高度経済成長から学ぶ モーレツ経済学高度経済成長から学ぶ
モーレツ経済学

2018.5.23
高度経済成長から学ぶ モーレツ経済学 でんぱ組.inc 藤咲 彩音 証券アナリスト馬渕 治好高度経済成長から学ぶ モーレツ経済学 でんぱ組.inc 藤咲 彩音 証券アナリスト馬渕 治好

東京ではじめてオリンピックが開催された1964年より少し前、1960年に掲げられた『国民所得倍増計画』。当時と同じようにオリンピックを控え、賃金アップ政策を掲げる今の日本につながるヒントとは? コスプレ好きアイドルでんぱ組.incの藤咲彩音さんと、高度経済成長期生まれの証券アナリスト・馬渕治好先生による対談、第2話はお給料が2倍になった!?夢のような時代を深掘りします!

#2 『所得倍増計画』 あっという間にお給料が2倍に!?

元祖・時短家電!? ライフスタイルを変えた、三種の神器

藤咲高度経済成長期で日本の経済がグルグル回って、お給料もどんどん増えていった頃、みんなは何にお金を使っていたんですか?

馬渕:1950年代後半から1960年代にかけて、消費を引っぱっていたのが『三種の神器』でした。

藤咲:聞いたことあります!

馬渕: そもそも神器とは、歴代の天皇が皇位の印として受け継いだ3つの宝物で、曲玉(まがたま)、鏡、剣のこと。その時代の暮らしを豊かにする3つの必需品といったニュアンスで使われるようになったんですが、当時は電気冷蔵庫、白黒テレビ、洗濯機でした。

藤咲:“電気”冷蔵庫って、その前は電気を使わない冷蔵庫があったんですか?

馬渕:昔は、氷を入れて冷やすタイプの冷蔵庫がありました。クーラーボックスみたいなものですね。でも、高度経済成長期に入ってお給料が上がると、これらの電化製品が買えるようになって、生活スタイルも変わってきたんです。藤咲さんは電気冷蔵庫がない生活、想像できます?

藤咲:え〜、困りますね。買ってきた食品が保存できないから、毎日買い物に行かないといけないのは大変…。ジュースもアイスクリームもストックできない!

馬渕:そうそう。当時は冷たいジュースが家庭で飲めるようになったのも画期的でした。それに食料品を冷蔵庫に保存できるようになったり、洗濯機で洗濯にかかる時間が減ったおかげで、働いたり、趣味のことをしたり、家事以外に使える時間が増えたんです。

藤咲:時短家電、ありがたいですね!

馬渕:あとは白黒テレビですが、ホームドラマを見ていて、家の中のシーンで素敵な洗濯機が出てくると欲しくなりますよね。さらに「こんな新しい冷蔵庫が発売されました!」とCMも流れる。そうすると「次のお給料が出たら買おうか!」と(笑)。またモノが売れて景気も良くなるわけです。

藤咲:私もたまにCMを見て、商品を買うことがあります!(笑)

馬渕:当時はお給料がどんどん上がって、ライフスタイルもどんどん変化していった時代でした。

10年でお給料2倍のつもりが、まさかの約2.7倍に!

藤咲:お給料が上がっていたとおっしゃっていましたが、どれくらい増えていたんですか?

馬渕:当時は、平均すると年間で10〜15%くらいお給料が増えていました。10 %増えるということは、20万円のお給料が、翌年には22万円になるということですね。

藤咲:いいですね〜!

馬渕:実は、10年かけてお給料を2倍にしようという計画があったんです。1960年に当時の池田勇人総理大臣が掲げ、1961年から1970年まで行った『所得倍増計画』。

藤咲:……計画って、『エヴァンゲリオン』(製作・カラー 総監督・庵野秀明)っぽいですね(笑)。

馬渕:10年でお給料2倍を目指して、いろいろな施策を行いました。例えば、企業が工場をいっぱい建ててたくさんモノを作っても、道路がガタガタだったり、船で運ぶための港がなかったりしてスムーズに輸送できなかったんです。それで、インフラを整えましょうと。

藤咲:いくらたくさんモノを作っても、それが運べないと売れないですもんね。

馬渕:そして、もう一つ。やっぱり日本を支えるのは人。だから教育にも注力しました。教育に予算をつけて、高校や大学に行きやすくしたんです。特に、ものづくりで日本はがんばろうとしていたので、理工系に力を入れました。10年間で、高校に行く人は58%から82%に、大学・短大に行く人は10%から24%になったんです。

藤咲:それで、本当にお給料は2倍になったんですか!?

馬渕:実は平均で毎年10.4%伸びて10年間で約2.7倍になったんです!

藤咲:えっ、3倍近くまで!?  すごい!

馬渕:お給料の伸び率とは別に、成長を計る指標として実質GDPがあります。どれだけ国内でモノを作ったかという統計から経済の成長を計るものです。10年間で7.8%アップを目標にしましたが、実際は11.6%も伸びました!

藤咲:そんなに!

馬渕:藤咲さんは、もしお給料が10年間で2倍とか3倍に増えたら、何に使いたいですか?

