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2019.10.16
2019年9月、「フラット35」に代表される住宅ローンの固定金利が史上最低を更新しました。消費者にとっては嬉しいニュースですが、これは一体何を意味しているのでしょうか。また、今後もさらに下がる可能性があるのでしょうか?
住宅ローンの中で、長期固定金利型の代表的な商品がフラット35です。住宅金融支援機構が民間金融機関と提携する形で扱っています。
フラット35は、2017年9月までは、「団体信用生命保険」(ローン返済中に借入者が死亡・高度障害状態になった場合に、保険金で残ったローンが支払われる保険)の保障コストが年1回の別払いでしたが、現在は、毎月の金利に含まれています。
以前の基準に合わせて考えると、現在のフラット35の金利は、7月以降、過去最低水準を更新している状況です(10月1日に発表された金利は9月とほぼ同等でした)。
フラット35は、住宅金融支援機構が民間金融機関から「住宅ローン債権」を買い取る形で提供されている、固定金利の住宅ローンです。
住宅金融支援機構は、買い取った債権を担保に債券を発行し、投資家に販売しています。このような仕組みで行っている融資を、フラット35の「買取型」と言います。
こうした「買取型」に対して、最近は、住宅金融支援機構が債権は買い取らないものの、借入者が返済できなくなった場合の保険を提供する「保証型」も増えています。保証型の方が自由度があり、金融機関では金利を低めに出すケースがあります。
2019年9月の金利で見ると、買取型(借入期間21~35年、融資率※ 9割以下)のフラット35の最低金利が1.11%。一方、保証型(融資率8割以下、団信含む)では1%を切る金利を打ち出す金融機関もあります。
※融資率=購入価額等に対する借入額の占める割合。
フラット35などの固定金利は、長期金利(10年国債の金利)の影響を大きく受けます。
長期金利は現在、日銀のコントロール下にあります。短期金利だけでなく、長期金利まで金融政策の対象にしているのは世界中で日本だけです。
現在、日銀は、長期金利の誘導目標を「0%程度」とし、「±0.2%程度まで」の変動を容認する方針で金利の上昇を抑えています。
8月に、アメリカが政策金利の利下げを行い、9月にも2度目の利下げを行いました。その後も米中貿易摩擦の激化やイギリスの欧州離脱など、世界的に「景気後退」の兆候が高まっています。
【関連記事】米FRB「10年半ぶり利下げ」で日本の景気はどうなる?
そのため、日本の長期金利が金融緩和でさらに下がるのでは?と見られ、一時的に長期金利のマイナスが拡大しました。フラット35など住宅ローンの固定金利が低下したのはその影響です。
※ 2019年10月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
執筆:ファイナンシャルプランナー 豊田 眞弓(とよだ まゆみ)
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