お金も時間も自由に使えて、自分らしい生活を送ることができる「おひとりさま」。日本では年々未婚率が上昇していることもあって、おひとりさまのライフスタイルが注目を浴びています。実際、公私ともに充実しているおひとりさまは多いけれど、一方では、「このままずっとひとりで生きていけるのかな」「貯蓄が少なくて老後が心配」など、今後の人生に不安を感じている人がいるのも事実です。
そこで、“辛口”FP がおひとりさまの相談に応じ、今後の人生をハッピーに生きていくための資産運用についてアドバイス。今回は、コツコツと貯めた1,000万円の預貯金を元手に、株や投資信託を運用して4,500万円の金融資産を築いた正太さんの登場です。10年もの資産運用歴をもつ正太さんに対して、辛口FPはどんなアドバイスするのでしょうか。さっそくみていきましょう!

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正太さん
49歳男性。金融機関勤務。30代の10年間で貯めた預貯金1,000万円で資産運用をスタート。国内株や投資信託、外貨などに投資を行い、現在の金融資産は約4,500万円。50歳を間近に控え、今後の人生について今一度考えるようになった。

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花山院 扇子(かざんいん・おうぎこ)
奈良県出身のファイナンシャルプランナー。大学在学中、留学先で出逢ったフランス人実業家と結婚するも2年で離婚。無一文で追い出された経験から、お金の大切さに目覚めてFPに。その歯に衣着せぬアドバイスは厳しくも深い愛情に満ちており、顧客から尊敬と親しみを込めて「扇の君」と呼ばれている。
※本キャラクターは、高山一恵氏監修のもとに作成したフィクションです。実在の人物、団体とは関係ございません。
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正太さん「失礼します。花山院先生はいらっしゃいますか」
花山院「いるわよー」
正太さん「お久しぶりです」
花山院「あら…もしかして、正太さん?」
正太さん「はい。最後に先生にお会いしたのは私が
20代の頃でしたから、
20年ぶりになりますでしょうか」
花山院「そんなに経ったの?」
正太さん「思えば
20代の私は散財ばかりしていて、銀行の残高は常にマイナスでした」
花山院「やんちゃだったわよね」
正太さん「そんな私も一念発起して資産運用を始め、今では
4,500万円近い金融資産を保有するまでになりました」
花山院「すごいじゃない」
正太さん「でも、
50歳を目前にして、今一度考えるようになったのです。私の資産運用はこれで良かったのかと。先生、久しぶりに私をジャッジしてください」
花山院「もちろんよ。じっくり聞かせてちょうだい」
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日々の家計をチェックして、生活費を10万円以内に。30代の10年間で1,000万円の預貯金を貯める!
花山院「本来なら月々の収支から見ていくのだけれど、その前に、聞きたいことがあるの。どうやって4,500万円もの資産を貯めたの?」
正太さん「貯蓄をはじめたのは、30歳になった頃です。遊び呆けていた生活を改め、30代の10年間で1,000万円貯めました」
花山院「それはすごいことよ」
正太さん「この1,000万円を原資に、40歳のころから本格的に資産運用を始めたのです」
花山院「じゃあ以前のように無茶な使い方をしなくなったのかしら」
正太さん「はい。食費や水光熱費などの生活費を毎月10万円以内でやりくりしています」
花山院「すでに自分なりのスタイルを確立しているのね。とても良いことだわ」
正太さん「ありがとうございます。毎晩、その日の出費をExcelに記録しています。どんなに仕事が忙しくても、これだけは忘れずに続けています」

- <辛口FPメモ>
・お金を増やすポイントは、「収入を増やす」「支出を減らす」「資産運用をする」の3つ。正太さんのように無駄な支出を抑えることで、その分、多くの金額を資産運用に回すことができる。収入の割に、生活費を10万円以内に抑えているのはすごいわ。
・支出を減らしたい人は、収支を「見える化」して「浪費(無駄な出費)」がないか見極めることからはじめてみて。Excelでの管理が難しい人は、家計簿アプリがおすすめよ。
投資本を熟読して、資産運用の普遍的なルールを発見。長期・積立・分散投資で資産を大きく増やす!
花山院「次に、資産運用の状況をみていきましょう。国内株に投資信託、外貨とバランスよく運用しているわね。すべて自分の判断で運用してきたの?」
正太さん「はい。最初は資産運用に対して怖い気持ちもありました。けれど、投資関連の本を買って読み進めるうちに気づいたのです。長期・積立・分散投資であれば、安全に資産を増やしていくことができるのだと」
花山院「自分でそこまで気づけたのね。本当にえらいわ」
正太さん「同時に、こうも思いました。資産運用に“絶対”はないと。今はインターネットで資産運用に関する情報を気軽に入手できます。これらの情報を信じ込むのではなく、あくまでも参考にしたうえで、自分で何に投資すべきかを判断するようにしています」
花山院「毎月運用しているのは、つみたてNISAだけ?」
正太さん「先月まで特定口座で投資信託を毎月5万円分積み立てていたのですが、一定額たまったのでストップしています」
花山院「特定口座の投資信託は何を運用しているの?」
正太さん「アメリカ株のインデックスファンドと新興国のインデックスファンド、それからナスダック100に連動するレバレッジ型のインデックスファンドです」
花山院「しっかり分散しているわね」
正太さん「今後は資産のリバランスを進めていこうと思っています」
花山院「そこまで考えているのね」
正太さん「日本は国のセーフティネットが充実していますから。今後も運用を続けて、それなりに資産寿命(※老後の生活を送るにあたって、これまでに形成してきた資産が尽きるまでの期間のこと)を伸ばしていければ生活ができるのではないかと」
花山院「すでに老後のことも考えているのね。退職後にやってみたいことはある?」
正太さん「ありません。穏やかで当たり前の生活を送れたら、それで十分です」
花山院「そう。しっかり者の正太さんにどこまでアドバイスできるかわからないけれど、ジャッジしていくわね」
正太さん「よろしくお願いします」

