くらしのマネー辞典

2022.1.26

#57 住宅ローン控除とiDeCo、併用の場合は「減税額」に注意! 節税の仕組みを解説

住宅ローン控除とiDeCo、併用の場合は「減税額」に注意!
「住宅ローン控除」と「iDeCo(イデコ)」は、どちらも減税につながる制度です。併用することで減税額アップが期待できますが、注意も必要です。場合によっては節税効果が薄れてしまうケースもあるためです。
税額控除と所得控除の違いや仕組み、上限額などを理解したうえで上手に活用する方法について考えてみましょう。

住宅ローン控除とiDeCoの節税の仕組み

まずは、「住宅ローン控除」と「iDeCo」の節税の仕組みを整理しておきましょう。

住宅ローンを組むと利用できるのが、住宅ローン控除です。

例えば、2021年に新築の一般住宅を購入して居住した場合は、年末の住宅ローン残高(上限4,000万円)に対し、10年間は1%、11~13年目は「年末残高×1%」か「建物価格×2%÷3年」の低い方の額が所得税から引かれて戻ってきます
所得税から引ききれなかった場合は、住民税から年上限13万6,500円まで引くことができます。

※2022年の税制改正により、控除率は0.7%に引き下げられる見込みです。


控除額や期間などの条件は、入居開始時期や購入した物件の消費税率、また新築か中古かなどによって異なります。
住宅ローン控除のポイントは、「税額控除」である点です。これは所得税額が算出された後に、引かれる控除のことです。住民税から引く場合も税額控除です。

一方、iDeCoは「所得控除」になり、税額控除よりも先に計算されます。
iDeCoで積立を行った分の掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として控除され、所得税と住民税(所得割額)を算出する際に、それぞれの所得から引くことができます。
課税額算出の流れ
※国税庁の情報をもとに筆者作成。

住宅ローン控除とiDeCoの併用によるメリット・デメリットは?

住宅ローン控除とiDeCoの併用によるメリット・デメリットを整理しておきましょう。

まず、併用のメリットとしては、住宅ローン控除による税額軽減を受けながら、iDeCoでさらに所得税・住民税を軽減できることが挙げられます。

具体例で見てみましょう。

例)2021年に新築の一般住宅を購入して居住した場合
■年収800万円(扶養なし)
■年末時点の住宅ローン残高:2,500万円(控除率1%)
■iDeCoの掛金:月2万3,000円

※所得控除はほかに基礎控除、社会保険料控除のみ考慮。

●住宅ローン控除の軽減額
所得税から年間25万円(2,500万円×1%)が軽減されます。

●iDeCoの軽減額
所得税から5万5,200円、住民税2万7,600円、合計8万2,800円が軽減されます。

●住宅ローン控除とiDeCoを併用した場合の軽減額
住宅ローン控除とiDeCoを併用した時の軽減額は、合計で33万2,800円となります。

住宅ローン控除のみの場合と、iDeCoを併用した場合はそれぞれ、以下の図のように税額が決定します。
住宅ローン控除のみの場合
住宅ローンとiDeCoを併用した場合
※国税庁、東京都の情報をもとに筆者作成。
さらに、iDeCoで投資信託の積立を行った場合、運用次第で資産(老後資金)を増やすことができる点も、大きなメリットだと言えます。

デメリットとしては、途中で住宅ローンの繰上返済をしたいという場合に、iDeCoに拠出しているお金は繰上返済へまわすことができないことが挙げられます。iDeCoは私的年金制度のため、積み立てたお金は60歳になるまで引き出すことができません。無理な併用はしないように気をつけましょう。

住宅ローン控除とiDeCoの併用による注意点は?

最後に、住宅ローン控除とiDeCoの併用による注意点を整理しておきましょう。

所得税や住民税を軽減できるのは、自分が支払う税額の範囲内です。併用することで所得税や住民税の上限を超えてしまうと、節税効果が薄れてしまう点は注意が必要です。気をつけたいケースを2つ取り上げ、その対策を紹介します。

<気をつけたいケース1>
現在、住宅ローン控除が適用されていて、所得税が全額還付されている状態。さらにiDeCoを始めたとしても、税制メリットがないのではないかと思っている。

所得税から引ききれない住宅ローン控除は、住民税から引くことができるため、その分も考慮して検討するといいでしょう。
例えば、2021年12月末までの制度では、消費税率10%の住宅で13万6,500円(所得税の課税総所得金額等の7%)まで、中古住宅等で消費税がかからない住宅では9万7,500円(同5%)まで住民税から引くことができます。

住民税から引くことができる分を加味しても、併用することで引ききれない住宅ローン控除がある場合は、iDeCoの掛金額を調整する(減らす)ことで、節税効果を有効に活用することも可能です。年々減っていく住宅ローン残高や昇給などによっても条件は変化します。納めている所得税や住民税の状況をみながら、時々iDeCoの掛金を見直していくのも方法の一つです。

<気をつけたいケース2>
すでにiDeCoを行っている夫婦が、住宅購入を検討中。夫が1人で住宅ローンを組んで住宅ローン控除を利用しようとしたら、所得税・住民税とも引ききれないと気づいた。

この場合の対策としては、住宅ローンの組み方を考えましょう。夫婦でペアローン(2人で2本の住宅ローンを組む)を選択する、またはフラット35を利用して「連帯債務」にすることで、夫婦ともに住宅ローン控除を適用する方法があります。

ただし、子どもの出産から育児休業中にかけては妻(主夫)の収入が減ることも多いため、それを加味して妻(主夫)の住宅ローン控除の割合を下げるなどの調整も必要です。また、もしも、妻(主夫)が出産や育児で仕事を辞める可能性がある場合は、この方法は使えません。

住宅ローン控除とiDeCoを併用する際には、自分の所得税・住民税を把握することが重要です。
所得税は、年始に会社からもらう「源泉徴収票」、住民税なら毎年5、6月頃に届く「住民税決定通知書」を参考にしながら、税額の計算をしてみるのがおすすめです。お金の情報と上手に付き合って、かしこく節税制度を活用していきましょう。

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※2022年1月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

執筆:ファイナンシャルプランナー 豊田 眞弓(とよだ まゆみ)

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