藤咲:う〜ん、悩む。もしかしたら、家を買っちゃうかも(笑)。今日、ここの近くを歩いていたら素敵な一軒家がたくさんあって、いいなぁと。あとは、いつか結婚して、子どもが生まれたときのために貯蓄しておくかも(笑)。

馬渕:やっぱり、それが今の若い方の価値観ですよね。

藤咲:お金に関しては、守りに入っちゃうと思います。

馬渕:この先ずっと増え続けるという保障はないですし、将来に備えておかなきゃいけませんしね。でも、高度経済成長期には、お金が入ったら「どんどん使っちゃおう!」という人が多かったと思います。また、企業も良いものをどんどん作って海外に進出しようという機運も高まりました。

藤咲:当時は世界に出ていくというのは大きな挑戦だったわけですよね。私たちも海外でライブをしますが、本当に現地のファンがいるのかと毎回ドキドキします。でも、行ってみるとちゃんとライブに来てくれて、本当に嬉しい。お金では守りに入りがちな私も、仕事ではもっと攻めて挑戦していきたいですね(笑)。

お給料がアップする時代は、お金の価値が目減りする!?

馬渕:高度経済成長期は、売上が伸びて儲かると、従業員にたくさんお給料を払っていました。みんなが豊かになってくると、モノの値段も上がってきます。それでも、みんなのお給料が上がっていた時代だから売れる。売れればまたお給料も上げられます。そして、お給料が上がるから物価も上げられる……と。

藤咲:どんどんお給料が増えて、もうエンドレス……!? でも、その分物価も上がってしまうのは、ちょっとツライかも。

馬渕:今の時代、あまり意識していない方が多いですが、物価が上がると、持っているお金の価値が下がってしまいます。例えば、10万円持っていれば1個1万円のものが10個買えますよね。でも、1個2万円に物価が上がると5個しか買えなくなる。現金を持っていると安心だという方もいますが、物価が上がると現金は目減りしてしまうというリスクもあるんです。

藤咲:え? お金の価値が変わるとか考えてもみませんでした。

馬渕:実は最近も、政府がお給料アップを企業に要請しているって知っていますか? 実際、バイトやパートのお給料は増え、2018年のパートの時給は、前年に比べ2%以上アップしているんです。一方、正社員等フルタイム労働者のお給料はまだそれほど増えていません。全体的に企業の収益は増えていますが、以前より慎重になっているんですね。

藤咲:もし、これから少しずつお給料がアップして物価も上がってしまったら、私が持っている現金もジワジワと価値が下がってしまうということですか? さっき、お給料が増えたら貯蓄すると言ったけど、どんどん使っていった方がいいのかな(笑)。

馬渕:まさかの時のために、預金などでお金を持っていることは大切です。でも、すぐに使わないものをすべて預金にしていると、物価によって目減りするというリスクはあります。ただ、だからといって不要なものまで買うのは良くないので、物価が上がっても目減りしないものにお金を使うといいですね。

藤咲:物価が上がっても目減りしないモノって……愛!?

馬渕:愛も大事ですが(笑)、一部を投資に回すという視点を持つといいと思います。

藤咲:投資ですか! 考えたことなかったです。

馬渕:もちろん、必ずお金が増えるという保障があるわけでありません。でも、物価が上がる状況というのは、企業が売るモノの値段が上がって売上が増えている状態。例えば、株を持つということは企業のオーナーになることなので、物価が上がって企業の売上が増えると株の値段も上がっていくという考え方なんです。

藤咲:でも、株って、やっぱり難しそうで、ちょっと怖いですね。

馬渕:1つの企業の株だけに投資するのはやはり少しリスクがあるので、いろいろな株などを分散して投資してくれる投資信託というものもあります。例えば、毎月5千円ずつ、投資の専門家がいる運用会社にお金を預けると、いろいろな株や債券などを少しずつ買って運用してくれるんです。

藤咲:投資はお金がたくさんある人がするものだと思っていたんですが、そんな少ない金額から始められるんですね!

馬渕:最近はネットでも投資信託を申し込むことができるんですよ。お給料がアップしている時代には、お金の価値が今後どうなるかも考えて、現金以外の選択肢を検討しておくといいですね。
(第3回へ続く)

藤咲彩香のモーレツ!アイドル論 藤咲さんが当時流行したファッションに身を包み、学んだ内容からアイドル活動につながるヒントを見つけていきます。 藤咲彩香のモーレツ!アイドル論 藤咲さんが当時流行したファッションに身を包み、学んだ内容からアイドル活動につながるヒントを見つけていきます。

〈 守りに入らず挑戦したことで、アイドルの私がいる! 〉

今回、「自分はお金に関しては守りがちなんだ」と発見しましたが、当時の日本企業が海外にどんどん出て行ったように、アイドル活動に関しては、これからも攻めていきたいと思いました。
私はもともとコスプレと踊りが好きだったのですが、中学生の頃にニコニコ動画に『踊ってみた』動画を投稿したんです。すると、その動画がプロデューサーの目にとまって! 歌には自信がなかったけど、「ここで諦めたら新しい自分の扉が開かない!!」と、アイドルになる決意をしました。今ではあの時に挑戦して本当に良かったと思っていますし、今後も、もっとたくさんの国でライブをしたりとか、いろいろなことにどんどん挑戦していきたいですね!

第2回のファッションは、1950年代に流行した真知子巻き♪第2回のファッションは、1950年代に流行した真知子巻き♪

藤咲 彩音(ふじさき あやね)

藤咲 彩音(ふじさき あやね)

2011 年にでんぱ組.inc に加入。両親の影響で 1 歳からコスプレイヤーとして活動。
趣味がスポーツでフルマラソンをこれまでに2回完走。ブランド「Pzzz」のプロデュースも手掛けている。2017年には舞台「ギア-GEAR-」East Versionにて舞台初挑戦。2018年4月から新体制初となる全国ツアー「コスモツアー2018」を開催中。

馬渕 治好(まぶち はるよし)

馬渕 治好(まぶち はるよし)

1981年東京大学理学部数学科卒。日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)国際市場分析部長を経て独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行なう。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。