
退職金のすべて。
2020.7.27
入社3年というと仕事に慣れ余裕も出てくる頃で、そろそろ別の環境でステップアップしたいと考える方もいるでしょう。そんなとき、勤続3年で退職金はどのくらいもらえるのか、そもそも退職金が支払われるのかについて気になるのではないでしょうか。
この記事では、勤続3年の退職金の相場や計算方法について解説していきます。
まずは退職金をもらうために一般的に必要な「最低勤続年数」を紹介します。
最低でも3年働かないと退職金がもらえない企業が約6割あることがわかります。
勤続3年でもらえる退職金の相場は以下のとおりです。
勤続年数3年の退職金の相場は「20~30万円前後」であることがわかります。
参考までに「大学卒・総合職(自己都合)」の場合の退職金相場を勤続年数別で比較してみます。
勤続年数が長くなるほど退職金額の伸び率が大きくなることがわかります。
導入企業の多い「ポイント制」を例に、勤続3年で退職金を受け取った場合の計算方法を紹介します。また、退職金にかかる税金の計算方法についても解説します。
●ポイント制
企業への貢献度などに対してポイントを設定し、退職金額を計算します。
(計算式)
退職金=退職金ポイント累積×ポイント単価×支給率
退職金ポイント…勤続年数や役職、企業への貢献度などによりポイント設定
ポイント単価…1ポイント当たりの金額
支給率…自己都合か会社都合かで異なる
(計算事例)
退職時点でのポイント累積:40P
(毎年付与されるポイント:10P×3年、役職などでの加算ポイント:10P)
ポイント単価:1万円
自己都合退職での支給率:0.6
退職金=40P × 1万円 ×0.6=24万円
退職金は「収入」であり、受け取るときは税金がかかります。
税金の計算方法は、退職金を「一括でまとめて受け取る場合」と「分割で受け取る場合」で異なります。
【一括でまとめて受け取る場合】
退職金を一括でまとめて受け取る場合、受け取った全額に税金がかかるわけではありません。税金がかからない部分を「退職所得控除額」と言い、計算方法は勤続年数により異なります。
(退職所得控除額の計算式)
●勤続年数が20年以下…40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には、80万円)
●勤続年数が20年超え…800万円+70万円×(勤続年数-20年)
勤続3年であれば、40万円×3年=120万円となります。
勤続3年で退職金が24万円の場合、「退職金額24万円」より「退職所得控除額120万円」の方が大きいため、税金はかかりません。
「もらえる退職金額」が「退職所得控除額」よりも大きいとき、税金がかかります。税金がかかる部分を「退職所得」と言い、その計算式は以下のとおりです。
(退職所得の計算式)
退職所得=(退職金額―退職所得控除額)×1/2
勤続3年で退職金が150万円の場合、
退職所得=(150万円―120万円)×1/2=15万円
となり、15万円に対して以下のとおり所得税がかかります。
退職所得が15万円の場合、
15万円×5%=7,500円
となります。
さらに退職所得の金額に対して「住民税:10%」と「復興特別所得税:2.1%」もかかります。
15万円×12.1%=1万8,150円
つまり、勤続3年で150万円の退職金をもらえる場合、かかる税金は2万5,650円(7,500円+1万8,150円)です。
【分割で受け取る場合】
勤続3年で退職する場合、一括でまとめて受け取ることが多いですが、比較のために紹介します。
退職金を分割で受け取る場合、かかる税金は「雑所得(公的年金等)」の金額により異なります。
「雑所得(公的年金等)」の計算方法は、以下の通りです。
(雑所得の計算式)
雑所得(公的年金等)=公的年金等の年間収入金額-公的年金等控除額
「公的年金等控除額」は、以下のとおりです。
また、一括受け取りと同じく住民税(10%)と復興特別所得税(2.1%)もかかります。
勤続3年で退職金150万円を5年分割で受け取る場合、1年当たりの受け取り額は30万円となり、「公的年金等控除額70万円」よりも少ないため、税金はかかりません。
退職金の計算方法や税金については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせて確認してください。
【関連記事】
・退職金、いくらもらえる? 自分で計算して老後の生活を考えよう
・退職金にも税金がかかる! 受け取り方による違いや控除について解説
ここまで紹介したとおり、企業によって退職金制度や計算方法は異なります。
自社に退職金制度があることは知っているけれど、詳細まで把握しているという方は少ないかもしれません。ここでは、自社の退職金制度を確認する方法を紹介します。
【方法①:総務や人事に確認する】
総務や人事の担当者は、自社の退職金制度についてよく知っています。総務は就業規則などの管理も仕事の1つですし、人事も就業規則の内容を細かく把握しています。
その担当者に直接聞くのが、一番早い方法だと言えます。もし聞きづらい場合は、「今後の資産形成について考えたい」などの理由をつけると、聞きやすいのではないでしょうか。
【方法②:自分で就業規則を確認する】
自分で就業規則を確認する方法もあります。就業規則に退職金について細かく記載されているパターンもあれば、「別途退職金規程を参照」などと書かれていることもあります。後者の場合には、その規程も確認しましょう。
就業規則は各企業の所定の棚や社員用のイントラネットに保管されているケースが多いです。
退職金制度にあわせて、退職金を受け取るタイミングについても確認しておきましょう。
【退職一時金】
退職後1~2ヵ月で振り込まれることが多いですが、それ以上かかる企業もあります。
いつまでに支払わなければならないという法律上の決まりは無く、タイミングは企業の規程によりますので、「就業規則」や人事・総務担当者に確認しましょう。
【確定給付企業年金(DB)】
勤続3年の場合、退職時に一時金として支払われます。
支給タイミングは企業により異なりますので、人事や総務担当者に確認しましょう。
【企業型確定拠出年金(企業型DC)】
勤続3年で退職一時金と同時に支給されることもありますが、多くの場合、積み立てた金額は以下のように転職先に持ち運ぶことになります。
●転職先に企業型DCがある場合は、移行の手続きを行う
●転職先に企業型DCがない場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)への移行続きを行う
*手続きを放置すると、国民年金基金連合会に自動で移管される
※この記事は2020年3月時点の情報を基に作成しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。
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