高度経済成長から学ぶ モーレツ経済学高度経済成長から学ぶ
モーレツ経済学

2018.6.20
高度経済成長から学ぶ モーレツ経済学 でんぱ組.inc 藤咲 彩音 証券アナリスト馬渕 治好高度経済成長から学ぶ モーレツ経済学 でんぱ組.inc 藤咲 彩音 証券アナリスト馬渕 治好

東京1964オリンピック後の日本が歩んでいった、経済大国への道!当時のエピソードとともに、東京2020オリンピック後の日本のヒントを探ります。コスプレ好きアイドルでんぱ組.incの藤咲彩音さんと、高度経済成長期生まれの証券アナリスト・馬渕治好先生による対談、第4話はオリンピック後にやって来た、高度経済成長期最長の好景気『いざなぎ景気』!

#4 オリンピック後に経済大国ニッポンへ!

アメリカの学生風のコスプレが、銀座で大流行!?

馬渕:東京1964オリンピックが開催された頃、「みゆき族」というのが流行っていたんですがご存じですか?

藤咲:いや〜聞いたことないです!

馬渕:銀座のみゆき通りをブラブラと歩いていたことから、そう呼ばれていた若者たちのカルチャーで、そこで流行っていたのが“アイビールック”。アメリカの東海岸にある名門8大学のスポーツ連盟をアイビーリーグと呼びますが、その学生風のブレザーを着るというのが流行していたんです。

藤咲:へ〜!アメリカの“学生風”のファッションって、アイドルがセーラー服を着るのと同じような感覚ですか!? コスプレみたいでおもしろいですね!

馬渕:一方、女性のファッションは、1967年に元祖・スーパーモデルと言われるツイッギーさんが来日して、ミニスカートブームに火が付きました。ツイッギーというのは小枝と言う意味。スレンダーなツイッギーさんのミニスカート姿はスタイリッシュで、みんなが憧れたんですね。

藤咲:今見ても、すごくかわいいですよね!

馬渕:当時の内閣総理大臣だった佐藤栄作さんの夫人が、海外でミニスカートをはいて話題になったりしましたね。

藤咲:日本のファーストレディがミニスカート! それだけ大ブームだったんですね!

『いざなぎ景気』が長く続いたのには理由がある!

藤咲:ミニスカートが流行した1967年頃は、東京1964オリンピック後の不景気も終わっていた頃ですよね?

馬渕:そうですね。1965年の10月から1970年の7月までは『いざなぎ景気』と呼ばれる、高度経済成長期の中でも最長の好景気が続きました。

藤咲:東京1964オリンピックから1年後に、そんな好景気になったんですね!

馬渕:『いざなぎ景気』が長く続いたのには、ちゃんと理由があるんです。通常は、好景気が続くと人手不足になって、賃金を上げないと働き手を確保できなくなります。すると企業の負担が大きくなってしまいます。でも、当時は1947年〜1949年の終戦後2〜4年後に生まれた、ベビーブームの人たちが大人になり、ちょうど若い働き手になったので、人手不足に陥らなかった。いわゆる団塊の世代ですね。

藤咲:働きたい人がたくさんいるから、企業はお給料をそれほど上げなくて済んだんですね。

馬渕:この若い働き手は『金の卵』と呼ばれていました。地方の公共団体や自治体などのサポートで、地方の学校の卒業生をまとめて東京の企業へ就職させる『集団就職』もあったんです。

藤咲:『金の卵』! すごく大事にしてくれそうですね。

馬渕:『いざなぎ景気』のポイントはもう1つあって、それは“スケールメリット”です。世界を舞台に戦うメーカーが勝つためには、規模が大きい方が有利とされています。例えば、人事部、経理部などにかかるコストといった固定費は、メーカーがつくるモノの量に関わらず同じくらい必要になってきます。そこで、コンビナートという工場群をつくったり、企業が合併したりして、規模を大きくして固定費にかかる割合を減らしたんです。

藤咲:例えば、私ひとりにマネージャーさんがひとり付くより、でんぱ組.incでまとめてひとり付く方が、割がいいってことと同じですかね(笑)!

馬渕:そうですね(笑)。 “スケールメリット”がでると、良いモノが安くつくれるようになって、2つの方向で経済を引っぱっていきました。1つは、海外で日本のモノを買ってもらいやすくなって輸出が増えたこと。日本のバイクも世界中に広がっていきました。もう1つは、国内で良いモノが安く手に入るようになったこと。それまでは高くて手が出なかった車にも手が届くようになって、1960年代後半にはマイカーブームが広がっていったんです。

藤咲:良いモノが安くなって、一気に広がったんですね!

馬渕:さらに、その頃から、自動車や家電のメーカーは作るだけでなく、販売店やディーラーなどに技術指導をしながら、効率的に消費者に製品が届くように力を入れていきました。今でもメーカーの名前がついた街の電気屋さんがありますよね。

藤咲:ただ作るだけでなく、届けるところまで組織化したんですね! 私たちのライブも、私たちだけでは成立しないですもん。お客さんがいて、さらにライブをサポートしてくれるスタッフがいて……みんなつながっているんですよね。

実質GDPがグングン伸びて、経済大国ニッポンへ。

馬渕:1950年代後半の三種の神器は、冷蔵庫、電気洗濯機、白黒テレビでしたけど、1960年代後半には、カー、クーラー、カラーテレビが新・三種の神器と呼ばれようになりました。頭文字をとって3Cとも言われています。

藤咲:すべてカタカナになってきましたね(笑)!

