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現役のうちに知っておきたい、退職金のすべて。

2020.1.22

#1 退職金、いくらもらえる? 自分で計算して老後の生活を考えよう

小銭を貯めた瓶と時計

定年退職や早期退職を予定している方の中には、退職金をいくらもらえるのか気になっているという方も多いでしょう。

退職金は老後の資金として活用できるため、あらかじめ退職金額を知っておくと今後のライフプランが立てやすくなります。そしてその退職金額は、自分で計算することが可能です。

この記事では、退職金の計算方法や相場について解説しますので、一緒に確認していきましょう。

まずは退職金制度と相場を確認

・退職金制度は2種類!

退職金とは、退職したときに勤務先から受け取れるお金のことです。会社を定年退職した場合に、老後の生活資金として支給されることが多いです。

会社によって退職金制度の仕組みや内容は異なりますが、勤続年数の長さや会社の規模に比例して、退職金額も多くなる傾向にあります。

また、退職金制度は大きく分けて以下の2種類です。

● 退職一時金制度:退職時にまとめて支給される制度
● 退職年金制度:退職後から一定期間もしくは生涯にわたって分割して支給される制度

会社によっては両方の制度を採用しているケースや、外部機関を利用して退職金を用意するケース、退職金制度を利用するかどうかを従業員が選べるケースもあります。

退職金制度や仕組みなどを詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせて確認してください。

【関連記事】退職金、わたしはもらえる? 退職金制度を知り、将来に備えよう



・退職金の相場は約2,000万円

次に退職金の相場を確認していきましょう。
以下の表は、勤続20年以上かつ年齢が45歳以上の方の退職金の平均を、退職の理由や最終学歴別にまとめたものです。
老後の生活費の平均月額
【図①】退職金の相場

出典:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」

大卒で定年まで勤めた方の退職金の相場は約2,000万円です。
早期優遇の場合が最も高く、約2,300万円です。早期優遇とは、定年よりも前に、会社側の条件(退職金の割増支給などの好条件)をのんで退職することです。早期優遇を利用すると退職金額が割り増しされる仕組みになっている会社が多くあります。

逆に、最も退職金の金額が低くなるのは自己都合の場合です。自己都合退職をすると、退職金額を計算するときに使う支給率(勤続年数や退職理由で決まる)が、定年退職や早期優遇よりも低く設定されているからです。

厚生労働省の「就労条件調査」によると、平成15年以降、退職金の平均額は低下している傾向にあります。転職しやすい環境が整い、1つの企業で定年まで勤める方が減ったことが、大きな理由の1つでしょう。

自分の退職金額を計算してみよう

・退職金の計算方法には種類がある!

退職金の計算方法にはいくつか種類があり、会社が採用している制度によって異なります。
自分にどの計算方法が当てはまるのかは、人事・総務に聞く、または退職金規定を確認しましょう。

以下より、主に利用されている4つの計算方法を紹介していきます。


【基本給連動型】
退職時点の基本給や勤続年数、退職理由によって支給する退職金の額を決める方法です。

(計算式)
退職金=退職時の基本給 × 支給率

一般的に、「支給率」は勤続年数と退職理由によって決まります。

(計算事例)
ここで、勤続年数38年の方が定年退職を迎える場合の退職金を計算してみましょう。
退職時の基本給と支給率は以下のように仮定します。

● 退職時点での基本給:40万円
● 勤続年数が35年以上、定年退職の支給率:45.0

退職金の計算結果は以下の通りです。

退職金=40万円 × 45.0 =1,800万円

基本給連動型は、退職金の計算方法の中でも計算しやすいというメリットがあります。一方で、在職中の基本給が高かった場合でも退職時に基本給が下がっていると、退職金の額が少なくなる点に注意が必要です。


【別テーブル方式】
基本給は関係なく、役職や等級に応じて決められた基準額に、勤続年数と退職理由に応じた支給率をかけて計算する方法です。

(計算式)
退職金=基準額 × 支給率

基本給連動型と似た計算方法ですが、給与とは別に定められた「基準額」を用いて退職金額が計算される点が特徴です。

(計算事例)
仮に、以下の条件で勤続年数20年の方が自己都合退職をした場合の退職金額を試算してみましょう。

● 退職時の役職・等級に応じた基準額:11万円
● 勤続年数が20年、自己都合退職での支給率:51.0

退職金=11万円×51.0=561万円

将来の退職金の額を自分で計算しやすいですが、退職時の役職・等級が基準額に反映されるため、働いていた期間を通した会社への貢献度が反映されない点が欠点といえます。


【ポイント制】
従業員が退職するまでに獲得した退職金ポイントに、ポイント単価と支給率をかけて計算する方法です。

(計算式)
退職金=退職金ポイントの累積 × ポイント単価 × 支給率

ポイントは、毎年一定値が付与されるだけでなく、勤続年数が長いほど付与されるポイントが高くなることもあります。また、役職に就いていた場合や会社からの評価が高かった場合、ポイントが加算される仕組みです。

