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2020.7.27

#9 退職金と確定拠出年金の違いは? それぞれの制度や活用方法を紹介!

「退職金や年金があれば老後の生活費は大丈夫」という時代もありましたが、2013年以降は年金を受け取りはじめる年齢が遅くなり、年金や退職金の平均額も低下していることをご存知でしょうか。

退職金制度そのものを見直し、企業が社内で退職金を準備する従来の制度から、外部機関を使って準備する「確定拠出年金」に移行する企業も増えています。
確定拠出年金とはどういう制度で、どのように活用できるのでしょうか。

この記事では、退職金と確定拠出年金との違いやそれぞれの活用方法について解説します。
ぜひ老後の生活費を確保するための参考にしてください。

確定拠出年金とは?

確定拠出年金は、老後資金をつくるための制度です。加入者が自分で掛金を運用し、原則60歳以降に、一括でまとめてまたは分割でお金を受け取ることができます。確定拠出年金には種類がありますので、まずはそれぞれの制度の違いを確認しましょう。

・確定拠出年金は個人型と企業型の2種類!

確定拠出年金には個人型と企業型があります。
まずはそれぞれの違いを確認してみましょう。
個人型と企業型の違い
個人型にはiDeCo(イデコ)という愛称があり、「個人が自分の意思で加入し、自分で掛金を支払い、自分で金融機関と商品を選んで運用し、60歳以降に受け取る」制度です。

企業型は企業型DCと呼ばれ、「企業が退職金制度として導入し、企業が掛金を支払い、企業が指定した金融機関で、従業員が自分で商品を選んで運用し、60歳以降に受け取る」制度です。

企業型は退職金制度の一種ですので、制度を導入している企業に勤めていないと加入できず、企業が掛金を支払ってくれるという点が個人型との大きな違いです。

ここからは、導入する企業増えている「企業型確定拠出年金(企業型DC)」について、より詳しく解説していきます。

iDeCo(イデコ)についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせて確認してください。

【関連記事】iDeCo(イデコ)ってなに? ~基本をイラストで理解しよう~

・企業型確定拠出年金(企業型DC)とは

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、「企業が掛金を支払い従業員が運用する」仕組みの退職金制度です。定期預金や保険、投資信託など複数の金融商品の中から従業員が自分で運用先を選ぶことができるため、それぞれの運用結果によって、受け取る退職金額が変動することが特徴です。

また掛金には上限があり、他の企業年金も導入されている場合は2万7,500円(月額)、他の企業年金がない場合は5万5,000円(月額)です。

従業員が企業型DCに加入する最大のメリットは、2つの税制優遇を受けられることです。1つめは運用で増えた利益(運用益)が非課税になること、2つめは受け取るときに大きな控除の枠があることです。

通常、運用益には20.315%(所得税(復興特別所得税含む)15.315%+住民税5%)の税金がかかります。運用益が100万円だとすると本来かかるはずの税金は約20万円ですので、これが0円になるのは大きなメリットと言えるでしょう。

また60歳以降に受け取るとき、一括でまとめて受け取るなら「退職所得控除」、分割で受け取るなら「公的年金等控除」が使えます。控除を簡単に説明すると「税金がかからない部分」です。たとえば企業型DCに30年加入した方が一括でまとめて受け取る場合、1,500万円までであれば税金がかかりません。

この税金のかかり方は一般的な退職金と同じです。こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせて確認してください。

【関連記事】退職金にも税金がかかる! 受け取り方による違いや控除について解説


さらに、企業が支払う掛金とは別に従業員が掛金を上乗せできる「マッチング拠出」を利用した場合は、自分で支払った掛金が全額「所得控除」の対象となり、所得税と住民税が安くなります。

2017年度時点で、この「マッチング拠出」が利用できる企業は、企業型DCを導入する企業の約50%です。勤務先で利用できるかどうかは、総務や人事の担当に確認しましょう。

退職金から企業型DCに移行する企業が増えている

企業型DCを導入する企業は増えています。
具体的にどのくらいの企業が導入しているのか、なぜ移行しているのかを確認しましょう。

・企業型DCは大企業の約7割、中小企業の約5割が導入している

まずは大企業のデータから確認しましょう。
企業型DCの導入状況の推移

※中央労働委員会「退職金、年金及び定年制事情調査」、東京都「中小企業の賃金・退職金事情」各年度を基に株式会社ぱむ作成。


大企業の場合、退職金制度として企業型DCを採用している割合が2017年時点で66.2%となっています。2003年時点では6.8%でしたので、導入企業が大幅に増えていることがわかります。

中堅・中小企業においても企業型DCの割合は年々増加しており、2011年時点では20.5%でしたが、2017年には36.9%と導入企業が増加していることがわかります。

・企業型DCに移行する背景は、景気の悪化

退職金制度が企業型DCへ移行している背景には、日本の景気が影響を与えています。
企業は従業員に支払う退職金を用意するために運用を行いますが、共済や保険のような元本保証型の商品が主です。しかし日本は低金利が続いており、運用成果が悪くなっています。そのため、外部機関を使って従業員が自分で運用する形の企業型DCへ移行する企業が増えていると考えられます。

退職金とはなにが違う?