馬渕:良いものが安くなって、暮らしを豊かに楽しくしてくれるモノに手が届くようになったんです。

藤咲:そもそもの疑問ですが…モノがたくさん売れると、経済が成長しているってことなんですか?

馬渕:いい質問ですね。経済成長を計る指標として、実質GDP(Gross Domestic Product)の伸び率があります。日本語でいうと国内総生産ですね。日本の中でどれくらいモノやサービスを作っているかを計ったものなんです。

藤咲:売れている量というより、作っている量で計るんですね!

馬渕:そうですね。ただ、作るといってもモノだけが対象ではなく、サービスも対象です。例えば藤咲さんがライブをしたら、ライブというサービスを作っているということ。美容院で4,000円のカットを提供したら、4,000円分のサービスをつくっていることになるんです。

藤咲:私のライブも、実質GDPにカウントされてるんですね。なんか嬉しいです。でも、なんで実質?

馬渕:またまた良い質問です。“実質”というのは、値上げ分はカウントしないということなんです。例えば、美容院のカット代が4,000円から翌年に5,000円に値上げされていても、実際は生産は増えていないので、その1,000円分は計上しません。一方で、髪を切ってもらう人が1人から2人に増えると、生産が増えていることになります。そして、4,000円のカットが何人分に提供されたかで見る。それが実質GDP。これが1960年代にはグングン伸びて、1960年代後半には、物価も含めた名目GDPでみて、「日本が世界第2位の経済大国」と言われるようになりました。

ワクワクする未来をひらく、次なる三種の神器とは?

藤咲:今の日本の経済成長って、どうなんですか?

馬渕:実質GDPで言うと、伸びても1〜2%だったり、マイナスだったりしますね。

藤咲:経済がグンと成長した当時は、新・三種の神器といった、みんなが欲しがるものが登場してきましたけど、これからはどんなモノやサービスが期待されているんだろう?

馬渕:2年後の東京2020オリンピックも見据えて、自動翻訳に力を入れている企業も多く、おもしろいと思いますよ。あとは、自動運転技術もすごく期待が集まっていますよね。AIやロボットを使ったモノやサービスは、これからどんどん広がっていくと思います。

藤咲:翻訳機の付いたタクシーの運用がはじまっているというニュースもありましたね!

馬渕:最近はIoT(Internet of Things)をキーワードに、いろいろなモノ・コトがインターネットにつながる時代になると話題になっていますよね。例えば、冷蔵庫に食品を入れておくと中身を把握しておすすめのレシピを教えてくれるのも、それほど先の話ではないかもしれません。一方で、ウイルスやアカウントの乗っ取りなどに対するセキュリティ技術も重要になっています。

藤咲:冷蔵庫の中の情報がみんなにもれたら、私が何を食べているかわかっちゃう!? 「毎日、大好きな納豆ご飯を食べてるぞ」とか(笑)。

馬渕:そうそう(笑)。もしも自動運転の車が乗っ取られたら、どこに連れていかれるかわからなくて怖いですよね。セキュリティ産業もますます発展していくと思います。

藤咲:なるほど!

馬渕:『いざなぎ景気』の時に、良いモノを安くつくろうとメーカーが努力して消費が盛りあがっていたように、今の時代に合った良いモノをつくろうと企業もしのぎを削っていると思いますよ。景気は良くないと言われることもありますが、企業の地力もついてきていると思います。
東京2020オリンピックを1つの目標として、新しい技術やサービスが生まれ、それを元にまた新しい技術やサービスが生まれて…とまだまだ期待できるはずです。

藤咲:自分が欲しいかどうかも大事ですが、これから成長しそうかどうかという視点でモノやサービスを見てみるのも、すごくおもしろいですね!
(第5回へ続く)

藤咲彩香のモーレツ!アイドル論 藤咲さんが当時流行したファッションに身を包み、学んだ内容からアイドル活動につながるヒントを見つけていきます。 藤咲彩香のモーレツ!アイドル論 藤咲さんが当時流行したファッションに身を包み、学んだ内容からアイドル活動につながるヒントを見つけていきます。

〈 私の新・三種の神器は、うめぼし、ヘアスプレー、ワイヤレスイヤホン! 〉

1960年代後半により豊かで楽しいモノを求めて新・三種の神器が流行したように、消費を引っぱっているモノってその時代を映す鏡だと感じました。
ちなみに、今の私にとっての三種の神器は、大好物のうめぼしに、前髪をスタイリングするヘアスプレー、あとは、ワイヤレスイヤホン! 特にワイヤレスイヤホンは、もう手放せないですね。音楽を聞くのはもちろん、ハンズフリーで通話ができるのがめちゃくちゃ便利。
AIスピーカーにも興味があるけど、今後、世界中のファンの方とつながれる自動翻訳スピーカーができたらうれしいなぁ。

第4回のファッションは、1960年代に流行したミニスカート。第4回のファッションは、1960年代に流行したミニスカート。

藤咲 彩音(ふじさき あやね)

藤咲 彩音(ふじさき あやね)

2011 年にでんぱ組.inc に加入。両親の影響で 1 歳からコスプレイヤーとして活動。
趣味がスポーツでフルマラソンをこれまでに2回完走。ブランド「Pzzz」のプロデュースも手掛けている。2017年には舞台「ギア-GEAR-」East Versionにて舞台初挑戦。2018年4月から新体制初となる全国ツアー「コスモツアー2018」を開催中。

馬渕 治好(まぶち はるよし)

馬渕 治好(まぶち はるよし)

1981年東京大学理学部数学科卒。日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)国際市場分析部長を経て独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行なう。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。