つみたてNISA(積立nisa)の非課税期間は最大20年間

つみきさん つみきさん

つみたてNISAの非課税期間には上限があるって本当ですか?

FP FP

非課税期間は最長20年間です

つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するために2018年1月からスタートした非課税制度のことです。

つみたてNISAの対象商品に積立投資することを条件に、毎年40万円を上限として、運用によって得られる分配金や譲渡益が非課税となります。

なお、つみたてNISAの対象商品は、長期・積立・分散投資に適した投資信託に限定されており、購入時手数料が0円、運用にかかる手数料が低いなどの特徴があります。

通常の投資信託であれば、投資で得た分配金や譲渡益に対して20.315%の税金が発生するのに対して、つみたてNISAを利用すれば、節税しながら資産運用することが可能になります。

毎年の新規投資上限額が40万円までに制限されていることから、月々の積み立ても必然的に少額になるため、これまで投資の経験がない方でも始めやすいところが特徴です。

ただ、いつまでも非課税投資枠が適用されるわけではなく、非課税期間は最初につみたてNISAで投資した年から最長20年間と決められています。

つみたてNISAの非課税期間

たとえば2021年中に限度額いっぱいの40万円を投資した場合、その40万円の投資から生まれた運用益は、20年目にあたる2040年まで非課税で保有できますが、それ以降は自動的に普通口座または特定口座に資産が移管される仕組みになっています。

一般NISAの場合、非課税期間である5年を過ぎた後も、保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移す「ロールオーバー」を行えば、再び非課税枠の5年間延長が可能です。ロールオーバーとは一般NISAの非課税期間終了後、これまで運用していた資産を、翌年の一般NISA口座の非課税枠に移管することをいいます。

しかし、つみたてNISAにはロールオーバーの概念がないため、非課税期間の20年間が終了したら、別の方法での資産運用を考える必要があります。

一般NISA つみたてNISA
非課税期間 5年 20年
ロールオーバー 可能 不可能
非課税枠(年間) 120万円 40万円
非課税枠(総額) 600万円 800万円

参考: つみたてNISAの概要

20年の非課税期間が終わった後はどうするの?

つみきさん つみきさん

つみたてNISAの20年間の非課税期間が終わったら、
運用していた資産はどうすればいいんですか?

FP FP

通常の課税口座に移すか、現金化するかの2択になります

以下では、つみたてNISAの非課税期間が終了した際の具体的な対処方法を2つご紹介します。
つみたてNISAの非課税期間終了後そのままにしておくと、運用益に対して税金がかかるようになります。意図せず課税されることのないよう、非課税期間終了後の対処方法を理解しておくことが大切です。

対処方法@ 課税口座に移して再投資を始める

つみたてNISAの非課税期間が終了すると、つみたてNISAの口座を開設していた金融機関の普通口座または特定口座へ、自動的に資産が移管(再投資)されます。何も手続きをしないと自動で再投資されてしまうので気をつけましょう。

さらに、非課税期間終了後、翌年のつみたてNISAの非課税枠を使って保有を続けること(ロールオーバー)はできないため、課税口座に移管した資産(つみたて元本+運用益)=購入金額になる点に注意が必要です。

つみたてNISAの非課税期間終了後は課税口座に移管

移管先の口座は運用益に対して20.315%の税金が発生する課税口座となりますが、非課税期間中に発生した利益について課税されることはありませんので、つみたてNISAで保有資産が増えていたとしても安心です。

逆に元本割れを起こした状態で資産を課税口座に移管した場合、その後の運用で元本まで戻したとしても、そのぶんは値上がり益とみなされてしまいます。

つみたてNISAの非課税期間終了時に元本割れしていた場合

投資家からすればまったく利益は出ていませんが、課税口座に移した後に資産額が増えた場合は、そのぶんについて譲渡益課税が発生することを念頭に置いておきましょう。

なお、つみたてNISAが暴落していた場合の対処法については、詳細を後述します。

対処方法A 売却して現金化する

つみたてNISAは、任意のタイミングで売却し、現金化することができます。

課税口座に移管する前に売却すれば譲渡益課税は発生しないので、税金の負担を軽減することが可能です。

売却して現金化するのであれば、必ずしも20年間待つ必要はないものの、本来 つみたてNISAは長期・積立・分散投資を行うことを前提とした制度ですので、長い期間保有しないと大きな複利効果を得られません。

