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2020.9.16

#6 年金の未納~払わなくても良い?払わないとどうなる?~

年金の未納~払わなくても良い?払わないとどうなる?~
年金は、老後の生活を支える大切なお金です。年金を受け取るためには保険料を継続的に支払う必要があります。しかし、年金保険料を支払っていない方も存在します。年金保険料は必ず全員が払わなくて良いものなのでしょうか、払わないと何か罰則などはあるのでしょうか。

この記事では、年金の未納者がどのくらいいるのか、未納が続いたらどうなるのかなどを詳しく解説します。

年金保険料は払わなくても良い?

・公的年金の保険料は支払う義務がある!

年金は国が用意する公的年金と、公的年金の上乗せとして自分や会社が用意する私的年金の2種類があります。

私的年金はあくまで上乗せであり、加入は任意であるため、必ずしも保険料を支払う必要はありません。
しかし公的年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての方が加入対象となる国民年金(基礎年金)と、会社員や公務員などが加入対象となる厚生年金があり、どちらの保険料も滞りなく支払う義務があります。

・国民年金保険料の未納率は30%以上

厚生年金は年収によって支払う保険料と老後に受け取る年金額が変わります。会社員や公務員は年金保険料が給与から天引きされるため、基本的には未納になることはありません。

一方、国民年金の保険料は定額制で、老後に受け取る年金額は保険料を支払った月数で決まります。自営業者や学生、無職の方などは、毎月自分で年金保険料を支払う必要があり、支払い忘れやあえて支払わないことも起こり得ます。

厚生労働省の発表によると、2018年度の国民年金保険料の納付率は68.1%(免除・猶予を除くと40.7%)なので、未納率は約32%であることがわかります。

未納の理由として最も多いのは、「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」というものです。
特に自営業者や無職の方は収入が不安定になりやすく、支払いが難しくなり滞納が続いてしまうことがあるようです。

将来年金を受け取るためには、保険料を10年以上支払っている必要があります。未納期間は年金額の計算期間の対象外となるため、できるだけ未納にならないように注意する必要があります。
毎年の誕生月に日本年金機構から郵送される「ねんきん定期便」を見ると、一目で年金保険料の支払い記録を確認できるため、未納防止にもつながるでしょう。
「ねんきん定期便」の詳しい見方はこちらの記事を参考にしてください。

【関連記事】老後のマネープラン考えていますか? 「ねんきん定期便」の見方

年金保険料を払わないとどうなる?

・年金保険料の未納が続くと財産を差し押さえられることもある

年金保険料を払わないと、どうなるのでしょうか。
差し押さえまでの流れ
※厚生労働省「国民年金の未納者に対する対応」を基に、株式会社ぱむ作成。
年金の未納が続いた場合、まず封書やはがきで保険料支払いの案内が届きます(納付督励)。つぎに特別催告状という支払いを促す封書が届きます。さらに無視しているといずれ最終催告状が届き、期日までに支払わない場合は延滞金が発生することがあります。特別催告状には種類があるため、詳しくはこちらの記事で解説しています。

【関連記事】年金の特別催告状~届いたら赤信号!? その際の対処法とは~


さらに未納が続くと督促状が届き、年金機構の職員が未納者の銀行口座や有価証券、自動車などの財産を調査した上で、それらを差し押さえることがあります。それでも未納が続くと、国が強制的に保険料を徴収することができるようになります。

老後に受け取る老齢基礎年金は、年金保険料を支払った月数によって金額が決まるため、未納期間が長くなるほど将来の年金額が減ってしまいます。
また、年金受給の対象となる方が亡くなった場合に遺族が受け取る遺族年金や、障害を持った場合に受け取る障害年金も、保険料の滞納があると受け取れなくなることもあります。遺族年金や障害年金はもしものときに受け取るお金です。そんなときに年金を受け取れずに困ることがないよう、保険料の未納には十分に気を付けましょう。

年金と貯蓄はどちらが賢い選択なのか?

年金保険料の値上げや将来の年金額の減少、年金を受け取りはじめる年齢が遅くなっていることから、年金保険料を支払うよりも老後のために貯蓄をしたほうが良いと考える方もいるでしょう。将来の生活資金として考えると同じような気もしますが、年金保険料の支払いは義務であることが貯蓄と大きく異なるところです。

国民年金保険料は毎年見直されており、2019年度は年19万6,920円です。
それに対して、老後に受け取る老齢基礎年金額は年78万100円です。単純計算になりますが、保険料は40年間の総額で約788万円支払い、年金を65歳から男性の平均寿命である81歳まで16年間受け取るとすると総額で約1,248万円受け取ることになります。女性の平均寿命である87歳まで22年間受け取るとすると総額は約1,716万円で、支払う保険料の2倍以上受け取ることができる計算になります。

また、年金保険料を滞納してしまうと財産の差し押さえなど生活に支障をきたす可能性もあります。
年金保険料を支払うということは、老齢年金だけでなく、遺族年金や障害年金を受け取るための保険の意味もあるのです。遺族年金や障害年金は今後生活をしていく中で受給する可能性があるものです。いざというときにこれらの年金を受給できるよう、できるだけ支払っておくことをおすすめします。