(計算事例)
仮に、以下の条件で勤続年数38年の方が定年退職をした場合の退職金額を試算してみましょう。

● 退職時点でのポイント累積:1,840P
(毎年付与されるポイント:30P × 38年、職能・等級での加算ポイント:700P)
● ポイント単価:1万円
● 定年退職での支給率:1.0

退職金=1,840P × 1万円 × 1.0=1,840万円

出世をした人や会社への貢献度が高い人ほど、多くの退職金を受け取れる計算方法といえます。


【定額制】
勤続年数によって退職金額が決まる方式です。「勤続年数5年までは30万円」「20年までは150万円」のように、勤続年数毎に支給される金額が規定されています。

最も退職金額を計算しやすい方法ですが、会社への貢献度がまったく反映されない点がデメリットです。

・実際に受け取る退職金には税金が発生する

退職金を受け取った場合、給与と同じように所得税と住民税が課税されます。ただし退職金は金額が大きくても税負担が軽くなるような配慮がされており、場合によっては課税されないこともあります。

退職金と年金だけで大丈夫?老後に必要な資金を考えよう

・老後の生活費の目安は夫婦で26万円

受け取れる退職金額がわかったところで、次は老後生活について考えていきましょう。
余裕のある老後生活を送るためには、退職金や国の年金だけに頼るのではなく、自分自身でも老後の生活資金を確保しておくと安心です。

まず、現在の高齢者の収入と支出の平均がそれぞれいくらなのかを確認しましょう。
退職金の相場
【図②】老後の生活費の平均(月額)

出典:総務省「家計調査報告(家計収支編)2018年(平成30年)II 総世帯及び単身世帯の家計収支」
※夫婦とは夫65歳以上妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯
※単身とは60歳以上の単身無職世帯

公的な年金などによる収入だけでは、夫婦世帯、単身世帯ともに月4万円前後の赤字となっています。単純な計算ですが年間で48万円、25年で1,200万円、30年で1,440万円の赤字です。さらに上記の収支統計には含まれていない以下の費用も考慮すると、年金では賄えない老後の必要資金は2,000〜3,000万円ほどになる可能性もあります。

● 住宅ローンの一括返済や家のリフォーム費用
● 医療費や介護費の自己負担分
● 子供や孫への援助費用
● 60歳〜65歳までの生活費(定年が60歳の会社に勤めている場合)

仮に老後の必要資金が3,000万円で、退職金が1,800万円の場合、差額の1,200万円を自分で準備する必要があります。

さらに、これから少子高齢化が進んでいくと、公的年金の受給額が低下する可能性や、受給開始年齢が引き上げられる可能性も考えられます。転職をすることで、退職金額が想定よりも低くなる場合もあります。

このような理由から、退職金や年金だけに頼らず自分自身でも老後の生活資金を準備することをおすすめします。

・自分に合った方法で老後資金を準備しよう

自分自身で老後の生活資金を確保するには、以下のような方法があります。

● 預貯金で積み立てる
● 個人年金保険や終身保険といった貯蓄性の保険に加入する
● iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)やNISAなどの投資の非課枠を使って運用する
● 賃貸マンションやアパートのような賃料収入が得られる不動産に投資する
● 老後も働けるようなスキルを身に付けて労働による収入を得る

それぞれに一長一短がありますので、今後のライフプランや価値観をもとに、どの方法が合っているのか考えてみましょう。自分に合った手段がわからないという方は、FP(ファイナンシャルプランナー)や銀行などの金融機関の窓口に相談することをおすすめします。  

FPは、日本FP協会の公式HPで地域や相談分野、実績などを確認した上で、相談の予約をすることができます。また銀行などの金融機関も、口座がない方でも無料で気軽に相談することができ、土日に空いている窓口も多くあります。
難しく考えず、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

退職金制度の有無や計算方法は、会社によって異なります。まずは退職金規定を確認しましょう。そして、受け取れる退職金額を計算して、自分の老後のライフプランを考えることが大切です。

一方で、退職金の支給額は今後も低下する可能性があります。公的年金で受給できる金額の低下や、受給開始年齢の引き上げも予測されるため、自分自身で老後の資金を確保しておくと安心です。

近年では、iDeCoやNISAなど、非課税で投資できる制度が充実しているため、しっかり学んで活用していきましょう。

※この記事は2019年12月時点の情報を基に作成しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

品木 彰(しなき あきら)
FP、保険・金融専門webライター。大手生命保険会社にて7年半勤務し、チームリーダーや管理職候補として個人営業、法人営業の両方を経験。その後、人材会社で転職コンサルタントとしての勤務を経て、2019年1月よりWebライターとして独立。 保険、不動産、税金、貯蓄術など幅広いジャンルの記事の執筆や監修を行なっている。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。