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2020.8.26

#39 年金にプラスしてもらえる「加給年金」って?

年金にプラスしてもらえる「加給年金」って?

老後の生活設計で収入の柱となる、国から支給される老齢年金(65歳から支給されるいわゆる「年金」)。そこにプラスしてもらえる「加給年金」をご存じでしょうか。

加給年金は、厚生年金や共済年金に上乗せされる扶養手当のようなものです。受給のためには、受給者本人だけではなく扶養している家族にも条件があります。

定年が近づいてきたら、自分に支給される年金額を正確に把握してマネープランを考えておくことが大事です。まずは自分と家族が加給年金の条件に当てはまるかを確認してみましょう。

配偶者が条件に合えば、年間約39万円の年金アップ

加給年金とは、厚生年金を受け取っている受給者に、扶養している配偶者や子どもがいる場合、厚生年金に加算される年金のことです。配偶者がいる人の加給年金は、年間約39万円、子どもがいる人の加給年金は、1人目と2人目はそれぞれ約22万5千円、3人目以降は1人7万5千円。(2020年度額/受給者の生年月日が1943年4月2日以降)です。

本人、配偶者または子どもそれぞれに条件があり、すべての条件に当てはまればその期間中、本人の年金に上乗せされます。

「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査」によると、老後の生活設計の中で「全面的に公的年金に頼る」または「公的年金を中心に設計する」と回答した人の割合は、25年前の約70%から約80%に増加。一方、「なるべく公的年金に頼らない」または「公的年金には頼らない」と回答した人の割合は約25%から約20%に減っています。
このように公的年金の重要性が増しているなか、加給年金の対象かどうかによって年金総額が大きく変わるので、正しく理解しておきたいものです。

加給年金を受け取るための条件とは?

加給年金を受け取る場合は、本人と配偶者、または本人と子どもの条件がすべて揃った月から対象期間になります。ただし、加算は翌月分の年金から始まるため、実際に年金額が増えるのは、2〜3ヵ月後です。

たとえば、受給者が7月で65歳となり、その時点で受給者、配偶者のともに条件を満たしている場合、8月分の年金から配偶者加給年金の加算がスタート。8・9月分の年金が振り込まれる、10月15日受取分から約6万5千円(2ヵ月分)が増額となります。

受給者だけでなく、配偶者や子どもにも条件があるので、自身に加給年金が加算されるかわかりにくいですよね。今回、配偶者や子どもの加給年金の対象となるかどうか、フローチャートを作成したので、ご自身の場合はどうなのかぜひ確認してみてください。

加給年金の条件確認フローチャート
振込にかかる手数料(A銀行の場合)
※日本年金機構のWebサイトの情報をもとに、筆者作成。
※「生計を維持されている」とは、次の①・②ともに満たしていること。
①同居している(別居の場合「仕送りがある」「健康保険の扶養親族である」など)
②配偶者や子の前年の収入が850万円未満または所得が655万5千円未満


振込にかかる手数料(A銀行の場合)
※日本年金機構のWebサイトの情報をもとに、筆者作成。
※「生計を維持されている」とは、次の①・②ともに満たしていること。
①同居している(別居の場合「仕送りがある」「健康保険の扶養親族である」など)
②配偶者や子の前年の収入が850万円未満または所得が655万5千円未満

この場合の配偶者は、戸籍上の配偶者だけでなく、基本的には同一住所の事実婚パートナーも対象です。

一方、子どもは戸籍上の子どものみが対象となっています。子どもが3人いて、一番上の子どもが条件の対象外であれば、2番目の子どもは1人目となり、3番目の子どもが2人目という数え方をします。

配偶者が対象の加給年金は、基本的には配偶者が65歳になるまで受給可能。夫婦の年の差が大きい場合は加給年金の受取総額も多額となる可能性があります。子どもが低年齢の場合も同様です。

本人が65歳時点で、被用者年金(厚生年金・共済年金)の期間が20年に満たないために加給年金が付かなかった場合も、その後、被用者年金に加入して20年に到達した場合、20年到達後の退職時または70歳のどちらか早いときにその他の条件を満たしていれば、その翌月分から加算が始まります。

いずれの場合も、条件を満たす配偶者や子どもがいれば自動的に上乗せ加算されるわけではありません。年金の受け取り開始同様に加給年金加算開始の手続きが必要なので、忘れないようにしましょう。

ただし、加給年金の対象となっていた配偶者や子どもが、ひとつでも条件に合わなくなれば翌月分から加算はなくなります。

受給のための手続きはどうすればいいの?

加給年金を受給するには、「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」に必要書類を添えて、65歳誕生日の前日以降に最寄りの年金事務所へ提出する必要があります。年金事務所は、日本年金機構のWebサイトから検索できます。

ただし、「特別支給の老齢厚生年金」(65歳未満で受け取り始める厚生年金)の請求をする時に、「加給年金額に関する生計維持の申し立て」のページに記載をしている場合は、65歳の時に出す請求ハガキに必要事項を記入して郵送するだけでOKです。

年金事務所に提出する必要書類は、戸籍謄本(同一戸籍全員が載っているもの)、住民票(家族全員分)、対象となる配偶者や子どもの所得証明書です。すべて受給者本人が65歳になった以降(もしくは加給年金の対象者となった日以降)から6ヵ月以内に発行されたものを提出してください。

※基礎年金番号と個人番号(マイナンバー)が紐付いている人は、住民票と所得証明書が省略できます。



配偶者が、自分の年金を受け取る年齢になっても請求手続きをしないで、受け取っていなかった場合、または「離婚」や「別居」などで年齢要件以外の理由で配偶者や子どもが加算対象から外れた場合は、自分で届け出ないと加算が付いたままになり、もらいすぎた部分はさかのぼって返金する必要があります。長期間ほったらかしてしまうと、多額の返金を求められますので、できるだけ早く届け出をしましょう。

加給年金も含めて、年金受給額を正しく把握して定年後に備えよう!

年金の受給額は、毎年の誕生月にハガキなどで郵送される「ねんきん定期便」や、Webサイト上の「ねんきんネット」で確認できますが、実はどちらも加給年金額は反映されていません。

だからこそ、ぜひ、上記フローチャートで自分が加給年金を請求できるのか、できる場合はいつからいつまで、どのくらいの金額が加算されるかを把握してもらいたいと思います。年金事務所では、窓口や郵送で自分の正確な年金額を確認できるので、それを活用するのも一案です。

加えて加給年金だけでなく、年金全体としてはいくらあるのか、その他の収入はいくらあるかを含めて、定年後の全体の収入を把握しておくことがより大切です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)や個人型確定拠出年金(iDeCo)などの資産があれば、定年後の重要な収入源となります。それらの資金は、すぐに使う用途がなければ、一括で取り崩すのではなく、運用しながら少しずつ取り崩していくのも手となります。

また、60代からでも、資産運用の基礎知識を勉強しながら、少額投資を実際にやってみるのでも遅くはないのではないでしょうか。

安心で豊かな老後を過ごすためには、まず、定年後のお金の収支を「見える化」することが必須です。配偶者のいる人は、収入と支出について、これから先の推移を夫婦で共有しておけば、それぞれの老後の夢がより現実的になります。

より正確な年金受給額が把握できたら、公的年金を収入の柱としながらも、保有する資産の運用を並行して行い、足りない分は貯蓄の取り崩しで賄うなど、定年後のマネープランを具体的に立てておきましょう。

※2020年8月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

執筆:小野みゆき

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