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2020.6.3

#31 「70歳雇用」が企業の努力義務に! 働き方はどう変わる?

「70歳雇用」が企業の努力義務に! 働き方はどう変わる?

高齢期の働き方が大きく変わります。会社員は、フリーランスや起業といった選択肢も含め、希望すれば70歳まで働くことができるようになることが決まりました。

私たちの働き方や定年後の資産形成プランにどのような影響があるのか、「70歳雇用」について知っておきましょう。

増える、65歳以上の就労者数

セカンドライフが長くなる「人生100年時代」。厚生年金の給付水準が下がっていくことから、安心の老後生活を送るためにも、高齢期の働き方が重要になっています。

総務省が発表した「労働力調査」によると、65歳以上の就労者数は年々増加。2019年には892万人で過去最高を更新しました。男性はもちろん、女性の就労者数も増えています。
65歳以上の就労者数の推移
※総務省「労働力調査」(年平均)をもとに、筆者作成。
また、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、老後における生活資金源※として、「就業による収入」を挙げた割合が、2013年は25.1%であったのに対し、2019年には31.8%と増加。
60歳以降の生活費を「就業」でまかなう傾向が高まっていることが分かります。

※世帯主が60歳以上の2人以上世帯/複数回答


高齢者が働くことで、日本全体としては、人手不足を補うとともに、年金や健康保険料を納める側となってもらうことで社会保障制度の担い手を増やすというメリットもあります。

働き方の選択肢が増え、企業で70歳まで働けるようになる!?

シニア層、子どもや子育て世代、現役世代まで広く安心を支えていくための「全世代型社会保障改革」の一環として、70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする「高年齢者雇用安定法」の改正案が、2020年3月31日の参議院本会議で可決され、成立しました。

2021年4月から適用される予定です。働く意欲のある高齢者は支え手に回ってもらい、前述したように社会保障制度を保つ狙いがあります。

現在の「高年齢者雇用安定法」では、企業は希望者全員を65歳まで雇うことが義務付けられています。企業側は、以下の中からいずれかを実施しなければなりません。

<雇用による措置>
1. 65歳までの定年延長
2. 希望者全員を65歳まで継続雇用する制度の導入
3. 定年制の廃止

しかし、改正後は、フリーランスや起業した場合に業務委託で報酬を払う選択肢なども追加。意欲のある人が長く働ける環境を整えるために、「雇用による措置」と「雇用以外の措置」の2つに大別した、以下のような選択肢となります。

<雇用による措置>
1. 定年制の廃止
2. 70歳までの定年延長
3. 定年後または65歳までの継続雇用終了後も70歳まで雇用〔または関連事業主(子会社・関連会社等)が雇用を確保〕
4. 定年後または65歳までの継続雇用終了後、(関係の事業主以外の)再就職の実現

<雇用以外の措置>
1. 定年後または65歳までの継続雇用終了後に創業(フリーランス・起業)する者との間で、70歳まで継続的に業務委託契約を締結
2. 定年後または65歳までの継続雇用終了後、事業主が自ら実施する事業、委託や助成、出資等するNPO等が行う事業に70歳まで継続的に従事

出典:「 全世代型社会保障検討会議中間報告(案)(令和元年12月19日)」


民間でこうした動きがある中、国家公務員の定年を60歳から65歳に段階的に引き上げる関連法改正案も、2020年3月13日に法案が閣議決定され、国会に提出されました。

国会を通れば、現在60歳の定年を2022年度から2年ごとに1歳ずつ引き上げ、2030年には定年が65歳に。検察官、防衛省の事務官などについても同様に引き上げられます。

また、60歳以上の職員給与は従前の7割に抑えられます。60歳になると原則、管理職から外れ、「役職定年制」も導入される見込みです(公務に支障が生じる場合に限り留任を認める例外規定もある)。

これからの高齢期の働き方はどう変わる?

定年の変更により、今後、高齢者の働き方はどう変わっていくのでしょうか。

高齢期の働き方に関わるものとして、「在職老齢年金」という仕組みがあります。現在、60~64歳は賃金と年金の合計額が月28万円を超えると年金が減額され、65歳以上は月47万円を超えると減額されることになっています。

2020年4月時点では国会で審議中ですが、年金制度改革により、2022年4月からはこの基準が60歳以上月47万円で統一される予定です。
在職老齢年金の改正案
また、同じ年金制度改革の1つで、年金を支給しはじめる年齢の引き上げについても変更される見込みです。
現行の制度では70歳までですが、75歳まで可能になる予定で、75歳から公的年金を受け取る場合、1ヵ月の年金額は65歳時点の基準額の1.84倍になります。

国会で法案が成立することが前提ですが、いずれも2022年4月1日から変更される予定です。こうした改正により、今後は、何らかの形で70歳まで働き、70~75歳で公的年金をもらい始める人生設計が増えてくることでしょう。

「人生100年時代」を見据え、「老後」の期間をできるだけ短くして、自分の資産寿命を延ばしていくことが大事になってきます。
今後は、自分自身が働くこととともに、お金や資産に働いてもらうことの2本だてで考えてみてはどうでしょう。

老後資金の準備なら、個人型確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISA(少額投資非課税制度)がおすすめです。計画的にはじめてみてはいかがでしょうか。

※ 2020年6月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

執筆:ファイナンシャルプランナー 豊田 眞弓(とよだ まゆみ)

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