万が一払えない場合でも、免除や猶予申請ができる

・年金保険料の支払いは口座引き落としに

国民年金の支払い方法はいくつかありますが、日本年金機構が推奨しているのは口座振替です。またクレジットカード支払いも可能なので、口座またはクレジットカードを登録して毎月強制的に自動引き落としをすることで保険料の払い忘れを防止できます。

その他、日本年金機構から送られてくる「納付書(国民年金保険料納付案内書)」を使って金融機関やコンビニで支払うこともできますが、毎月支払いに行く必要があり、忘れてしまう可能性もあるため注意してください。

・保険料の免除や猶予を受ける条件

収入が少なかったり安定していなかったりなどの事情がある場合は、年金保険料の支払いを免除または猶予してもらえることがあります。

・保険料免除制度
本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下である場合、または失業した場合に申請できるものです。本人が申請書を提出し承認された場合、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類から免除内容が選定され、保険料が免除されます。所得の条件は以下のとおりです。
年金保険料免除の所得基準
※厚生労働省「国民年金の未納者に対する対応」を基に、株式会社ぱむ作成。
図にある「扶養親族等控除額」とは、所得税の申告において、扶養(生計を同じくする)親族の人数によって所得控除を受けられる額のことで、一般的には1人当たり38万円です。

「社会保険料控除額等」とは、年金保険料や健康保険料などの社会保険料を納めた額のことです。
いずれも年末調整や確定申告で申告する金額であり、源泉徴収票や確定申告書控えで確認できます。

また、地方税法に定める障害者及び寡婦(夫と離婚・死別しており、生計を同じくする子がいる母)は、前年の合計所得金額が125万円以下の場合に年金保険料が全額免除されます。
202141日以降は、寡夫(妻と離婚・死別しており、生計を同じくする子がいる父)と、生計を同じくする子がいる未婚の父又は母などのひとり親も対象に追加され、前年の合計所得金額が135万円以下の場合に全額免除されるようになります。

・保険料納付猶予制度

20歳から50歳未満で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合に申請できます。本人が申請書を提出し承認された場合、保険料の支払いが猶予されます。所得の条件は上の図の「全額免除」と同じです。

・失業等による特例免除
失業した場合、保険料の納付の免除を受けられることがあります。雇用保険の被保険者であった会社員と廃業または事業の休止の届出をしている自営業者等では、必要書類が異なるので注意してください。

・学生納付特例制度
卒業までに1年以上かかる学校に在学している学生に限り、本人が申請を行うことで在学中の保険料の支払いが猶予される制度です。学生納付特例制度の対象者には、大学や大学院、高等学校の他、夜間・定時制課程や通信課程も含まれるため、多くの学生が対象となります。

・配偶者からの暴力による特例免除制度
配偶者からの暴力(DV)によりDV加害者である配偶者と住居が異なる場合、本人の前年の所得が一定以下であれば、保険料の全額または一部が免除される制度です。なお、世帯主(父母など)は所得審査の対象になる場合があります。

・産前産後期間の免除制度

出産前後の一定期間、国民年金保険料が免除される制度が新設されました。自営業者などの第1号被保険者が201921日以降に出産した場合、出産予定日又は出産日が属する月の前月から4カ月間の国民年金保険料が免除されます(妊娠85日以上で死産、流産、早産された方も含む)。
例えば55日に出産した場合、4月~7月までの4カ月間の国民年金保険料が免除されることになります。
また、双子など多胎妊娠の場合は、出産予定日又は出産日が属する月の3カ月前から6カ月間の保険料が免除されます。
他の免除制度と異なり、産前産後の免除期間は保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。出産予定日の6ヵ月前から、市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口への申請が可能ですので、早めに申請しておきましょう。

・新型コロナウイルス感染症の影響による臨時特例免除
202051日から、新型コロナウイルス感染症の影響で国民年金保険料の納付が困難な場合、臨時特例免除申請ができるようになりました。
20202月分以降の保険料が対象で、①20202月以降に新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少したこと、②20202月以降の年間所得の見込みが、上記の表(年金保険料免除の所得基準)の基準に該当することが見込まれること、の両方を満たすことが条件です。

保険料の免除期間は、老齢年金を受け取る「受給資格期間」にカウントされ、受け取る年金額は免除の割合により異なります。猶予期間は「受給資格期間」にカウントされますが、猶予期間分の年金を受け取ることはできません。
また、保険料の免除や納付猶予期間中でも障害年金や遺族年金は受け取ることができます。


年金保険料はできるだけ全額支払うことをおすすめしますが、やむを得ない場合は放置せず、免除や猶予申請を行いましょう。

免除や猶予から10年以内であれば、保険料を後から納める(追納する)ことも可能です。
追納の条件や方法、メリットなどの詳細はこちらの記事をあわせて確認してください。

【関連記事】年金の追納~年金保険料を追納すると受給額が増える仕組みを解説~

まとめ

年金は、老後生活の大切な収入源です。年金保険料を決められたとおりに払い続けることで、老後に受け取る老齢年金だけでなく、もしものときには障害保険や遺族年金を受け取ることもできます。

年金保険料の支払いが難しい場合は滞納せずに免除や猶予制度を利用し、必要なときに必要な年金を受け取れるようにしておきましょう。

※この記事は2020年3月に公開した内容を2020年9月に内容を更新して掲載しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
記事提供元:株式会社ぱむ

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