教えて先生! つみたてNISAのA to Z

2021.12.1

#7 つみたてNISAで損をするのはどんな人? 失敗しないための方法は?

つみたてNISAで損をするのはどんな人? 失敗しないための方法は?
つみたてNISAはリスクが低いと聞いたけれど、やっぱり損をするかもしれない……と不安になったつみきさん。

実際につみたてNISAで損をしている人は、どんなことをしてしまったのでしょうか? つみたてNISAを運用するうえで よくある失敗事例をFP(ファイナンシャルプランナー)に聞いてみました。

つみたてNISAはどんな時に損をする?

つみたてNISAどんな時に損をする?
つみたてNISAは、もともと長期・積立・分散投資することを支援するための制度です。

まとまった元手が必要な株式投資や、短い期間で売買を行うFXなどに比べると、大きな損失を出すリスクが少なく、投資初心者でも始めやすい資産運用です。

ただ、つみたてNISAであっても、損失を出すリスクがゼロになるわけではありません。

では、具体的にどのような状況に陥ると損失が発生してしまうのでしょうか?

以下では、つみたてNISAで損失を出してしまうときの主なパターンを2つ紹介します。

1.購入金額よりも値下がりした状態で売却したとき

つみたてNISAは、運用実績に基づいて資産が増えるので、価格の値動きによって保有資産の価値は変動します。

購入した時よりも高値がついた時に売却すれば利益を得られますが、逆に購入時よりも値下がりした時点で売却すると、損失が発生してしまいます。

2.運用によって出た利益よりも手数料が上回ったとき

つみたてNISAで購入できる商品は、長期・積立・分散投資に適した商品になるよう、購入時手数料が0円(ノーロード)で、信託報酬(運用にかかる手数料)が低いという条件が設けられています。
出典:金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック
そのため、つみたてNISAを運用するにあたって購入時手数料を支払う必要はありません。しかし、投資信託を保有している期間中に発生する信託報酬やその他の手数料は支払わなければなりません。

信託報酬は投資信託を保有する全体の金額から差し引かれる仕組みになっています。運用実績が芳しくない場合には、差し引きがマイナスになって損をしてしまう可能性があります。

前述の通り、つみたてNISAは法令上の条件によって信託報酬も低く設定されているので、手数料が運用益を上回るリスクは低いといえます。とはいえ、理論上では起こり得る損失です。

以上、つみたてNISAで損をするときのパターンを2つご紹介しましたが、もちろんつみたてNISAで資産運用しているすべての人が損をするわけではありません。

むしろ、つみたてNISAは長期・積立・分散投資によって投資リスクを抑えた運用が可能となっているため、長期でコツコツ運用を続けることで計画的に資産を増やすことができます。

それでもつみたてNISAで損をしてしまった……という人には、運用面でいくつかの共通点が見られます。

次節からは、つみたてNISAで損をする人によくあるパターンを3つのポイントに分けて解説します。

つみたてNISAで損をする人によくあるパターン
①相場の変動ですぐに売ってしまう

つみたてNISAで値下がりしたらすぐ売るのが良い?
つみたてNISAで損失を出す時に最もありがちなのが、価値が値下がりしたときにあわてて売却してしまうパターンです。

つみたてNISAは投資なので、値動きに応じて資産が増減します。投資経験の少ない方は資産が減ってしまったことに動揺し、「これ以上損失が膨らまないうちに」と売却に走ってしまいがちです。

しかし、つみたてNISAの特徴を考慮すると、相場の変動に応じてすぐに売買するのは得策とはいえません。

そもそも、つみたてNISAは値動きのタイミングに合わせて売買するものではなく、毎月一定額を長期にわたってコツコツ積み立てていくことを前提にした投資方法です。

値動きに関係なく一定額を積み立てていく投資法をドルコスト平均法といいます。一括で購入した場合と比べると買付単価を平準化できる分、ローリスクで運用することができます。
積立投資によるリスク分散のイメージ
安いときに買い付け、高いときに売却するという投資スタイルに比べると、短期間で大きなリターンを見込むことは難しいですが、長期・積立・分散投資により着実な資産形成が しやすくなります。