企業型DCは退職金制度の1つですが、一般的な退職金制度とはなにが違うのでしょうか。ここでは、企業型DCと一般的な退職金制度について解説します。

・企業型DCは企業の倒産に影響されない!

退職金と企業型DCの違い
一般的な退職金制度では、退職金の原資は企業が用意し、将来受け取る金額も企業の就業規則により決められています。そのため、もしも企業が倒産してしまったら、退職金は減額または受け取れない可能性があります。
一方で企業型DCは、外部の機関を利用した制度であるため、企業の倒産により退職金の減額や受け取れなくなることはありません。

一般的な退職金制度については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせて確認してください。

【関連記事】退職金、わたしはもらえる? 退職金制度を知り、将来に備えよう

豊かな老後生活に向け、企業型DCを活用しよう!

・豊かな老後生活を送るための生活費は月36万円が目安

ここで、豊かな老後生活を送るためにはどのくらいの金額が必要なのかを紹介します。
「豊かな老後生活」のイメージは人それぞれですが、生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人でゆとりある老後生活を送るための生活費の目安は、約36万円(月額)です。

老後に国からもらえる年金の標準額は、夫婦で約22万円(月額)です。
ゆとりのある老後生活費と比較すると、約14万円(月額)不足します。仮にその生活が20年続くとすると、不足額の合計は約3,360万円です。

ただし、この額はあくまで「ゆとりのある老後生活費」の目安より算出しています。夫婦2人で平均的な老後生活を送るということであれば、目安は約26万円(月額)です。その場合、不足額は約4万円(月額)で、20年分の不足額の合計は約160万円です。

年金をどれくらいもらえるのかは、こちらの記事で詳しく解説していますので、実際の不足額を計算したい方はぜひあわせて確認してください。

【関連記事】年金の受給額~わたしはいくらもらえる?年代・年収・職業別に解説~

・月5万5,000円を年3%で20年運用すると、約1,800万円に!

現在40歳の方が企業型DCに加入し、年3%の利回りが期待できる投資信託で20年運用した場合のシミュレーションを紹介します。
運用シミュレーション

※今回のシミュレーションは、実際に企業型DCでの運用結果をお約束するものではありません。
企業型DCには、投資リスクがあるため損失が発生する可能性もありますので、参考程度に確認してください。


掛金が月2万7,500円なら20年で約240万円、掛金が月5万5,000円の場合は20年で約480万円増えています。受け取り額の合計を見ると、夫婦で平均以上の生活を送るための金額を受け取れることがわかります。

企業型DCでは、企業によって選べる商品が異なります。
商品の種類は、定期預金や保険のように元本が保証されているものと投資信託のように元本が変動するものがあります。安全性を重視する場合は元本が保証されている商品がおすすめですが、その分ほとんど増えることはないと考えておきましょう。一方で元本が変動する商品は上記のシミュレーションのようにお金が増える可能性がありますが、元本割れする可能性もあります。

将来必要となる金額や、元本が変動することによって一喜一憂しストレスにならないかなどを考慮しながら商品を選択すると良いでしょう。
この機会に、どんな老後生活を送りたいのか、そのためにいくら準備が必要なのかを家族で話し合ってみてください。

まとめ

一般的に退職金というと「企業が社内で準備する退職金」ですが、企業型DCは「掛金は企業が出し、外部の金融機関を使って従業員が運用する退職金制度」です。

企業の財務状況の変化から、企業型DCを導入する企業は年々増加しています。企業型DCには税制優遇のメリットもありますので、導入されている会社にお勤めの方は、ぜひこの記事を参考にしてください。制度を賢く活用し、豊かな老後生活を楽しみましょう。

※この記事は2020年3月時点の情報を基に作成しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

執筆:花 惠理(はな えり)
不動産会社や住宅メーカーに勤務後、現在は不動産・金融関係をメインに執筆しているWebライター。大手メディアなどに多数寄稿。不動産業務には年金・保険・税務・保険などの知識も必要だと感じ、FP2級などの資格を取得。不動産や金融などのテーマを初心者にもわかりやすい言葉で解説することが得意。 ファイナンシャル・プランニング技能士2級/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
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