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2020.9.2

#10 子どもが大学合格! うれしい門出のはずが、仕送りで四苦八苦……/40代夫婦

子どもが大学合格! うれしい門出のはずが、仕送りで四苦八苦……/40代夫婦
イラストレーション:カワグチマサミ

ファイナンシャルプランナーのもとには、日々さまざまなお金にまつわる相談が寄せられます。
この連載では、読者の皆さんに学びのある「しくじり(失敗談)」を、赤裸々にお届け。頼藤太希さんの解説で、お金と上手に付き合うヒントを学びます。

第10回目の相談者は、斎藤さん夫婦(仮名)。娘さんは、昨春、第一志望の私立大学に合格し、地方から東京に上京して1人暮らしをしています。ところが、当初の予定以上に仕送り額が増え、家計を圧迫。貯蓄が全くできなくなってしまったというお話です。

相談者:斎藤明夫さん(仮名)・真理子さん夫婦(仮名)

家族構成:夫(会社員)/妻(専業主婦)/娘(大学生)
職業:夫・会社員/妻・専業主婦
年齢:夫49歳 妻 48歳
年収:約700万円(夫のみ)

晴れて希望の大学に進学! 学費も準備していたはずなのに……

ご相談者の斎藤さん夫婦は、夫の明夫さん、専業主婦である妻の真理子さん、大学に通う娘の3人家族。娘さんは、長かった受験勉強のトンネルを脱出し、昨春に晴れて第一志望の大学入学を果たしました。

夫の明夫さんは、地方の中小企業に勤務する会社員。特に高年収というわけではありませんが、妻の真理子さんが堅実に家計をやりくりし、毎月コツコツと貯蓄して大学の学費を準備していました。

ただ、誤算だったのが、娘さんが地元の大学ではなく東京の大学に進学したことです。「仕送り代」が必要になり、当初の予算より大幅にアップ。それでも、娘さんが入学後にアルバイトで補うことでなんとかなるという見通しを立て、上京を決断しました。でも実際は上手くいきませんでした。

娘さんは大学に通いはじめると、学業が思いのほか忙しい毎日。バイトをする時間も限られてしまい、仕送りだけが頼りの状態になってしまいました。仕送り代が当初の7万円ではギリギリの生活になり、12万円に増額。この毎月12万円の仕送り代が、斎藤さん世帯の家計を圧迫しました。老後のための貯蓄が全くできない状態になってしまい、相談にきたというわけです。

早めに確認しておきたい! 大学の学費以外にかかる費用

子どもの大学進学の費用というと、入学金や授業料などの学費にばかり目がいきがちですが、実は、それ以外にも大きくかかる費用があります。特に地方から東京の大学に進学するなど、1人暮らしが必要な場合には、生活費や家賃などに充てる「仕送り代」がかかることを忘れてはいけません。

2019年に全国大学生活協同組合連合会が実施した調査によると、下宿する大学生の支出は、全国平均値が12万9,090円。
内訳は、住居費平均5万3,939円、食費平均2万6,390円、教育娯楽費1万2,870円、そのほか勉学費や電話代などが含まれます。家賃や物価が高い東京に進学した場合には、さらにお金がかかるでしょう。

出典:全国大学生活協同組合連合会「第55回学生生活実態調査」


なお、同調査での仕送り金額の調査結果は、全国平均値が7万2,810円。
そのほかの収入として、奨学金の平均が2万900円、アルバイトの平均が3万3,600円となっています。斎藤さん夫婦は、収入のほとんどをまかなう12万円を仕送りしているので、負担がかなり重い状態だとわかります。

また、1人暮らしをはじめる場合は、その初期費用の負担も大きいでしょう。授業によっては、思いのほか高額な指定の書籍を買わなければいけない場合もあります。その他、部活やサークルに入れば、活動費も必要です。

そして、そもそも大学を受験するだけでも、お金がかかることを忘れてはいけません。大学の受験料(私立の場合は、1校あたり3万5,000円程度)、遠方から受験する場合には、交通費や宿泊費、場合によっては、先に合格した大学に念のため支払う入学金など、準備すべきお金は結構あります。

