
※一般NISA口座数は、基準日時点で、金融機関に対してマイナンバーの告知がされておらず、各年の投資利用枠が設定されていない口座数を含む。なお、これまでに開設された口座数から金融機関変更に伴う変更前口座・廃止口座の数を差し引いて計上。

口座数の推移を見ると、現段階では一般NISAがつみたてNISAと比べて、より世間に浸透していることがわかります。

一方で、世代別の口座数を見てみると、株式も対象となり比較的投資経験者の利用が多い一般NISAは、高齢層での人気が高いことがわかります。そして、少額からはじめられて投資初心者に向いているつみたてNISAは、若年層からの人気が高いことが見えてきます。
一般NISAとつみたてNISAの世代別口座数

※出典:金融庁「NISA・ジュニアNISA利用状況調査(2021年9月末時点)」のデータを基に、筆者作成。
※一般NISA口座数は、基準日時点で、金融機関に対してマイナンバーの告知がされておらず、2020 年の投資利用枠が設定されていない口座数を含む。なお、これまでに開設された口座数から金融機関変更に伴う変更前口座・廃止口座の数を差し引いて計上。

現行のNISAでも新NISAでも、一般NISAとつみたてNISAの併用はできず、どちらかを選択することになります。

ここからは一般NISAとつみたてNISA、それぞれの仕組みと改正のポイントについて見ていきましょう。

一般NISAの仕組みと改正のポイント

<概要>
年間120万円までの投資について、運用益が非課税になる仕組み。期間は最長5年。対象商品は上場株式、株式投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資)など。

5年経過後には、新たなNISA口座にロールオーバー(乗り替え)することで、引き続き、さらに5年間にわたって非課税で運用を続けることができます。

<改正のポイント>
・新規にはじめられる期限が、これまでの2023年までから5年間延長され、2028年までになります。

・投資対象商品が、2階建ての構造に。1階部分と2階部分それぞれに、対象商品と年間の上限額が設定されます。1階部分は、現状のつみたてNISAの商品が対象となり、積立のみの投資枠に。2階部分は、個別株や株式型投資信託などに投資することができます。
新NISAのイメージ
1階部分、2階部分を合わせて年間最大122万円、5年間で最大610万円の投資金額に対して、運用益が非課税になります。

新NISAでは、原則として1階部分(つみたてNISA対象商品の積立)を利用しないと、2階部分で投資することができません。

1階部分は必ずしも上限20万円の枠を埋める必要はありません。少額でも積立投資を行えば、2階部分で投資を行うことができます。1階と2階で別々の商品を買うことも、1階と2階で同じ商品を買うこともできます。また、2階部分は、一括買い付けでも積立でもどちらでも投資可能です。

このように、人生100年時代に向けて、家計の安定的な資産形成を支援するのが、今回の改正の一番の狙いと言えます。

つみたてNISAの仕組みと改正のポイント

<概要>
毎年、最大40万円までの積立投資に対して、最長20年間非課税になるという仕組み。毎月、少額からじっくりと積み立てながら、長期にわたって資産形成することができます。ただし、対象商品は、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されています。

<改正のポイント>
新規に始められる期限が、これまでの2037年から5年延長され、2042年までになりました。

新NISAはどう使う? まずは正しい理解から!

今回の制度改正は複雑で、「わかりにくい」との批判も少なくありません。そこで、特に複雑になった新NISAの、間違いやすいポイントを2つ紹介していきます。

①どんなケースでもまずは1階部分での積立投資が必要なの?
新たにNISA口座を開設して、新NISAからはじめる人は、原則として、まず1階部分で積立投資をしてから2階部分を利用します。
ただし、すでに現行の一般NISA口座を保有している人などは、事前に証券会社に届け出をすれば、2階だけの利用も可能となります。この場合、2階で投資できる商品は個別株のみとなります。

②現行の一般NISAから新NISAへロールオーバー(乗り替え)できる?
現行の一般NISAから新NISAへロールオーバーできます。その場合、ルールがやや複雑なので注意しながら利用しましょう。

<ケース1:時価が122万円を超えている場合>
現行の一般NISAで投資している商品の時価が、新NISAの投資枠122万円を超えている場合には、枠を超えて全額ロールオーバーすることができます。この場合は、ロールオーバー後に新規で投資することはできません。
時価が122万円を超えている場合のロールオーバーの図
<ケース2:時価が122万円以下の場合>
ロールオーバーする商品の時価が、新NISAの投資枠122万円以下の場合は以下のようになります。
新NISAは1階→2階の順に利用するのが基本ルールなのですが、ロールオーバーの場合には2階→1階の順に入れ替わります。
たとえば、時価110万円の株式や投資信託をロールオーバーする場合、2階部分の投資枠102万円から優先して消費して、超えた8万円は1階部分の枠から消費します。残った1階部分の12万円の投資枠(20万円−8万円)を利用して新規に購入することができます。
時価が122万円以下の場合のロールオーバーの図
ただし、ロールオーバー後に1階部分と2階部分の投資枠が両方余っていても、1階→2階の順に利用するという基本ルールが適用されます。
たとえば、時価100万円の金融商品をロールオーバーする場合、2階には102万円-100万円=2万円、1階には20万円分の枠が残ります。このとき、残った投資枠を利用する際には、先に1階部分で20万円分の枠の一部を利用して投資した後に、2階部分に残っている枠を利用することになります。

新しい仕組みを正しく理解して、上手に活用しよう

新NISAは、より中長期的な資産形成がしやすい制度へと生まれ変わりました。1階部分は、5年経過後につみたてNISAへのロールオーバーもできるため、結果として最大25年の非課税保有が可能となります。現状では、2階部分はロールオーバーできず、5年間で非課税期間は終了する見込みです。運用実績をウォッチして、ある程度収益が出たら売却するといった形での利用も検討していきましょう。

自分の投資スタイルを考えて、今から現行の一般NISAをはじめるのもひとつの考え方です。2023年までに一般NISA口座を開設すれば、5年間非課税で運用することができるので、「まとまった資金を投資したい」などと考える人には利用しやすい制度です。ただし、一般NISAはあくまで5年間の枠の間に売却をして利益確定をすることが大切です。

現行のNISA、新NISA、それぞれのメリット・デメリットを把握し、上手に使い分けをすることがポイントです。新しくなった制度を正しく理解し、目的に合った資産運用をはじめてみてはいかがでしょうか?

※この記事は2020年4月8日に公開した内容を、2022年5月25日に内容を変更して掲載しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

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