
お宅の冷蔵庫
2020.10.28
「冷蔵庫には家計のヒミツがある」という仮説のもと、ファイナンシャルプランナーの高山一恵先生とMoney VIVA編集部が一般のご家庭にお話を伺う「お宅の冷蔵庫、のぞかせてもらえますか?」。
第4回は都心まで電車で20分・埼玉県内のマンションにお住まいのYさん夫妻に伺いました。ご夫婦ともに家事が得意で、2人で暮らすようになってからは自然と家事や家計を分担するようになったといいます。そんなお二人に、円満家計の秘訣を聞かせていただきました!
<前回の記事はこちら>
第3回:共働きで家事や育児を二人で協力! 東京23区内に5,500万円の戸建てを購入したNさん一家
ここがポイント!
✓夫が独身時代にマンションを購入。ローンは月々13万円
✓メモを残して調味料などの在庫を見える化
✓iDeCoやつみたてNISAで資産形成
✓キャッシュレス生活で明細を家計簿代わりに
✓家計も家事も、お互いが思いやりながら不公平感のない分担を
――お二人がマイホームを購入されたのはいつ頃ですか。
彩夏さん「実は、今暮らしているマンションは夫が独身時代に購入したものなんです」
大地さん「8年前、実家に帰省する電車内で偶然、マンション広告を見たことが、そもそものきっかけです。当時、不動産関係の仕事をしていたこともあり、マンションを開発した会社のことをよく知っていたんですね。信頼できる会社だし、『家を買うなら、この会社がいいな』と思っていたこともあって、すぐに見学。角部屋で広々とした間取りだし、実家にも近い。良いことづくしなので、迷わず購入を決めました」
――では、独身時代から現在のマンションに住まわれているのですね。
大地さん「当初はこのマンションで暮らしていたのですが、妻と付き合い始めたころ、家賃14万円で賃貸に出しました」
彩夏さん「その頃、私は飲食店に勤めていて帰りが深夜になってしまうため、埼玉にあるこのマンションに住むのは現実的でなかったんです。それが現在の会社に転職して、早く帰宅できるようになりました。猫を飼い始めたこともあって、2年前にこのマンションで暮らすようになりました」
――白を基調としたインテリアがステキですね。現在のマンションで生活するにあたって、こだわった部分はありますか?
大地さん「実は購入した物件がモデルルームだったので、不動産会社に交渉して備え付けの家具を譲ってもらったんです」
彩夏さん「私は住まいに関するこだわりがほとんどないんです。唯一、こだわった部分といえば、夫の専用のDJルームを作ったことでしょうか。夫はDJが趣味で、イベントなどでたまにプレイしているんです」
大地さん「このマンションに戻ってきて一番うれしかったのが、DJルームができたことですね(笑)」
――これはすごい……本格的ですね!
大地さん「DJテーブルは友人の手作りなんです。しっかりとした作りで、気に入っています」
――では、冷蔵庫の中身を見せていただけますか。野菜室が真ん中にありますね。
彩夏さん「野菜づくりが趣味の義父が、月に2~3回野菜を送ってくれるんです」
大地さん「それで、野菜室が真ん中にある冷蔵庫を購入しました。届いた野菜は、パッと見てわかるよう、透明のビニール袋に入れて野菜室に保管しています」
――冷蔵庫の脇に貼ってあるメモは?
彩夏さん「使い切った食材があったらメモをして、買い物の前にチェックしています」
大地さん「2人とも料理をするので、メモを残すことで“在庫の見える化”をしているんです」
――自炊が多いのですか?
彩夏さん「ほぼ自炊で、お惣菜もほとんど買いません。外食は月に1度程度です。平日は帰宅時間の早い私が料理を担当し、週末は夫が料理を担当しています」
大地さん「僕は健康志向なので、多少、値が張っても保存料などが入っていない食材を買うようにしています」
彩夏さん「私はもともとB級グルメが好きで、夫と付き合うまで食材へのこだわりがほとんどなかったんです。でも、夫に合わせているうちに意識が変わりました。チューブ入りのすりおろししょうがをやめて、しょうがを皮ごとすって使ったら本当においしくて……。風邪をひくこともほとんどなくなり、健康への効果を実感しています」
−−月々の食費についても教えていただけますか?
彩夏さん「義父が野菜やお米を送ってくれるので、家計がかなり助かっています。月々の食費は3万円くらいですね」
高山先生「共働き家庭(二人暮らし)の食費(自炊分)の平均は5~6万円程度なので、平均よりもかなり低く抑えられていますね。旦那様のご実家から野菜が送られてくることに加えて、冷蔵庫に貼ってあるメモの効果も大きいのかもしれませんね」
彩夏さん「確かに、メモを残すようになってから、食材を捨てることがなくなりました」
――家計は一つにまとめているのですか?
