3つのキーワードで考える、これからのマネーとの付き合い方3つのキーワードで考える、これからのマネーとの付き合い方

2018.8.29
スペシャル対談 松井咲子タレント 岸博幸 経済評論家

【後編】松井咲子×岸博幸 「人生100年時代に必要な“資産運用のポイント”とは?」

2018年7月27日に開催された、三井住友銀行汐留出張所「SMBC+ Money VIVA@汐留」でのトークセミナーの後編をお届けします。ゲストは、元AKB48でタレント・ピアニストとして活躍する松井咲子さんと、経済評論家で慶應義塾大学大学院教授の岸博幸さん前編では、「キャッシュレス」「働き方改革」という2つのキーワードについて取り上げました。後編では、「人生100年時代」というキーワードを軸に「これからのマネーとの付き合い方」を考えていきます。

「人生100年時代」

長寿はうれしいけど、お金の対策はゼッタイ必要

ここからは、3つ目のキーワード「人生100年時代」について考えたいと思います。松井さんは、この言葉を聞いたことありますか?

松井:はい。でも、あまりくわしい意味は……(笑)。

:アメリカの先生が提唱したものですが、簡単にいうと、今の日本の子ども世代では寿命が100歳ほどになるという予測です。だから「人生100年時代」。ただ私は、その予測はちょっと過剰だと思うんです。人口統計などを見ると、寿命が100歳になるのはまだ先でしょう。ただ、少なくとも90歳まで伸びる「人生90年時代」はすぐに来ると思います。

松井:いずれにしても、今より長生きになるということですよね?

:はい。長生きはうれしいことなのですが、実はとても難しい問題なんです。前に話したように、日本は財政赤字がどんどん増えている。そのため、国民年金をはじめとした社会保障の水準をどこかで下げないと制度の持続は難しい。その一方で、みんな長生きになる。つまり、これまでにも増して老後のお金について自分で考える必要が出てきているのです。

松井:ですよね…。私も、なんとなく老後をイメージしたときに「いつか結婚して、子どもができて、さらに孫ができて。そのときは孫におもちゃを買ってあげたり、旅行に行ったりしたいな」と幸せなイメージでいました。でも、そのためには、お金が必要ですよね。

:だからこそ、今から何をすべきかが大切です。まず、今後は多くの人が長く働く時代になるでしょう。きっと定年は70歳や75歳など今より上がるはず。と同時に、キャリアが長くなると1つの企業がずっとその人の面倒を見るのは大変になります。2社目、3社目を考えたプラン、すなわちキャリアプランを考えることも必要になるでしょう。

松井:キャリアプランですね。覚えておきます!

:加えて、仕事を辞めてからのお金をどうするか。それも考えないといけません。人生が長くなるわけですから、その分の資金を準備することが必要です。これはなかなか大変ですが、早めに対応すれば不安は少なくなるはずですよ。

松井:どうすればいいんですか?

:支出を減らすなど選択肢はたくさんありますが、個人的には資産運用ですかね。現預金だけ持っていてもインフレのリスクに対応できません。現預金とその他を組み合わせて、資産運用をしっかりやって、将来の安心を高める。自分のお金は自分で守る。これをなるべく早いうちから始めないと、将来の不安は減っていかないと思います。

これからのマネーとの付き合い方

資産運用はリスクを下げることが重要。資産運用の基本を守るべき

松井:資産運用…。話には聞くのですが、やったことないんですよね。何から始めていいかわからないし、敷居の高そうなイメージで。

:松井さんがやらないのは、芸能人で収入が多いからじゃないですか?(笑)。

松井:いやいや! そんな事ないですよー(笑)。

:それは冗談として、敷居が高くて難しそうなイメージがあるのは確かです。だからこそ、早くやることが大事なんですね。松井さんは、今何歳ですか?

松井:27歳です。

:その年代から投資に挑戦して、やりながら金融や経済の知識を身につければ、数年でかなり分かるようになります。そして、長く運用ができます。これはすごく意味があるんです。

松井:でも、まずなにから始めればいいんですか?

:そうですよね。投資をしたことのない人にとって、いきなり自分でどこかの企業の株を買うのはハードルが高いですよね。いろいろ調べないといけませんし。そこで、ひとつオススメなのは「インデックスファンド」です。

松井:インデックスファンド?