特につみたてNISAは長期・積立・分散投資に適した商品のみがラインナップされているため、短期間の相場変動に一喜一憂せず、長い目で見て運用することがポイントです。

逆に、購入後に価格が上がって資産が増えた場合でも、即売却して現金化するのは早まった考えだといえるでしょう。

つみたてNISAには最長20年間の非課税期間があり、その間は投資で得た利益に税金がかからない仕組みになっています。

仮に利益が出た段階で売却し、NISA口座以外の課税口座で再度投資を開始した場合、利益に対して20.315%の税金が発生してしまいます。


積立による複利効果もリセットされてしまうことを考えるとお得感はほとんどありません。非課税期間(最長20年)が終わるまでは売却しない方がよいでしょう。

つみたてNISAで損をする人によくあるパターン
②リスクの高い投資先を選んだ

つみたてNISAは高利回りの商品が良い?
投資商品を選ぶときの判断基準に、その商品のリスクとリターンの大きさがあります。リスクという言葉は一般的に「危険」という意味で使われますが、投資の世界では、リターンの上下の振れ幅のことをいいます。

つみたてNISAの運用利回りは選んだ投資商品によって異なります。利回りのみを重視して投資先を選ぶと、リターンの期待が大きい分、リスクも高くなります。

一般的に債券よりも株式がリターンは大きい分、リスクも高い傾向にあり、さらに海外株式は国内株式よりリスクが高いとされています。
そのため、海外株式だけに一点集中して投資する方法は注意が必要です。

例えば株式に特化した投資信託を選ぶと、急激な暴落によって大きな損失を被ってしまう恐れがあり、暴落の可能性がゼロとはいえません。
つみたてNISAの商品別リスクとリターン
もともとつみたてNISAは、長期・積立・分散投資によって低リスクで運用できるところが大きな利点ですので、リスクの高すぎる商品を選定する場合は慎重な判断が必要です。

つみたてNISAは少額から投資ができる分、長期間にわたって運用しないとなかなか複利効果を得られません。非課税期間(20年)が終わるまで安定して運用できるよう、比較的ローリスクな投資先を選ぶことが大切です。

ただ、長期投資に適した投資商品でも、損失を出すリスクはゼロではありません。そのため、さまざまな商品を同時で運用し、それぞれのプラスマイナスを相殺する分散投資でリスクを抑えることが大切です。
リスクの少ない資産配分の一例
例えば海外債権に35%、国内債券に25%、海外株式・国内株式に20%ずつなど、複数の投資先を組み合わせる資産配分を検討するのもひとつの方法です。

なお、高齢になると、資産寿命を延ばすという視点も大切になります。資産寿命とは、「老後の生活を送るにあたって、保有する資産がなくなるまでの期間」のことです。平均寿命が長くなると、その分 老後期間も長くなります。命と同様にその間に必要となるお金の寿命も伸ばすためには、投資する際のリスクを抑えたものに調整するとよいでしょう。

つみたてNISAで損をする人によくあるパターン
③積立額を変えてしまう

つみたてNISAの積立金額はこまめに見直すのが良い?
つみたてNISAは、年間40万円の非課税枠を超えなければ、月々の積立額を変更することが可能です。

ただし、「つみたてNISAで損をする人によくあるパターン①」でも説明したように、つみたてNISAは値動きにかかわらず一定額をコツコツ積み立ててリスクを低減する「ドルコスト平均法」が前提となっています。
ドルコスト平均法とは
値動きに合わせて買い付け額を変動させてしまうと、価格が高くなったときに大量に買い付けてしまい、損をしてしまう可能性があります。

家計の見直し等で、やむを得ず積立額を変更しなければならない場合は別ですが、そうでないのならむやみに積立額を増減するのは控えましょう。

まとめ

つみたてNISAは、購入時よりも値下がりした時に売却した場合や、運用によって出た利益額よりも手数料の金額が上回ったときに損失が発生します。

また、損をしてしまう人には、 ①相場の変動ですぐに売ってしまう、②リスクの高い投資先を選んだ、 ③買い付け額を変えてしまう、といったパターンがみられます。

つみたてNISAは低リスクで運用できるのが利点である一方、投資商品ですので運用の仕方によっては損失が出る可能性があります。特に、短期間の値動きに応じて売買したり、リスクの高い商品に投資したりすると、元本割れを起こしてしまうこともあります。

そもそもつみたてNISAは、
(1) 少額投資で大きな負担・損失を出しにくいこと
(2) 複数の商品に分散投資することでリスクを低減できること
(3) 定額積立によって買付金額を平準化できること
にメリットのある投資制度です。

短期間の値動きに惑わされたり、無理に大きなリターンを狙ったりせず、長期的な視野でコツコツ積み立てることを目標にしましょう。

「もしかしたらつみたてNISAは自分のニーズに合っていないかも?」と不安になった方は、こちらのページも参考にしてみてください。

つみたてNISAをやめた方がいいのはどんな人? 3つの特徴を解説

※2021年12月現在の情報です。今後、変更されることもありますのでご留意ください。

執筆:金子 賢司
個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務めるファイナンシャルプランナー。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。CFP、日本FP協会幹事。
https://fp-kane.com/
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