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現役時代から備えたい 定年後のリア充診断

2019.10.23

#14 定年後、引きこもりがちになるのはどんな人?

窓際で孤独に読書をするシニア女性

「人生100年時代」が到来すると言われる今、定年後に充実した時間を過ごすには、豊かに暮らすためのお金、そして家族や社会と上手に向き合う心がけが必要です。ファイナンシャルプランナー井戸美枝さんによる定年後のリア充診断、第14回目のテーマは「定年後の引きこもり」について。現役時代から心がけておきたいヒントとともにご紹介します。

あなたの
「定年後の引きこもりがち度」をチェック

引きこもりがちな生活は、健康に悪影響!?

そもそも「引きこもり」とは、「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヵ月以上続けて自宅に閉じこもっている状態」というのが一般的な定義です。

一方、引きこもりによく似た言葉で「閉じこもり」というものがあります。これは、「主に高齢者の生活活動空間が、ほぼ家の中のみと狭小化することで活動性が低下し、その結果、廃用症候群(全身のあらゆる器官・機能に生じる心身機能の低下)を発生させ、さらに心身両面の活動力を失っていく結果、寝たきりに進行する」という考え方です。
病気や怪我、環境の変化、家族の死などをきっかけに発生しやすく、高齢者福祉における課題となっています。
定年後に心配なのは、やるべきこと、やりたいことがなくなることによって、自然と自宅に引きこもりがちの生活になり、結果的に「閉じこもり」の状態になってしまうことです。

まず、定年後はそれまで当たり前にあった仕事(出勤)がなくなることで、生活がガラリと変わるということを自覚しておきましょう。
仕事(出勤)がなくなると、どうしても自宅中心の生活になりがちです。特に用事がないと、家から一歩も出ない日が続くこともあるでしょう。

日用品の調達はネット通販などを利用すれば、買い物に出かける必要もほとんどありません。
テレビやインターネット、スマホなどがあれば、退屈せずに家で1日を過ごせるという人も多いかと思います。

「本人が満足しているなら、それでも良いのでは?」と思われるかもしれません。ただ、引きこもりがちな生活は、健康にも影響を及ぼす可能性があることに注意しましょう。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準・指針」によると、普段から体を動かすことは、メタボリックシンドロームを含めた循環器疾患・糖尿病・がんといった生活習慣病の発症やこれらを原因として死亡に至るリスク、加齢に伴う生活機能低下をきたすリスクを下げると言われています。
特に高齢者が積極的に体を動かすことは、生活機能低下のリスクを下げ、 自立した生活をより長く送ることにつながります。

定年後、健康寿命をのばして、楽しく毎日を過ごすためにも、積極的に家から出て、体を動かす習慣をつけることをおすすめします。

習慣化することが大切

定年を迎えるまでは、平日はほぼ毎日、家を出て仕事に向かうという人がほとんどかと思います。まさに、外出が習慣化されています。

そこで定年後は、「仕事」に代わる、外出するための動機を見つけ、習慣化することが大きなポイントになります。

趣味や、やりたいことがあれば、積極的に同好会などに参加してみましょう。仲間と親睦を深めることで、外出の機会は更に増えるでしょう。
これまで経験がなくても「まずはやってみよう」という意識を持つことも大切です。


一方、これといった趣味がない人、趣味にお金をかけたくない人は、用事を意識的につくり、外出を習慣化しておきたいものです。
たとえば、毎朝散歩に行く(雨天の場合も地下街やショッピングセンターなどを歩く)、買い物はこまめに週3回などに分けて行く、毎週ボランティアに参加するなど、ルーティンワークを決めておきましょう。

他にも、毎月映画館に行く、現役時代の仲間と食事会を開くなど、定期的な用事はいくらでも計画できるのではないでしょうか。

仕事中心の人生を送ってきた人にとっては、これまでとは違った生活を楽しむことで、新たな自分を発見することにつながるかもしれません。

また、自分はまだ働けると判断できるなら、外に出て仕事に就くというのも手です。週に数回のシニア向けシフトのアルバイトや、自治体にシルバー人材センターがあれば、そこで紹介してもらえるシニア向けの仕事もあります。そして、働くことは外出の用事となるだけでなく、当然家計の足しになるという利点もあります。

現役時代から、心が喜ぶような居場所をつくる種まきを!

私の知人に、お気に入りの映画館とレストラン、美術館や博物館を巡る、自分流の散歩コースを、20個ほど持っている人がいます。
ひとりで出向くこともあれば、出かける先に合わせて配偶者や友人を誘って出かけるなど、実に日々を楽しんでいます。

仕方ない気持ちで外出するのと、自分が心からワクワクできる・リラックスできる場所に出向くのとでは、大きな違いがあります。だからこそ、自分の心が喜ぶような居場所を、現役時代のうちからできるだけ多く見つけておくことをおすすめしたいと思います。

現役時代は、仕事第一で、プライベートは二の次という人もいらっしゃるかもしれませんが、少しずつプライベートに関心を向けてみてください。普段、自分から友人に声をかけることは少ないという人も、自分から食事に誘って会う機会を作ってみてはいかがでしょう。

そして、外出を楽しむためには、ある程度のお金が必要です。
老後の資産形成を考える際には、未来の自分にその時間をプレゼントするようなつもりで、現役時代のうちから積み立ててみてはいかがでしょう。
自分の楽しみのための貯蓄というのは、思いのほか満足度が高いものです。ぜひ、トライしてみてください。

※ 2019年10月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

井戸 美枝(いど みえ)

CFP®、社会保険労務士。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。経済エッセイストとして活動。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、数々の雑誌や新聞の連載記事の執筆をはじめ、講演、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題を紹介。近著に『定年男子 定年女子』共著(日経BP社)、『100歳までお金に苦労しない定年夫婦になる』(集英社)、『届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)など。