とくに投資経験の少ない方は、元本割れすると焦って売却してしまいがちですが、長く保有し続ければ元本割れが解消される可能性もありますので、なるべく長く運用することをおすすめします。

▼三井住友銀行のつみたてNISAは2種類の選択肢がある!
非課税期間を終了した場合について

20年後に積み立てた資産はどれくらい? 運用額ごとにシミュレーション

つみたてNISAで20年間積み立てると、資産がどれくらい増加するのでしょうか?金融庁の資産運用シミュレーションを使って試算してみました。

【月1万円(20年間の投資元本240万円)のケース】

運用利回り 20年後の金額
1% 265.6万円
3% 328.3万円
5% 411.0万円

【月2万円(20年間の投資元本480万円)のケース】

運用利回り 20年後の金額
1% 531.1万円
3% 656.6万円
5% 822.1万円

【月3万円(20年間の投資元本720万円)のケース】

運用利回り 20年後の金額
1% 796.7万円
3% 984.9万円
5% 1,233.1万円

三井住友銀行では、投資商品ごとに積み立てシミュレーションができます。各商品で実際に運用した場合、20年後にどれくらい増えている可能性があるのか、確認してみましょう。

もし20年後に暴落してしまったら……賢い選択は?

つみきさん つみきさん

低リスクで運用できても、価値が暴落する可能性はありますか?

FP FP

つみたてNISAは資産運用なので、可能性はゼロではありません。
元本割れした場合は、再投資や再運用を行い、損失を補填しましょう

つみたてNISAは、長期間にわたって少額をコツコツと積み立て、投資する資産や地域を分散できる投資信託を選べるので、一括で投資する場合と比べてリスクを抑えながら運用益を見込むことができます。

ただ、投資商品である以上、元本割れする可能性もありますので、万一損失が出てしまった場合は以下のような対処が必要です。

1.非課税期間が終わった分のお金を引き出す

まずは、非課税期間が終了した分のお金だけを小分けにして引き出します。

つみたてNISAの非課税期間は、毎年の新規投資額に対して適用される仕組みになっています。

たとえば2021年からつみたてNISAをスタートした場合、1年目の新規投資額に対する非課税期間は2040年までですが、翌年(2022年)の新規投資額に対する非課税期間は2041年になります。

つまり、つみたてNISAで運用を開始してからきっかり20年後に、20年間積み立ててきた全額を引き出さなければならないわけではなく、2040年には1年目の分を、2041年には2年目の分を、それぞれ小分けにして引き出すことが可能です。

逆に、非課税期間が終わっていないぶんを引き出すのは運用面でメリットがありませんので、やや面倒でも非課税期間が終わった分だけ小口で引き出しましょう。

2.課税口座などで再投資を行う

引き出したお金は、投資額に対して元本割れを起こしている状態なので、他の方法で再投資し、資産を増やしていく必要があります。

再投資の手段は主に2つあります。1つ目は課税口座に移管して投資信託で運用する方法で、2つ目はiDeCo(イデコ)に移し替えて老後の資金づくりに活用することです。

再投資方法@ 課税口座に移管して再運用

つみたてNISAの非課税期間が終了した分は、自動的に口座開設していた金融機関の普通口座・特定口座に移管されますが、元本割れを起こしているのなら、投資商品の選定を見直したほうが良いかもしれません。

投資商品は金融機関によって取り扱いが異なりますので、自動移管に任せず、引き出したお金の運用先を再度検討することをおすすめします。

再投資方法A iDeCo(イデコ)に移し替えて老後の資金づくりに活用

老後に向けた資産形成を重視したい人は、iDeCo口座に資産を移して運用を継続する方法も検討してみましょう。iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、自身で申込みを行い、掛金を拠出し、資産を運用します。

ただし、iDeCoには加入できる年齢に制限があるので注意しましょう。iDecoに加入・掛金を拠出できるのは60歳まで(条件によっては65歳まで)で、さらに運用している資産は原則として60歳以降でないと引き出すことができません。
好きなタイミングで資産を引き出せないのはネックですが、掛金の全額が所得控除の対象となるため、通常の投資信託よりも効率よく資産を運用できます。
iDeCoは原則60歳まで引き出しができない代わりに、税制優遇メリットがつみたてNISAよりも多いため、老後の資産形成を重視したい人はiDeCoが向いています。

つみたてNISAで成功するために気を付けるポイントは?