大地さん「住宅ローンや通信費、水道・光熱費などの固定費を僕が分担し、食費や日用品などの変動費を妻が払っています。僕が年収600万円、妻が400万円くらいなので、なんとなく僕のほうが多めに負担しています。支払いを共有しているのは、猫にかかる費用ぐらいですね。レジャー費や美容費、保険費などはそれぞれが支払っています」
彩夏さん「2人ともお金に細かくないせいか、この方法で不満なくやっています。例えば、私は寒がりで床暖房をよく使いますが、夫から『使いすぎ』と言われたことは一度もないんですよ」
大地さん「健康志向の僕が高い食材を買っても、妻は文句を言わないですよ」
高山先生「お二人の仲の良さが、家計のやりくりにもあらわれていますね。家計を一つにまとめて細かく管理する方法もありますが、メスを入れるのが有効な家庭とそうでない家庭があって、Yさんご夫婦は今の方法が合っているのだと思いますよ。ただ1点、削減できるとしたら通信費かもしれません」
彩夏さん「そうですよね……格安スマホへの乗り換えを検討中なんですが、サービスの質や通信速度が気になってます」
高山先生「最近は通信速度の速い格安スマホもありますし、特にスマホの操作に不安のない若い方でしたらおすすめですよ。『2年縛り』の違約金もかなり安くなり、乗り換えしやすくなっているので、検討されるといいと思います」
−−家計管理で工夫されていることはありますか?
彩夏さん「以前は家計簿アプリで出費を管理していましたが、支払いを電子決済にしてから使わなくなりました。支払明細を見れば出費が一目瞭然なので、それを家計簿代わりにしています」
大地さん「僕も妻と同じです。家計簿アプリを使っていましたが、クレジットカード払いにしてから使わなくなりました」
高山先生「電子決済でもクレジットカード払いでも支出の明細が把握できるので、家計簿代わりに利用するのは良いですよね。家計簿アプリでも、電子決済でもクレジットカードでも、支出を見える化できるところがメリットです。某家計簿アプリを提供している会社の調査によると、家計簿アプリを利用して支出を記録したことによって、月々の出費が平均で約1.1万円削減できたとのこと。支出を“見える化”することで、支出を抑制する効果があるようです」
大地さん「確かに、家計簿アプリを使うことで、月々の出費を把握できるようになりました。家計簿アプリを使わなくなったのは、1年ぐらい使って各費目の平均が見えてきたというのも理由の一つです」
高山先生「今後、ライフイベントなどで生活のスタイルが大きく変化したら、また家計簿アプリを使って家計全体の支出を把握してみるとよいかもしれませんね」
大地さん「新型コロナの影響も大きいですね。遊びに行く機会が減り、レジャー費がほとんどかからなくなりました。ただ、家で過ごすことが多いので、妻が負担する変動費がかさんでいるのが気になっています」
彩夏さん「でも、私も飲みに行かなくなってレジャー費が減ったし、以前よりも仕事が忙しくなってお給料がアップしました。収支的にはプラスになっていますね」
−−資産形成についてはいかがですか。
彩夏さん「毎月、私が2万円、夫が3万円出して、2人の共通預金としています。このほか、私は月々の出費を除いて、余った額を預金しています。夫の前職は保険会社だったので、ファイナンシャルプランナー2級の資格を持っていて、投資に詳しいんです。資産形成に関しては、私は夫に任せることが多いですね」
大地さん「僕は共通預金以外に、iDeCoとつみたてNISAをしています。このほか、2人とも貯蓄型の生命保険に入っています。これからはiDeCoやつみたてNISAの額をもう少し増やしたいと思っています」
高山先生「Yさん一家は、旦那様が不動産や投資への知見があり、早い段階でマンション購入や資産形成を始めていらっしゃいます。家計を見ても特に無駄遣いと感じる出費がありませんし、非常に堅実な生活を送っていらっしゃると思いますよ」
――今後の目標はありますか?
大地さん「僕は、家族や人にやさしい人間でありたいと思っていて、そのためには自分自身が健康であることが何よりも大切だと思うんです。だからこれまで通り、健康的な生活を継続していきたいと思っています」
彩夏さん「私たちは、家事も家計も『こうあるべき』と互いを縛り付けるようなことをしないんです。だからこそ、家事や家計の負担が夫にかかりすぎてしまうのが心配です。今の状態が理想なので、これをキープしていくことが今後の目標ですね」
大地さん「家事の分担もお互いが得意なことを自然とやっているせいか、不公平だと感じることがないんです。例えば、僕は洗濯が好きなので僕の役割。こうやって、自然と役割分担ができる生活を継続していけたらうれしいですね」
高山先生「すばらしい。お互いを思いやっていらっしゃることがよく伝わってきます」
−−家計のやりくりも、料理や掃除などの家事も、お互いに思いやりながら行っているというYさんご夫婦。資産形成に関しても、共通の預金以外それぞれの裁量で行っている点に特徴があるように思いました。
高山先生「全てを見える化するわけではなく、貯蓄も支出もお互いの裁量で自由にというスタイルが、Yさんご夫婦ならではの部分なのかもしれません。これは、お互いの信頼関係があってこそですね。無駄遣いもないですし、貯蓄も十分できているので、現在の方法を続けるのがベストでしょう」
−−資産形成に関しては、彩夏さんの貯蓄が預金のみなのが気になります。
高山先生「確かに、彩夏さんもiDeCoやつみたてNISAにぜひ挑戦してほしいですね。2人とも、共通の預金以外にそれぞれ個人で預金されているとのことなので、まだまだ資産形成の余力があると思いますよ。ちなみに、共働きであれば貯蓄は手取りの2割が目安です」
−−お互いを尊重しあっているお二人ですから、今後、ライフスタイルに変化があっても協力して生活をされていくことでしょう。ご夫婦の仲のよさやお人柄が、家計管理や資産形成を成功させている大きなポイントとなっているのかもしれませんね。
※ 2020年10月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
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