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現役時代から備えたい 定年後のリア充診断

2019.9.25

#13 定年後、詐欺にひっかかりやすいのはどんな人?

ATMの前で詐欺の電話か疑うシニア

「人生100年時代」が到来すると言われる今、定年後に充実した時間を過ごすには、豊かな生活を送るためのお金、そして家族や社会と上手に向き合うための心がけが必要です。ファイナンシャルプランナー井戸美枝さんによる定年後のリア充診断、第13回目のテーマは「詐欺にひっかからないための対策」について。現役時代から心がけておきたいヒントとともにご紹介します。

あなたの
「詐欺に遭うリスク」をチェック!

「自分は大丈夫!」と思っている人ほど要注意

私は“詐欺師”に遭遇したことがあります。幸い被害はなかったのですが、判明したときには「まさかあの人が!」と驚きました。

詐欺の手口はどんどん多様化しています。
新手のオレオレ詐欺や、還付金詐欺、新元号詐欺、お悔やみ詐欺など、手口も巧妙になっているため、過去の詐欺事例の知識があるから安心というわけにはいきません。
お金に関する仕事に就いている私でも、“詐欺師”を見抜くことはできませんでした。

しかし、詐欺が怖いからといって、すべてを疑うことはできません。日々の生活の中で詐欺にどう対応するのかというのは、難しい課題です。

近年、特に被害額が大きく問題になっているのが「特殊詐欺」です。不特定多数の人に対して、電話などで預貯金口座への振り込みを促して現金を奪い取る手口の詐欺で、高齢者の被害率が高いという特徴があります。

高齢者は、若年層に比べて金融資産を多く持っています。さらには単身世帯が多く、認知機能も低下しがちなため、このような詐欺のターゲットになりやすいのです。
警察庁の資料※1によると、「特殊詐欺」全体に占める高齢者(65歳以上)の被害認知件数は、78.1%でした。
中でも被害率の高さが際立っているのが、オレオレ詐欺(96.9%)、金融商品等取引名目詐欺(87.0%)、還付金詐欺(84.6%)の3つの手口だそうです。

ある新聞報道によれば、「金融知識に自信がある」と自己評価している高齢者ほど、金融詐欺の被害率が約1.5~2倍高くなっているそうです。
金融知識に自信があると自己評価している人のなかには、実際にはそれほど知識がない人もいると考えられます。
また、投資などの運用経験がある人ほど、お金を動かすことの抵抗感が低くなっているため、被害に遭いやすいのかもしれません。

知識があるから「自分は大丈夫!」と思っている人ほど、要注意なのです。

※1 警察庁「平成30年における特殊詐欺認知・検挙状況等について(確定値版) 」より

詐欺にひっかからないために、できることは?

詐欺にひっかからないためには、個人情報を不用意に知られないように気をつけることが大前提です。

しかし、暮らしの中で個人情報を記入・登録する機会は多くあります。取り扱いに細心の注意を払っていても、漏えいしてしまう可能性が潜んでいることを認識し、備えておくべきでしょう。

今、どのような詐欺の手口があるのかを知ることはもちろん大切ですが、相手はこちらが備えていることに対して、その上をいく手口を仕掛けてくることもあります。

「これだけ対策しておけば大丈夫」と言えないのが、詐欺の現状です。

日頃から、特にお金にかかわることには慎重に行動するように心がけておき、相手の身元を確認することが大事です。

例えば電話での詐欺の場合、少しでも怪しいと思ったら電話を切りましょう。その後必要な場合は、自分から相手先にかけ直せば良いのです。

また、家族や親族とは、本人確認の合言葉などを事前に決めておくことで、詐欺に遭うリスクを減らすことができます。

身に覚えがない請求書などが届いた場合は、その発信元が本当に正しいものか確認し、不用意に相手に連絡しないことが大切です。架空請求か判断がつかない場合は、最寄りの消費者相談センターに相談しましょう。

何か不安や不審なことがあれば、気軽に相談できる環境をつくっておくことも大切です。

お金のことは他人には相談しにくいものなので、まずは配偶者など、家族に相談してみましょう。

もし、ひとり暮らしなどで、気軽に相談できる相手がいない場合は、定期的に子や近親者との面会や、連絡を取り合う頻度を高め、いつでも話ができる状況をつくりましょう。

また、金融機関の振り込みや引き出しの1日の限度額を設定しておくことも対策の1つ。大金をだまし取られるリスクを下げることにつながります。

警視庁のWebサイト「家族の絆でSTOP!オレオレ詐欺」では、詐欺の種類や手口の一例とともに、具体的な対策や相談専用ダイヤル(消費者ホットライン:188、警察相談専用窓口:#9110)が紹介されています。チェックしてみてください。

定年後のリア充のすすめ

定年を機に個人情報管理の見直しを

定年したある方に話を伺ったところ、30年以上使っている固定電話にかかってくるのは、種々の勧誘や営業ばかりだそうです。

現役時代から使っている番号は、思いのほか各所に知られているかもしれません。

勧誘や営業を避け、詐欺のリスクを低くするために、定年を機に新しい電話番号を用意するというのも、一つの方法ではないでしょうか。

同様に、迷惑メールや不要なサービスメールが届くメールアドレスを、新しくするのはいかがでしょう。本当に連絡を取りたい人にだけ、定年退職のご挨拶を送れば、これからの人間関係を築くきっかけにもなります。

そのほか、利用していない会員サービスの退会手続きを行ったり、ショッピングサイトの登録情報を削除したり、個人情報をこまめに整理することも大切です。

少し面倒ですが、時間に余裕ができる定年後であればできる対策です。

まずは身近なところから、詐欺に遭うリスクを減らしましょう。

※2019年9月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

井戸 美枝(いど みえ)

CFP®、社会保険労務士。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。経済エッセイストとして活動。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、数々の雑誌や新聞の連載記事の執筆をはじめ、講演、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題を紹介。近著に『定年男子 定年女子』共著(日経BP社)、『100歳までお金に苦労しない定年夫婦になる』(集英社)、『届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)など。