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2020.5.27

#8 子どもの教育費は「必要経費」だと信じていたら……!?/45歳女性・主婦

子どもの教育費は「必要経費」だと信じていたら……!?/45歳女性・主婦
イラストレーション:カワグチマサミ

ファイナンシャルプランナーのもとには、日々さまざまなお金にまつわる相談が寄せられます。
この連載では、読者の皆さんに学びのある「しくじり(失敗談)」を、赤裸々にお届け。頼藤太希さんの解説で、お金と上手に付き合うヒントを学びます。

8回目の相談者は、会社員の夫、小学3年生の娘、幼稚園に通う息子と4人で暮らす主婦の鈴木さん(仮名・45歳)。子どもの教育については、成長のための「必要経費」だと信じ、惜しみなく使っていった結果、教育費は月額15万円以上に。気がつけば、貯蓄もままならない状態になってしまったというお話です。

相談者:鈴木さちえさん(仮名)

家族構成:夫(会社員)44歳、長女9歳、長男5歳
職業:専業主婦
年齢:45歳
世帯年収:1,000万円

経済的に余裕があるからこその油断が……

鈴木さちえさんは、2人の子どもを育てる専業主婦。夫の収入が高く、さらに鈴木さん自身がお子さんの教育に力を入れたい意向があり、専業主婦になったそうです。

鈴木さんの夫は、大手メーカーに勤務。役職にもついて、年収は1,000万円です。ボーナスを含めた手取り額を月額に換算すると60万円あまり。鈴木さんも結婚前はバリバリ働いていたので、貯蓄もそれなりにありました。経済的な余裕があり、さらに子どもの教育費は成長のための「必要経費」と思っていた鈴木さん。習いごとや塾などに惜しみなくお金をかけているという状態でした。

例えば、幼稚園に通う息子には、学習塾、ピアノ、体操教室、ダンス教室など。小学3年生の娘には私立中学の受験を考え、週に2回の学習塾に加え、家庭教師、英会話、プログラミングなどを習わせているようです。

その結果、子ども2人の毎月の教育費は合計15万円以上に。さらに、日常の出費でもワンランク上の買い物をしがちなことも家計を圧迫していたようでした。収入や貯蓄があるゆえに「何とかなるだろう」と出費を重ねていたところ、気がついたら貯蓄がまったく増えない状態になり、今後の子どもの教育費プランを含めた家計相談に訪れたのでした。

子ども一人ひとりに対して、中長期的なマネープランを!

親であれば、子どもによりよい教育を受けさせたいと思うものです。ただし、子どもの教育費にお金を使いすぎてしまうと、将来、自分たちの老後資金や親の介護資金などが準備できず、家計が立ち行かなくなる可能性が高いのです。
教育費は「家計のブラックホール」と言われていますが、これはブラックホールのように際限なくお金をかけすぎてしまうという意味。実に上手い表現だと思います。

鈴木さんにも、「教育費は、子ども一人ひとりに対して、中長期的なマネープランを立てることが大切」ということをアドバイスしました。

ひと口に教育費といっても、進学先によってかかるお金はかなり違います。文部科学省「子どもの学習費調査(平成28年度)」と日本学生支援機構「学生生活調査(平成28年度)」によれば、幼稚園から大学まで、すべて公立の場合には、子ども1人につき約800万円、すべて私立の場合には約2,300万円かかるようです。

公立に通わせるにせよ、私立に通わせるにせよ、子どもが小さいうちから教育費の支払いの見通しを立てておくことが大切です。基本的に高校卒業までの教育費は家計から捻出するのが望ましいでしょう。捻出できない場合には、習いごとや塾の見直しを行い、家計負担を減らす必要があります。

鈴木さんにも、中学受験の先にある大学受験・進学まで見すえた教育費の計画を立てることをアドバイス。習いごとは、子どもにとって貴重な体験にはなりますが、お金も時間も「選択」と「集中」を意識することが大切ではないでしょうか。

また、今後は、住宅ローンの返済、親の介護、さらには、夫婦2人の老後資金まで、あらゆるお金の問題が待ち受けています。鈴木さんには、習いごとの見直しとともに、今後必要になるそれぞれの資金について、バランスよく準備していくように伝えました。

学資保険やつみたてNISAなど、教育資金は計画的に準備!

