お金のしくじり失敗談

2021.8.11

教育資金の一部を株式投資! コロナ・ショックの後の株価上昇に乗って増やすつもりが……!?/43歳女性・パート

教育資金の一部を株式投資! コロナ・ショックの後の株価上昇に乗って増やすつもりが……!?/43歳女性・パート
イラストレーション:カワグチマサミ
ファイナンシャルプランナーのもとには、日々さまざまなお金にまつわる相談が寄せられます。
この連載では、読者の皆さんに学びのある「しくじり(失敗談)」を、赤裸々にお届け。野原亮さんの解説で、お金と上手に付き合うヒントを学びます。

第16回目の相談者は、13歳と11歳のお子さんがいらっしゃる吉永さん(仮名・43歳)。長女が中学生になり、この先かかる大学の教育費をどう備えるか関心が高まっていたそうです。そこで、ママ友の影響を受けて株式投資をスタート。ところが買った株式が下がり調子で落胆したというお話です。

相談者:吉永雅子さん(仮名)

家族構成:夫(会社員)45歳、長女13歳、長男11歳
職業:パート勤務
年齢:43歳
世帯年収:約620万円(夫のボーナス・妻のパート代込み)

長女の大学入学まであと5年、貯めたお金の一部で株式投資をした結果……?

吉永さんが株式投資を始めたのは、コロナ・ショックで株価が大きく下がった後に、株価が上昇していた時期でした。投資の経験はありませんでしたが、資産運用に積極的なママ友の影響で、株式投資をしてみようと思い切って資産運用デビューをしたそうです。

2人の子どもには大学に進学してほしいと考えているため、子どもが小さいころからコツコツと貯蓄していました。そのお金の一部を株式投資で増やそうと考えました。

ところが「株価が上昇している」というニュースを見て期待していたにも関わらず、吉永さんが買った株式はどれも下がり調子で、痛いデビューに。どうしたら良いか分からなくなり、相談に来られました。

使うタイミングが決まっている教育費は、安全性・流動性・収益性の見極めが大事!

子どもの教育費の目安として、大学入学にかかる費用※1は約90万円、1年間の在学費用※2は以下のようになっています。

大学でかかる1年間の在学費用
国公立 私立 文系 私立 理系
約120万円 約150万円 約190万円

出典:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」(令和2年10月発表)
※1 受験費用・学校納付金・入学しなかった学校への納付金の合計額。
※2 学校教育費(授業料、通学費、教科書代など)と家庭教育費(塾やおけいこごとの費用など)の合計額。


大きな金額が必要となる大学の教育資金をどのようにつくっていくかは、子どもの大学進学を望むご家庭共通の課題です。

吉永さんは、長女が高校を卒業するまでに、2人のお子さんの教育資金として合計600万円を貯めることを目標に、児童手当や子どものお祝い金などをコツコツと貯蓄していました。500万円程度が貯まったところで、その一部である約200万円を株式投資で運用して一気に増やそうとしたそうです。

ここで株式投資を選んだことが、吉永さんのしくじりだったと言えます。近い将来に使い道が決まっているお金を株式投資にまわすことは好ましくありません。100株単位での購入が一般的な株式投資では、1銘柄の購入に数万〜数十万円が必要になり、資産全体のなかで占める割合が大きくなってしまいます。

教育資金のために資産運用をする場合は、以下の3つのポイントを見極めるようにすると良いでしょう。

●安全性:リスクの高低はどうか
そのお金を使うまであと数年という短期間の場合、資産を守るという視点が大切です。株式投資は、1銘柄の値動きの影響をダイレクトに受けてしまうので、ハイリスクだと言えます
教育資金のように使う目的、タイミングが決まっているお金を投資する場合は、どの程度のリスク(値動きの幅)があるかを検討し、安全性の高低を見極めてください。

●流動性:必要なタイミングで引き出せるか
教育費を払うべきタイミングでお金を引き出せる(現金化できる)かどうかも、見極めておく必要があります。値動きが大きい個別の株式で運用している場合、将来の株価上昇を予測し、さらに売却のタイミングまで想定するのは非常に難しいことです。

●収益性:リターンとリスクのバランスが適切か
リターンの大きいものは、値動きが大きくなりリスクも高くなるという考え方が一般的です。
数年後に使うとわかっている教育費であれば、大きく減らないようにリスクを抑えられ、それに見合ったリターンが期待できる投資先や運用方法を見極めることが大切です。

以上をふまえると、教育資金のために資産運用する場合は、株式投資と比較してリスクが低い投資信託が向いていると言えます。さまざまな資産に分散投資ができ、さらに積立投資をすることで購入のタイミングが分散されるので、価格変動のリスクを抑える効果が期待できます。

また、他の貯蓄と分けて「教育資金」専用の口座を設けると、教育資金の貯蓄額が明確になりおすすめです。

教育費がかさむピークに合わせて、投資信託の運用方針を立てよう

前述のように大学進学にはまとまった資金が必要ですが、その支出のピークは大学受験〜入学1年目、つまり子どもが17〜18歳の時期です。このピークまでに、できるだけ準備しておきたいところです。

投資信託の運用で備える場合は、ピークを迎えるまでどれくらいの準備期間があるかに合わせて運用方針を立てることをおすすめします。

<現在、子どもが0〜7歳(幼稚園・保育園~小学生低学年)の場合>
●「つみたてNISA」で、長期分散投資をはじめよう
たとえば、児童手当分の月1万円で、税制優遇のある「つみたてNISA」の非課税枠を活用して長期の積立投資をはじめてみてはいかがでしょう。教育費の支出のピークまで時間があるので、時間を味方につけることでリスクを分散し、さらに複利の効果を利用しながら教育資金を準備できます。

<現在、子どもが8〜14歳(小学校高学年~中学生)の場合>
●リスクのバランスを取りながら運用を
大学入学までの時間を味方に、バランス良くリスクをとるようにしましょう。
たとえば、つみたてNISAを活用して資産運用をする場合、債券と株式を50%ずつ組み合わせたバランス型の投資信託を選び、資産の価値が大きく変動しないようにすることがポイントです。必要な時期が近づき、時間とともに投資信託が値上がりしているようであれば、少しずつタイミングを分けて売却して、徐々に預金の割合を増やしていきましょう。

<現在、子どもが15歳以上(高校生)の場合>
●半分は預金、半分は低リスクの商品で安定運用を
大学進学にかかるお金が明確になり、ほぼ準備できているのであれば、半分は預金、もう半分は為替変動によるリスクを軽減させた先進国債券の投資信託や日本国債などで積立投資をするという方法が向いています。

教育資金は、住宅資金、老後資金と合わせて人生の三大支出と言われています。必要な金額とともに、必要になるまであと何年あるかという時間軸を意識して、無理のない資金計画を立てることが大切です。

できれば子どもが小さいうちから目標の金額を設定して、一部は投資信託での資産運用を取り入れ、できるだけ長い期間をかけてコツコツと積み立てられると良いでしょう。

※2021年8月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

野原 亮(のはら りょう)

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