となりの資産運用
2020.6.17
先進国の中でも、資産に占める預貯金の割合が高い日本人。なぜ、日本人は資産運用に対して消極的なのでしょうか?
マネービバで意識調査を実施して、読者の皆さんの本音に迫ります。
第11回では、初心者におすすめの投資信託について深掘り。投資信託はプロに運用を任せることができ、少額から始められるため、初心者にも始めやすい商品です。「投資信託を利用している人が購入した、商品のタイプについて」がテーマです。
資産運用経験者が実際に選んでいる商品の傾向をアンケート調査し、ファイナンシャルプランナーの山口京子さんが投資信託をはじめるときのヒントを読み解きます。
(n=115)<単一回答>
*「投資信託を購入したことがある」と回答した人に質問
これから投資信託をはじめようという方も、すでにはじめている方も、みんながどんな投資信託(ファンド)を買っているのか、気になりますよね。
投資信託には、「アクティブ型(アクティブファンド)」「インデックス型(インデックスファンド)」という種類があります
「アクティブ型」とは、市場の平均以上の利益を目指そうというもの。ファンドマネージャーが、AIやIT企業、アジアの企業など、テーマや地域をあらかじめ決め、商品を選んで投資するファンドです。これから成長が期待できるテーマや地域に絞って投資することができます。
一方、「インデックス型」とは、日経平均株価やTOPIXなど、指標と同じ動きを目指す投資信託のこと。それぞれの市場全体に投資するという発想なので、これから成長が期待できる企業にも、そうでない企業にも投資をすることになります。
ただ、必ずしもアクティブ型がインデックス型の成績を上回る訳ではないので、注意が必要です。そしてもちろん投資信託なので、どちらも値下がりするリスクはあります。
・指数に連動するのではなく、「指数を上回る」ことを目指す商品。
・ファンドマネージャーが値上がりを見込める商品を積極的に選んで投資することで高いリターンを追求
・信託報酬(運用管理費用)にかかるコストは、インデックス型より比較的高めになる。
・値動きが、日経平均株価やTOPIX、米国株ならS&P500など市場全体の動きを示す「指数に連動する」ことを目指す商品。
・市場全体に投資するため、分散投資の効果が高く、値動きのリスクが比較的抑えられる。
・指数に連動するため、運用・管理に人手やコストがかからないぶん、信託報酬(運用管理費用)にかかるコストが安くすむ。
今回の投資信託で購入した商品のタイプをマネービバ読者にアンケート調査したところ、一番多かったのは、アクティブ型とインデックス型を半々程度買ってバランスを取っている人。約4割の人が該当しました。
次いで多かったのは、インデックス型をメインに購入している人。アクティブ型をメインに購入している人の約2倍でした。
運用益が非課税になることで人気の「つみたてNISA」で、対象商品のほとんどがインデックス型という点も、買う人の割合が多い理由でしょう。
(n=115)<単一回答>
*「投資信託を購入したことがある」と回答した人に質問
アクティブ型とインデックス型の特徴を表現すると、「攻め」と「手堅さ」の違いとも言えます。
年代別にどのタイプの投資信託を購入したかを聞いてみると、50代は手堅いインデックス型を選ぶ人が多い結果となりました。攻めのバブル期を謳歌した世代も、今は定年を目前に控え、手堅く資産を守ろうという傾向があるようです。
一方、アクティブ型は40代以下と60代以降の世代に多く見られました。アクティブ型は「攻め」のファンドであると同時に、分かりやすさも兼ね備えたファンドでもあります。
たとえば「日本の東証一部(現プライム市場)の株」という、実態がイメージしにくいファンドより、AI、フィンテック、バーチャルリアリティー、5Gなどのテーマがあれば、明確にイメージでき、大ヒットしそうな気がしませんか。若い世代と、シニア世代には、この分かりやすさが購入を後押ししているのかもしれません。
分かりやすさも大事ですが、そのアクティブ型のファンドが、何に投資しているかといった中身を必ず確認しておきましょう。テーマが違うファンドであるはずが、中身を見ると同じような大型株である可能性もあります。異なるテーマのアクティブ型を買ってリスク分散しているつもりが、分散投資になっていない場合もあるので要チェックです。
「結局、アクティブ型とインデックス型、どちらを買えば良いの?」 この問いに、インデックス型での安定運用を望むインデックス派の人であれば、手数料の安さや、アクティブ型でインデックス型に勝てるファンドは少ないというエビデンスを出して、インデックス型をおすすめするでしょう。
一方、インデックス型はつまらないと考えているアクティブ派の人であれば、「確実にこれからの時代はこのテーマ、またはこの地域が伸びるのだから、買わない手はない」とすすめるでしょう。
そんな両者が仲良く手を取り合ったような「テーマ型のインデックスファンド」が出てきています。今までなかったテーマ型の新しい指数が開発され、低コストのファンドを実現しています。
まだ運用期間が短いものが多いので、これから運用成績がどうなるか注目してみてください。
また、今回のアンケート調査で一番多かったのは、インデック型もアクティブ型も両方買った人です。インデックスをベースに、これから伸びそうなテーマや地域をトッピングしていくのも、“両方のいいとこどり”ができます。
銀行などの金融機関のWebサイトで、自分の年齢や年収、資産、性格、目的などに合わせておすすめのファンドを提案してくれる、ロボアドバイザーによるシミュレーションができるところも増えています。自分のプロファイルを入力して、自分にあった投資信託選びの参考にしてみるのもおすすめです。
※ 2020年6月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
執筆:山口京子
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