- <辛口FPメモ>
・リバランスとは、株や投資信託、外貨など、運用している金融商品の割合を定期的に見直すこと。評価額が上下して当初のバランスから著しく外れていたら、割合の大きくなった商品を売却し、割合の少ない商品を購入するなどして、バランスをもとの状態に戻していくの。リバランスをすることで、運用成果が安定するのよ。
・正太さんは「一定の資産がたまった」という理由から、特定口座の投信積立をストップしたようね。このように、これまで行ってきた積み立ての一部をストップする場合、税制優遇のあるつみたてNISAを残して、特定口座を解約するのがおすすめよ。
ついに★★★★★登場か……!? これからは出口戦略を考えて!!
花山院「これまで何千人、いや何万人もの人から相談を受けてきたけれど、正太さん、あなたはその中でも突出して優秀だわ。すごく勉強家だし、資産運用のセオリーをしっかりと理解している。
だから、はっきりと言うわね。あなたの”資産運用できてる度”は星5つ中……★★★★☆よ!!」
正太さん「正直、もっと厳しいジャッジをされるのかと……」
花山院「そこまで厳しくないわよ。でもね、人生の先輩として言いたいことがあるの」
正太さん「なんでしょうか?」
花山院「人生って、何が起こるかわからないからこそ、楽しいものよ。今、正太さんは一人暮らしだけれど、もしかしたら今後、将来の伴侶が見つかるかもしれない。だから、未来をポジティブに捉えて、もっと人生を楽しんでほしいの」
正太さん「私、人生を楽しんでいないように見えますか?」
花山院「そんなことないけれど、ストイックな一面もあるように思うわ。あなたはもう十分に頑張ってきた。
30代でしっかりとお金を貯めて、資産運用も私が言うことがないくらいできているわ。だからこれからは、
人生を豊かにするためにも資産を有効に使ってほしいの。そんなあなたへの未来の希望も込めて星は
4つにしておくわ」
正太さん「確かに私は慎重な性格ですし、少々、ストイックなところがあるかもしれません」
花山院「それは正太さんの良いところだし、あえて変える必要はないわ。でも考えてみて。なぜ資産運用を行っているのかを――」
正太さん「はっ……、そうですね。先生の言葉を聞いて、気持ちが楽になったような気がします。これまで運用してきた資産は、私自身の人生を充実させるためにあるのですよね。先生、気づかせてくれてありがとうございました」
▼みんなが資産運用を始めたきっかけや投資へのモチベーションは?
積立投資のモチベーションは「将来への危機感」!? コツコツ投資を続けて、夢は金融資産5,000万円!
辛口FPからのアドバイス:なぜ資産運用をするのか。今一度心に問いかけるのよ!
人生って不思議なものね。かつて銀行の残高がマイナス続きだった正太さんが日々の生活を改め、4,500万円もの資産を築いてきたなんて。しかも彼は自分自身で調べ、学び、自分の判断で資産運用を続けてきた。それは、長い人生のなかで、正太さん自身が確立した「資産運用のスタイル」なのね。
けれど、注意してほしいの。資産運用に集中するあまり、「貯めること」だけが目的になってしまう危険性があることを。
正太さんの場合、今後は増やしてきた資産を使っていくフェーズに移行することになる。だからどうか使うことを恐れないでほしいわ。
なぜ資産運用をするのか。それは、他の誰でもない、自分自身の人生をより豊かにするためにあるのよ。
▼みんながはじめて買った投資商品は?
投資デビューは、どの商品や制度だった?
※2023年3月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
高山 一恵(たかやま かずえ)
ファイナンシャルプランナー(CFP)、一級FP技能士。株式会社Money&You取締役。
全国での講演活動、執筆、マネー相談を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。女性向けWEBメディア『FP Cafe®』や『Mocha』も運営。また、『Money&You TV』や「マネラジ。」「Voicy」などでも情報を発信している。 主な書籍には、「はじめてのNISA &iDeCo」(成美堂出版)「1日1分読むだけで身につく お金大全100」(自由国民社)」「はじめのお金の基本」(成美堂出版)「マンガと図解 はじめてのFIRE」(宝島社)などがある。
Money&You:
https://moneyandyou.jp/