先述したように、子どもが高校を卒業するまでの教育費は、基本的に貯蓄を取り崩さず家計からやりくりするのが家計管理のポイントです。しかし、教育費のピークである大学費用は、家計からの捻出だけでは難しいでしょう。子どもが18歳になるまでに、1人あたり最低300万円は貯蓄したいところ。理系に進学することを考えると、余裕を持って500万円は準備できるのが理想です。

教育費を計画的に貯めるには、貯蓄や資産運用などさまざまな方法があります。教育費が必要な時期に元本が割れてしまっては困るので、確実に貯められる方法で準備することが大切です。今回は、大学進学のための教育費を貯めるコツをご紹介します。

●「児童手当」をコツコツ貯蓄

まず、活用したいのが「児童手当」。子どもが3歳未満の場合は1人あたり月額で15,000円、3歳以上の場合は10,000円(高校生卒業までの養育している子どものうち、3人目以降は15,000円)が支給されます。たとえば、第1子の場合、15歳まで貯めておけば約200万円になる計算です。
なお、子どもを養育している人の所得が、所得制限限度額※以上の場合は月額5,000円に減額される点に留意が必要です。

※所得制限限度額は、前年の扶養家族の人数によって異なり、扶養家族が増えると金額も上がります。たとえば、扶養家族が3人(専業主婦、児童2人など)の場合、所得制限限度額は736万円(収入額960万円)が基準となります。



●財形貯蓄・銀行の自動積立で天引き

自動的に積立できる商品の王道は、財形貯蓄(勤労者財産形成貯蓄制度)や銀行の自動積立定期預金。会社に財形制度があれば、簡単な手続きで給与からお金を天引きして貯めてくれます。税制優遇はありませんが、スタートから1年たてば自由に引き出せるので融通が利きます。

財形制度が会社にない場合は、銀行の自動積立サービスを利用しましょう。毎月決めた金額をコツコツ積み立てていくことにより、着実にお金を貯めることができます。たとえば、子どもの誕生から毎月15,000円を積み立てると、18歳で約300万円が貯まります。



●学資保険で守りながら積み立て

学資保険とは、毎月保険料を支払えば、子どもの入学や進学時期に合わせて「お祝い金」や「満期保険金」が受け取れる保険です。契約者である親が亡くなったときには、以後の保険料の払い込みは免除され、予定通りお金も受け取ることができます。ただし、元本割れを起こす商品も少なくないので注意しましょう。
また、人生の後半は老後資金や介護資金など、多額のお金が必要になる可能性が高いので、教育資金は、10年の短期払いなどを利用して、なるべく前倒しで貯めておくというのも手です。



●つみたてNISAで運用

大学の教育費用を貯める期間が10年以上あるなら、20181月からスタートした積立投資専用の「つみたてNISA」を活用するのも良いでしょう。年間40万円までの投資資金で得られた利益に対し、最長20年間非課税になります。

これまでは、投資可能期間は2037年まででしたが、5年間延長になることが決まり、2042年まで可能に。2020年からスタートすれば、累計非課税投資額は920万円になります。つみたてNISAで買える金融商品は、金融庁が定めた一定の基準を満たした金融商品ですので、初心者にとって活用しやすい制度です。

仮につみたてNISA18年間、毎月1万円ずつ投資信託を購入し、年平均4%の利回りで運用できた場合、元本の216万円は約316万円となり、約100万円増える計算です。

このようなアドバイスをした結果、鈴木さんは、夫の給与から天引きされる財形貯蓄をはじめるとともに、つみたてNISAでも給与口座から先取りして積み立てをスタート。生活費の残ったお金で子どもの教育費をやりくりできるよう、塾や習いごとの取捨選択をすることを決めたそうです。

教育資金の準備を投資商品だけで行ってしまうと、いざ資金が必要になった際に元本割れして、必要な資金を準備できなくなる可能性もあります。今回、鈴木さんが選んだ財形貯蓄のように、元本が確保されているものと投資商品を組み合わせ、バランスよく準備することが大切です。

そして、教育費だけにとらわれずに、住宅ローン返済、老後資金など、ライフプラン全体でかかるお金についても考えておくことも忘れずに。できるだけ早いうちから、計画的に貯めていくことを心がけておきましょう。

※ 2020年5月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

執筆:頼藤 太希

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