:インデックスファンドは、日経平均株価などの指数と連動しているもので、例えば日経平均が上がれば一緒に上がるという分かりやすい商品なんです。まずは、そういうものに少額で投資してみる。すると、値上がりや値下がりが気になってくるので、それを通じて投資の知識を身につけていく。最初はこの方法がいいかもしれません。

松井:なるほど! 覚えておきます。

:仕事が忙しい人などは、1社1社の動向や株の情報を頻繁にチェックするのは大変ですから。そういう人にもインデックスファンドは合っているはずです。

松井:確かに、仕事の合間にできるくらいがいいかもしれないです!

:あと、投資を始める人に伝えたいのは、とにかく投資の基本を守ること。一言でいえば、「長期分散投資」をしっかりやるということです。

松井:長期分散投資、ですか?

:はい。よく「年間で何%の儲けを出したい!」と意気込む人がいますね。1日中、投資のことばかり考えられる人は問題ないと思いますが、そうでない人は、とにかくリスクを下げることが大事だと私は考えています。

松井:なるほど。

:その方法の一つが長期投資。短期的なリターンは求めず、じっくり運用する。僕は年間3%くらいのリターンで良いと思っています。これは1980年代の定期預金の金利とほぼ同じ。それでも、20年以上経てば元金の倍になりますから。悪くないですよね。そのくらいのスパンで資産運用をするべきです。

松井:20年! 確かに長期ですね。

:あとは「分散」すること。これもリスクを下げるための方法で、同じ企業や産業ばかりに投資すると、そこの株価が下がった時に大ピンチになりますよね。ですから、投資先となる国や業種はバラけさせて、債券や不動産なども組み合わせる。長期分散投資は、投資の世界では昔から基本とされているものですが、それを徹底すべきだと私は考えています。

松井基本を守る、ということですね。

これからのマネーとの付き合い方

資産運用に関する必要な情報を、信頼できる情報源から得ること

:今は政府も「貯蓄から資産形成へ」と打ち出していて、国民に投資を促しています。裏を返せば「社会保障では面倒を見られなくなるので、今から自分で対策してほしい」ということなんですけどね。そこで、政府が資産運用を支援する制度を用意しているんです。

松井:どんなものですか?

iDeCoNISA、つみたてNISAといった税制優遇の制度です。これはフルに活用すべきです。投資のリスクとリターンは日々変動しますが、税制上のメリットは確実にもらえますから。

松井:わかりました! そのほかに、注意することはありますか?

:個人的に思うのは「資産運用に関する情報をどう得るか」です。というのも、株や金融の世界って、いい加減なことを言う人がすごく多いんですよ(笑)。例を挙げると、2017年の年末にテレビなどで「日経平均は来年3万円まで上がります!」とか、いい加減なことを勢いよく言う評論家や記者がすごく多かったんですね。でも、今の状況を見ると全然そんなことは起きていません。また、本屋に行くと、成功した個人投資家の本が並んでいるけれど、それを鵜呑みにしてはいけません。その人たちは成功しても、後ろで失敗した人がその数倍いるんですから。

松井:なるほど。

:さらに怖いのはネットですよね。投資情報はネットにもあふれていて、私たちは何かとネットで検索することがクセになっている。でも、ネットの情報はテレビ以上にあやふやなものが多いですから。

松井:確かに、私もネットで検索してしまうかも……。

:情報によりけりですが、むやみに信じると痛い目に遭う可能性があります。ですから、特に松井さんのような、まだ投資にくわしくない人が知識を身につけようとするときは、あやふやな情報に耳を貸さず、信頼できる情報源から情報を得るべきです。

松井:わかりました。ちなみに、岸さんは信じてもいいんですよね?(笑)。

:もちろん。いくらでも教えますよ!

松井:ぜひ、お願いします! 今日の岸さんの話を聞いて、これからやるべきことがよく分かりました。人生100年時代に備えて、早く動くことが大切なんですね。私もなるべく早く、資産運用にチャレンジしてみたいと思います!

:そうですね。きちんと準備して、やるべきことをやれば、将来もきっと困らないはずです。今のうちから資産運用の知識を高めていけるといいですね。

松井 咲子(まつい さきこ)

松井 咲子(まつい さきこ)

1990年、埼玉県生まれ。2015年までAKB48として活動。卒業後はテレビ、ラジオ、WEB、イベント等で幅広く活躍中。音大卒を活かし、音楽活動も積極的に展開している。また、ラジオ番組でのMC力には定評がある。

岸 博幸(きし ひろゆき)

岸 博幸(きし ひろゆき)

1962年、東京都生まれ。2001年、第1次小泉純一郎内閣の経済財政政策担当大臣だった竹中平蔵氏の大臣補佐官に就任。現在、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。政治経済についておもしろく誰にでも理解できるような解説が好評である。