つみきさん つみきさん

つみたてNISAで元本割れしないためには、どんなことに気を付ければいいですか?

FP FP

一時的な元本割れに焦らず、長い目で見てコツコツ投資するのがポイントです

つみたてNISAの対象商品は投資信託のため、元本割れリスクをゼロにすることはできません。ただし運用リスクを抑えることは可能です。つみたてNISAでリスクを抑えて安定したリターンを得るために、気をつけるポイントを3つ紹介します。

1.長期でコツコツ積み立てる

つみたてNISAの運用期間中には、一時的に元本割れを起こす可能性もあります。

ただ、つみたてNISAはもともと安値のときを狙って購入し、高値のときに売却するといった投資法ではなく、毎月一定額をコツコツと積み立てて買付価格を平準化する「ドルコスト平均法」を採用した投資法です。

ドルコスト平均法とは

安値で買い、高値で売却する方法に比べると短期間で大きなリターンを得られるわけではありませんが、売買タイミングを外して大きな損失を被る心配もないので、リスクを抑えて運用することが可能です。

一時的に元本割れを起こしたとしても、根気よくコツコツと積み立てていれば損失を取り戻せる可能性が高いので、焦らずじっくり腰を据えて投資することが大切です。

▼ドルコスト平均法についてわかりやすく知りたい方へ
ドルコスト平均法とは?(投資信託のギモン解決集):三井住友銀行

2.よりリスクの少ない投資商品を選定する

つみたてNISAの投資商品には複数の種類があり、株式のみを対象にしたものもあれば、債券のみを対象としたもの、性格の異なるファンドを組み合わせたバランス型、複数の投資信託を組み合わせてひとつにまとめたファンド・オブ・ファンズ(Fund of Funds)などもあります。

リスクの少ない投資商品の例

一般的に、株式よりも債券のほうがローリスクで運用できるといわれているため、株式のみを対象にしたファンドで運用してきたのなら、債券を取り入れたバランス型投信や、ファンド・オブ・ファンズなども候補に入れてみましょう。

▼資産運用初心者でも投資しやすい!
三井住友銀行の積立商品を知る

3.投信のプロである金融機関に相談する

初めて資産運用を行う人は、投資に関する知識・経験が少ないので、どんな投資信託を選べばいいか、どのように投資すれば低リスクで運用できるのか、判断するのが難しい場合があります。

そんなときは自分だけで判断せず、つみたてNISAを取り扱っている金融機関に相談しましょう。

金融機関は投資のプロとして豊富な知識と経験を有していますので、判断に迷ったときに相談すれば、適切なアドバイスをもらえます。

つみたてNISAを取り扱っている金融機関は複数ありますが、困ったときに近くの店舗やWebで気軽に相談できるところを選ぶのがおすすめです。

▼つみたてNISAについてさらに知りたい方へ
つみたてNISAとは?:三井住友銀行

まとめ

つみたてNISAは、長期・積立・分散投資を行うため、一括で投資する場合と比べてリスクを抑えながら運用益を見込むことができます。ただし、つみたてNISAも資産運用のため、元本割れする可能性はゼロではありません。

つみたてNISAの非課税期間は最長20年間なので、20年が経過したら、他の方法で資産を運用する必要があります。

もし20年後に暴落していた場合は非課税期間が終了した分からこまめに引き出し、投資信託を選定し直して再運用するか、iDeCoへの移管も検討しましょう。

適切な運用方法がわからずに悩んだり困ったりしたときは、つみたてNISAを取り扱っている金融機関に相談し、アドバイスを仰ぐことをおすすめします。
三井住友銀行では、つみたてNISAの運用や口座開設に関する相談を受け付けています。店頭窓口での相談はもちろん、オンライン面談も可能です。プロのコンサルタントによるサポートを受けたい方は、ぜひ活用しましょう。

▼つみたてNISAの運用や口座開設について相談したい方へ
予約サービス:三井住友銀行

  • この記事は2021年11月17日に公開した内容を2023年3月8日に更新して掲載しています。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

金子 賢司

個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務めるファイナンシャルプランナー。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。CFP、日本FP協会幹事。

https://fp-kane.com/

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