知っておきたい、学費に充てるお金が足りないときに活用できる制度

学費以外にかかる費用を把握してしっかりと準備しておくことが大切ですが、目先の学費や仕送りに充てるお金が足りない場合に活用できる制度などについてもお伝えしたいと思います。

・奨学金制度
大学進学時に使える奨学金制度では、返済の必要のない「給付型」と返済が必要な「貸与型」の制度があります。まずは、卒業後の返済の負担がない「給付型」が利用できるかどうかを検討しましょう。

<給付型>
日本学生支援機構の場合、学力基準、家計基準(収入や資産の上限)を満たした人が対象となります。クリアした場合には、自宅外通学の場合、22,300円〜75,800円が支給されます。

また、企業や創業者の寄付をもとにした給付型の民間奨学金もあります。それぞれ応募条件や支給金額は異なり、家庭の経済状況は問われず大学や学部を指定されているもの、大学などの指定はないものの成績や小論文、経済状況によって選ばれるものなどさまざまです。

なお、大学独自の給付型奨学金を準備しているところもあります。ここ数年、増加しているので、志望する大学に制度があるか確認してみてください。日本学生支援機構のWebサイトで検索できます。

<貸与型>
貸与型は、日本学生支援機構の場合、第1種奨学金(無利息)、第2種奨学金(利息付)があります。

第1種は、利息がかからず元金だけの返済で済む点が特徴です。学力基準と家計基準(収入や資産の上限)があり、自宅外通学の場合、最大月額6万4,000円※まで貸与されます。

※平成30年度以降入学者が対象


給付型同様に、無利息の貸与型の民間奨学金もあります。条件は団体によって異なり、よく知られる「あしなが育英会」のように親を亡くした子どもを支援するものから、家庭の経済状況は問われず大学や学部指定があるものまでさまざまです。

第2種は、利率年3%を上限に貸与され、在学中は無利息。学力基準、親の家計基準も比較的緩めです。貸与月額は大学の場合、2万円から12万円まで1万円刻みで選択可能となっています。

・授業料免除制度
大学によっては、授業料免除制度を導入している場合もあるので確認しましょう。国立大学の場合は、家計基準に基づき選定され、収入が高すぎると受けられない傾向に。私立大学の場合は、入試成績の良好な学生に授業料免除を行っている大学もあります。
給付型奨学金のある大学に加えて、授業料免除制度がある大学を志望校に入れておくのも手です。

・地方自治体の奨学金返還支援制度
2014年12月に閣議決定された地方創生の推進事業により、地方公共団体と地元産業界が協力し、地元企業に就職した人が抱える奨学金の返還を支援する基金が相次いで作られています。
2020年7月現在、27都道府県が実施。都道府県によりばらつきがありますが、しっかりと情報収集しておきたいところです。

教育ローン
貸与型の奨学金は、基本的に子どもが返済することになります。子どもの負担を減らしたい場合は、親自身が返済する教育ローンを活用するのも手。比較的低金利とされる公的な「教育一般貸付(国の教育ローン)」(日本政策金融公庫)や各銀行のローンがあります。情報を集めて、金利の低いローンを検討しましょう。

ただし、貸与型奨学金の金利と比べると、国の教育ローンの方が高くなっています。利用する場合には、返済計画をしっかりと立てておくことが大切です。

斎藤さんにも同様のアドバイスをしたところ、所得制限が比較的ゆるやかな民間の給付型や貸与型の奨学金を検討しつつ、専業主婦だった真理子さんがパートで仕事に出ることにしました。仕送りの負担軽減だけでなく、斎藤さん夫婦の老後資金を貯めるにも必要だと考えて決めたそうです。

これから教育資金を準備するという方は、学費以外にもお金がかかる場合があることを想定して、お金を準備できるようなマネープランを考えておきましょう。

入学までに時間がある場合は、大学に備えたお金を積み立てながら、万が一の保障もついている「学資保険」や、積立投資の運用で得る利益が非課税になる「つみたてNISA」などの制度も検討してみてはいかがでしょうか。

そして、老後のお金を貯めるならば「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」を活用したいところです。お金を貯めるための制度を上手に利用しながら、計画的に備えておければ安心でしょう。

※2020年9月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

執筆:頼藤 太希

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